昨日のボスニア・ヘルツェゴビナ戦はロスタイムで辛うじて追いついた。メディアの論調は概ねW杯決勝ラウンド進出は楽観できないというものだった。私も今年の大胆予測で実力的に予選敗退と見たが、勿論決勝ラウンド進出を期待しているので残念な結果だった。
ゲームは前から心配していたバックスの弱さが出た。相手チームからプレスをかけられ迫られると自身喪失したかのように萎縮する感じがテレビの画面から伝わってきた。慌てて闇雲にパスを出し相手にボールが渡る場面が何度もあった。折角のマイボールが何もしないうちにミスパスで相手に渡るのが続くとチームの士気を保つのは難しい。
バックスが弱いのは分かっているから中盤と連携したよりシステマチックな守りをするしかないのだが、後半疲れが出てボスニア選手の詰めの速さに落ち着いて連携する余裕を失ったように見えた。本選で勝ち抜くためには精神的支柱となる強いワールドクラスのバックスが是非とも欲しいのだが。
中村はマークされ思うように玉を回せなかった。前半中田の視野の広いパスは一気に局面を変えたが、後半は球出しのところを厳しくチェックされた。それでも結局二人が全得点に絡んで追いついた。W杯では対戦国はこの二人を徹底的にマークする戦略をとってくるのは間違いない。
二人が徹底マークされた時勝てるシナリオがありそれが機能するかが問題だ。その為には守備力を強化し守りきり、一発で決める久保の完全復活が期待されるが、どちらもリスクがある。意外な展開が可能な松井の投入もあるが切り札としては弱い。
しかし、又もやロスタイムで追いついたのは凄いと思った。ジーコ・ジャパンが終盤ギリギリに得点を入れ追いつき、勝ち越したことは何度もある。初め、ジーコは運が良いといっていたメディアも、何度もそういうシーンを見せられ単純に運が良いとは言わなくなった。トルシエ時代と何が違うのだろうか、良い化学変化が起こったと思う。
相手のほうが強い場合やチームの調子が悪い場合など劣勢な場合はいくらでもある。このチームには最後まで勝負を諦めず得点を狙って攻める気持ちを忘れないジーコ・スピリッツとでも言うべき強さが備わって来たように思う。
選手個々人としてはこれ以上急にうまくなれないとしたら、決勝ラウンド進出の最後の鍵はこの精神力かもしれない。その次は運頼み・神頼みというかもしれない。まだ3月になったばかりなのに末期的症状が現れてきた。この辺で終ろう。■