さすらい人の独り言

山登り、日々の独り言。
「新潟からの山旅」別館
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さすらいの風景 フィレンツェ7

2008年02月10日 | 海外旅行
メディチ・リッカルディ宮殿。

フィレンツェの支配者であったメディチ家の宮殿。民衆のそねみを避けるため、しっそな外観になったといいます。約100年間メディチ家の住まいとして使われましたが、後にリッカルディ家の手に渡ったため、このような名前になったといいます。



中庭。壁に紋章がかかっていますが、六つの丸が並んだ紋章が、メディチ家の印です。薬屋から出発したため、薬を表しているようです。銀行業を生業としたため、コインを意味するという説もあるようですが。



中庭に立つ像です。何の像かは判明しませんでした。



宮殿の中には、こじんまりした中庭が設けられていました。



中庭の別な写真。これだけなら、意外に質素という感じがしますね。

メディチ家礼拝堂のお墓や、他のゆかりの宮殿を見ると、豪華絢爛をきわめているので、メディチ家自体が倹約路線というわけではありません。

この宮殿で有名な「東方三博士の礼拝」の絵の中では、当主のロレンツォは、美しい貴公子ぜんとして描かれているのですが、実は醜男だったといいますので、権勢のほどは良く判ります。

さて、音楽の話題ですが、ロレンツォ・デ・メディチは、ボッティチェリ、ミケランジェロら芸術家を庇護し、芸術家のパトロンとしての役目を果たしましたが、彼自身も詩人でありました。

とりわけ有名なのが、「謝肉祭の歌」の中の「バッカスの歌」

青春はうるわしされど逃れゆく
楽しみてあれ明日は定めなきゆえ
    (塩野七生訳)

さて、この詩から連想する曲に覚えはないでしょうか。

いのち短し 恋せよ乙女
朱き唇 褪せぬ間に
熱き血潮の 冷えぬ間に
明日の月日は ないものを
  作詩 吉井勇  作曲 中山晋平

そう「ゴンドラの歌」です。

この歌からは、黒沢監督の「生きる」の志村喬の入魂の演技が浮かんできます。

「ゴンドラの歌」は、確かにロレンツォの詩から影響を受けているようですが、メディチ家由来というには、ちょっと、小市民的にしょぼくれた感じがしてしまいます。

もう少し快楽的ぶっとんでしまった方が、元歌には相応しいでしょう。

それなら、この歌はどうでしょうか。

楽しい杯で喜びの酒を飲みほそう
はかないときを快楽にゆだねよう
愛を呼び覚ますときめきのうちに杯を飲みほそう
彼女のまなざしこそ、僕にはすべてに勝るのだから
乾杯しよう
愛によって、熱い杯の間に口づけを得るだろう

皆さんと一緒に楽しいときを過ごしましょう
喜びでないものは、すべてむなしいものです
楽しみましょう、はかない愛の花を
今楽しまなくては、すぐしぼんでしまいますわ
さあ、楽しみましょう
杯と歌が、夜々この楽園を新しくするのです

これは、ヴェルディ作「椿姫」より、「乾杯の歌」です。

元歌が、酒の神バッカスの歌とされているので、こちらの方が、元歌の意味を継承しているように思えます。


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