さすらい人の独り言

山登り、日々の独り言。
「新潟からの山旅」別館
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さすらいの風景 バナーラス その7

2011年12月30日 | 海外旅行
ガンガーでの沐浴見学を終えてバスに戻り、次は、近くのドゥルガー寺院を見学しました。



門前の店。



ドゥルガー寺院は、シヴァ神の妃で、戦いの神です。サルが多く住みついていることからモンキー・テンプルとも呼ばれています。



ヒンドゥー教徒しか入れませんので、外からの写真です。中央が本尊でしょうか。



入り口の脇に置かれているのは、シヴァ神のシンボルのリンガのようにみえますが、ドゥルガーは女神なので、どうなのでしょうかね。



門柱の上に獅子像が置かれていました。ドゥルガーのは、虎や獅子に乗った姿で描かれます。



ここで、ヒンドゥー教の神々についてまとめておきましょう。

インドを旅行していると、店先や車の運転席で神様の像が飾られているのを良く目にします。これらの大衆宗教画では、ヒンドゥー教の神々が決まりごとに従って描かれています。

これは、デリーの街中の寺院の壁に飾られていた絵です。



ほぼ同じ構図の絵です。

左から、ブラフマー、ヴィシュヌ、シヴァ神。

ブラフマーは創造を、ヴィシュヌは繁栄維持、シヴァは破壊を担当するといわれています。このうちブラフマーは大衆の人気が無く、ヴィシュヌとシヴァが主神として勢力を競っています。



この絵では、ヴィシュヌはアナンタ竜王に腰かけています。左にはガルダが控え、ヴィシュヌのへそからは生えた蓮華にブラフマーが乗っています。右に寄り添うのは、妃のラクシュミーで、背後にナーラダ仙人が立っています。

ヴィシュヌは、四手で描かれて、右手に武器である円盤(チャクラ)と棍棒。左手には法螺貝と蓮華を持っています。

ヴィシュヌは、地上に下りたって問題を解決するため、魚、亀、猪、人獅子(ナラシンハ)、矮人、パラシュ・ラーマ(斧を持ったラーマ)、ラーマの化身、クリシュナの化身、仏陀の化身、カルキの化身ジャガンナータなどに変身するといわれています。

ガルダやアナンタ竜王は、少し姿を変えて、インドネシアやカンボジアの遺跡にも登場しますね。



ラクシュミーは、ヴィシュヌの配偶神とされていますが、富と幸運と豊穣の神として広く親しまれています。ラクシュミーは、アンコールワットの壁画でも有名な乳海撹拌の際に、泡立つ海の中から生まれました。

ラクシュミーは、日本では日本に伝わって、吉祥天と呼ばれるようになりました。



シヴァ神は、通常、裸体に虎の皮をまとい、首に数珠と蛇を巻きつけ、手には三叉戟(この絵では省かれていますが)と小さな太鼓を持ちます。額には第三の眼があり、頭からはガンジス河が流れ出ています。乳海撹拌の際に、世界を救うために大蛇がはいた毒を飲んだ結果、シヴァ神の体は青くなってしまい、毒の影響を和らげるために三日月を額に乗せて和らげたといいます。前には、リンガと呼ばれる男根の象徴を置いています。

シヴァ神の乗り物は、牡牛ナンディンです。この牛に対する信仰が、インドで牛が食べられなくなった原因になっています。日本ではシヴァ神はそのままの形では礼拝されていませんが、天満宮に祀られている牛は、このナンディンが伝わったもののようです。



シヴァ神の妃はパールヴァティーです。山(パルヴァタ)の娘という意味で、ヒマラヤの女神と考えられています。



ドゥルガーは、武器をとって戦う女神です。虎または獅子を従えています。

かつてアスラの一人が神々と戦って勝利を治めました。天界を追われた神々は、ヴィシュヌとシヴァに助けを求めると、両神は大いに怒って、口から怒りの火を放ちます。他の神も光を発し、それらが合わさってドゥルガーが誕生します。神々は、彼女に自分の武器、すなわちシヴァの三叉戟、ヴィシュヌの円盤、アグニの槍などを与えました。ドゥルガーは、アスラが水牛に化けた時に殺すのに成功しました。



戦いの女神としてもう一人有名なのが、カーリーです。

アスラの兄弟が再び力を強めていきます。最初ドゥルガーが戦いますが、額から戦いの女神カーリーが現れます。アスラを切り倒していきますが、大地に血が滴り落ちると、そこからもう一人のアスラが出現するという事態になりました。カーリーは、血を飲み干して再生能力を失わせて、アスラを退治しました。

大勢のアスラを殺し尽くしたカーリーは勝利のダンスを踊り続けますが、その振動で大地は揺れて世界は壊れそうになります。踊りを止めるように頼まれたシヴァは、彼女の足元に横たわって、衝撃を吸収しようとします。夫を踏んでカーリーはようやく正気付いたといいます。

かつてカーリー寺院では、鶏や羊の血がおびただしく流され、人身御供も行われていたようです。

インドを舞台にした辺境冒険物では、カーリーを元にした神様が邪教として良く登場しますね。



サラスヴァティーは、学問と技芸の女神です。

日本では弁財天として知られ、手に持つヴィーナと呼ばれるインドの古楽器が琵琶に変わっています。



クリシュナは、ヴィシュヌ神の化身の一人として、インドでも広く信仰している神です。マハーバラタにも書かれている誕生から死までの物語の各場面が大衆宗教画に描かれています。

これは、いたづら好きの幼児クリシュナが、作っているバターを食べてしまうという場面を描いたものです。



最近では、日本でも知られるようになったガネーシャ。

パールヴァティーが入浴した時、垢を固めて人形を作って命を吹き込んで門番をさせていたところ、帰ってきたシヴァがこの知らない新生児と口論になって、頭をはねて殺してしまいました。パールヴァティーが怒ったため、シヴァは生き返らせる約束をし、部下に出かけて最初に出会った動物の頭を持ち帰るように命じます。持ち帰ったのは象の頭で、ガネーシャは象頭の神として生き返りました。

乗り物は、この図体にもかかわらず、ねずみ。

富と繁栄の神、知恵と学問の神、障碍を除いて成功をもたらす神として、商人をはじめとする広い層の信仰を受けています。



インドで泊まったホテルのロビーのほとんどで、ガネーシャの像を見ることができました。足元には、ネズミも置かれていますね。



ハヌマーンは、ラーマーヤナの登場人物ですが、神様扱いされるようになっています。

これは、デリーの街中で見かけた巨大な像です。

インドから東南アジアにかけての遺跡をみるには、これらの神様の知識があった方が良いですね。
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