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ヘッジファンドは規制すべきか

2007-07-15 23:12:11 | 社会・経済

突然の円高危機

為替相場に興味のある方は、先週急速に円高に振れたのに気付かれたはずだ。水曜日に一時期ドル120円台まで急騰した。同時にドル・円の両通貨に対しユーロ高が進んだ、円の独歩高ではなかった。円キャリートレードと個人資産の海外投資が円高を支えていると従来説明されてきたが、今回はどういう事情だったのか。

何故、突如として円高ドル安が起こったのか。ここで米国の住宅バブルがまたもや顔を出してきた。住宅ローン(サブプライム)焦げ付き処理が長引いている。ヘッジファンドはリスク分散を見直し、住宅ローン投資に向けられた円キャリートレードの巻き直しをしたからだ。

結果としてこの円高はヘッジファンドを一層の危機に追い込んだ。現在最強のユーロ高は全く問題なかった。円高で困ったのはヘッジファンドであり、日本の輸出企業ではないという奇妙な現象が今回起こったことだった。

日本経済のファンダメンタルズの改善も若干の円高に貢献したと見られている。CNN Moneyによれば海外投資を引き上げて日本市場に再投資する流れがあったという。(他に同じ記事が無いので詳細は確認できてないが。)

ヘッジファンドの光

ヘッジファンドの短期的な利益狙いの投資活動について住宅ローン焦げ付きがきっかけで再び関心が持たれている。昨今の世界的な企業利益増大の大部分は投機的なヘッジファンドによるものとみなされている。つまり本業以外のLBOM&A等による一時的で持続性の無い利益である。

2001年にはたった1%だった投資ファンドのM&Aが昨年は30%にも急増したという。世界には金が有り余っている。低利の円がキャリートレードで貸し出され、中国や資源国と合わせ世界的過剰流動性に手を貸し、M&Aを急増させ住宅バブルを生んだ。

しかし、同時にリスクが大きくて手が出せない領域に投資の道をつけ世界的好況に貢献したのは間違いなくヘッジファンドだ。我が国の景気回復も輸出増が貢献した。ヘッジファンドのプラスとマイナスを合計すれば光の部分がはるかに大きいことは明らかだ。

ヘッジファンドの影

だが米国投資会社の大手ベアスターンズが資金提供(投資)したヘッジファンドが、住宅ローンの焦げ付きで巨額な損失を出したニュースは重大な問題を表面化させた。従来はローンを返せず家をなくした低所得者に限られ、彼らをどう救済するかが問題とみなされていた。

ところがヘッジファンドに多額の投資をし、巨額の損失を出したウォールストリートの金融機関はベアスターンズでは止まらない、その先がある。NYタイムズ(6/28)によるとベアスターンズの同種の投資の一例としてメリルリンチ、ゴールドマンサックス、バンカメなどの大手銀行から60億ドル借りているという。

同社のあるヘッジファンドへの投資が焦げ付いた為32億ドル流動化したという。過去2年間で述べ500億ドルがウォールストリートの金融機関からベアスターンズ一社に貸し込まれたというから問題の規模は大きく根深そうだ。問題の根深さは日本のバブルを髣髴させるものがある。

ヘッジファンドの規制は必要

こういう状況で冒頭の円高が突然起こりヘッジファンドの円キャリートレードが打撃を受けることになった。つまりあっと言う間に円が2%も上がると、幾ら円の金利が安い(0.5%)といっても損失が大きくなり住宅ローン危機を悪化させることになった。

この危機によりヘッジファンドへの資金の流れに光が当てられ、どういう性格のお金が投資されているか浮き彫りになった。しかし、どう見ても最上流の投資家たちは自分たちのお金がどう運用されているか、リスクはどうなっているか分かる仕掛けになっていなかった。

同じ紙面でNYタイムズは年金基金が運用効率を高めるためとはいえヘッジファンドに投資するのは規制すべきであると社説で主張している。昨年だったか天然ガスでヘッジファンドが巨額の損失を出した時、カリフォルニア州のある市の年金基金が投資されていると判明し騒ぎになった。

昨今の日本の年金問題騒動を見ても、保険者が許容できない可能性のある年金基金のヘッジファンド運用は制限すべきである。しかし鰻の寝床のように資金が次から次へ国境を越えて流れていくのをどう規制するか、国毎に異なるシステムをどう統合するか難問が控えている。■

コメント
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