かぶれの世界(新)

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ボスニア戦辛うじて引き分け

2006-03-01 18:49:38 | スポーツ

昨日のボスニア・ヘルツェゴビナ戦はロスタイムで辛うじて追いついた。メディアの論調は概ねW杯決勝ラウンド進出は楽観できないというものだった。私も今年の大胆予測で実力的に予選敗退と見たが、勿論決勝ラウンド進出を期待しているので残念な結果だった。

ゲームは前から心配していたバックスの弱さが出た。相手チームからプレスをかけられ迫られると自身喪失したかのように萎縮する感じがテレビの画面から伝わってきた。慌てて闇雲にパスを出し相手にボールが渡る場面が何度もあった。折角のマイボールが何もしないうちにミスパスで相手に渡るのが続くとチームの士気を保つのは難しい。

バックスが弱いのは分かっているから中盤と連携したよりシステマチックな守りをするしかないのだが、後半疲れが出てボスニア選手の詰めの速さに落ち着いて連携する余裕を失ったように見えた。本選で勝ち抜くためには精神的支柱となる強いワールドクラスのバックスが是非とも欲しいのだが。

中村はマークされ思うように玉を回せなかった。前半中田の視野の広いパスは一気に局面を変えたが、後半は球出しのところを厳しくチェックされた。それでも結局二人が全得点に絡んで追いついた。W杯では対戦国はこの二人を徹底的にマークする戦略をとってくるのは間違いない。

二人が徹底マークされた時勝てるシナリオがありそれが機能するかが問題だ。その為には守備力を強化し守りきり、一発で決める久保の完全復活が期待されるが、どちらもリスクがある。意外な展開が可能な松井の投入もあるが切り札としては弱い。

しかし、又もやロスタイムで追いついたのは凄いと思った。ジーコ・ジャパンが終盤ギリギリに得点を入れ追いつき、勝ち越したことは何度もある。初め、ジーコは運が良いといっていたメディアも、何度もそういうシーンを見せられ単純に運が良いとは言わなくなった。トルシエ時代と何が違うのだろうか、良い化学変化が起こったと思う。

相手のほうが強い場合やチームの調子が悪い場合など劣勢な場合はいくらでもある。このチームには最後まで勝負を諦めず得点を狙って攻める気持ちを忘れないジーコ・スピリッツとでも言うべき強さが備わって来たように思う。

選手個々人としてはこれ以上急にうまくなれないとしたら、決勝ラウンド進出の最後の鍵はこの精神力かもしれない。その次は運頼み・神頼みというかもしれない。まだ3月になったばかりなのに末期的症状が現れてきた。この辺で終ろう。■

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欧州のイスラム原理主義

2006-03-01 15:53:55 | 国際・政治

「文明の衝突拡大」の予感

私は年頭に七大関心事の一つとして、グローバリゼーション勝者とイスラム原理主義の所謂「文明の衝突」は今年更に拡大する可能性が高いと予測した。デンマークの新聞に掲載された風刺漫画に端を発したイスラムの抗議行動は瞬く間に世界のアラブ社会に拡大したのは、不幸にして予測が当たったということだろう。

昨年フランスパリ郊外のアラブ系イスラム若者の暴動は「文明の衝突」ではなく差別と貧困の反乱だとの主張もあるが、それは暴動を沈静化したい当事国の当局や知識人の願いであって、明らかに根っこはイスラム原理主義の影響下での事件であったといえる。

我国の主要メディアも紙面を割いて風刺漫画の対応に苦慮する欧州諸国の状況を解説していたが、私には表面的で物足りなく感じた。昨日フランシス・フクヤマ氏が27日Slateマガジンに投稿した小論文が、欧州の状況が米国に比べ如何に深刻かよく説明し、私の衝突拡大の予測を補強しているように思うので紹介したい。

同化政策の差:米国は個人、欧州はコミュニティ

フクヤマ氏は一昨年「文明の衝突」の著者ハンチントン氏が「分断されるアメリカ」で説いた移民政策に反対し、必ずしもその考えを一にしている訳ではないが、ここでは衝突の性格は何かという議論は主題と外れるので省略する。要点は今や多民族移民国家になった欧州と、移民国家を国是としてきた米国との違いに光を当て、その違いが何を招いたかについての議論を要約する。

米国の市民権を得た移民およびその子孫は個人として米国の価値観を共有しアメリカ人であることを誇り高く宣言する。一方欧州の多元主義は個人よりコミュニティの権利を重視したものであった。その結果欧州の価値観と異なるイスラム社会が次々と生まれたと氏は主張する。

テロリスト培養国となった欧州

このように欧州的自由主義の下で隔離されたコミュニティは、各国政府当局から目の届かない所でイスラム原理主義が伸張する環境を作り、2世・3世のテロリストを生み出し培養器の役割を果たした。政府当局は実態に目を向けず問題の深刻さを認識しなかった。コミュニティ内で何が起こっても目をつぶった。

9.11実行犯の多くは欧州出身であり、英国の列車爆破犯も英語を流暢に話す移民2世であった。転機となったのはオランダの9.11と呼ばれ2004年11月に起こったヴァンゴッホ殺人事件だ。これを機に欧州政府は政策を180度転換させた。相次ぐテロや暴動の対応策として、オランダは実質移民受け入れ禁止、英国も検討中、フランス等が国民投票でトルコのEU加入に反対した。

急増するイスラム人口

欧州の悩みが深いもう一つの原因は、米国イスラム人口は1%以下であるのに対し、フランスは12-13%、オランダは6-7%にも達し、出生率の差から今後益々イスラム人口比率が高まると予想されているからである。ドイツでは2050年までにイスラム人口が1/3になると予測されている。

ハンチントンは英語が喋れず米国の価値観を共有しないヒスパニック人口の急増を防ぐためメキシコ国境からの不法移民対策を提唱した。しかし、米国ではキリスト教原理主義がおこす文明の衝突より、ハリケーン・カトリーナ対応で見たように依然として人種差別のほうが主要争点であり、欧州と同じ土俵にいない。

欧州向け処方箋

フクヤマ氏は、欧州は一層の寛容とモラルを追求するより、宗教・民族に関係なく誰もが受け入れられる国としてのあるべき姿・アイデンティティを作るべきと提案している。言い換えれば、イスラムである前に欧州人たれといえる価値観を持った信条を作れといっている。

今まで散々多元主義を基にした欧州的理想主義から米国を非難してきたが、欧州こそ米国を学べという訳である。私には勿論そういう複雑なコンプレックスはないが、この点ではフクヤマ氏の主張に分があると思う。しかし欧州の首脳は彼らの政策が誤っていたと認め米国風の多民族国家を目指すようには思えない。この後も試行錯誤が続くだろう。

悩みは深い

フランス・ワールドカップがあった1998年当時同僚のフランス人から聞いたことがある。ジダン等の移民2世選手が大活躍し母国に初のカップをもたらした結果、当時表面化していた移民排斥の動きが一時鎮静化したニュースについて意見を聞くと、言葉少ない返事が返り何を言いたいのかわからなかった。‘フランス人は皆外交官’であるとしても。いけない質問をしたと思いすぐに話題を変えた。その微妙さが悩みを象徴していたと今になって思う。■

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