語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【保健】集中して考えごとをすると、なぜ腹が減る?

2016年10月22日 | 医療・保健・福祉・介護
 「灰色の脳細胞は使うためにあるんですよ」(エルキュール・ポアロ by アガサ・クリスティ)
 人間の脳の重さは1.3~1.5kg。体重が60kgの人で2%程度のものだ。神経細胞の数で見ると、140億個。膨大な印象を受けるが、全身の細胞は、なんと60兆個にも及ぶ。ほかの動物と比べれば、圧倒的に大きく重い人間の脳も、人体の中ではちっぽけといっていい存在だ。
 ところが、このちっぽけなものが、多くのエネルギーを消費する。その量は、
 ・消費エネルギーでみると、体全体の18%
 ・酸素の消費量でみると、40%
にもなる。勉強したり、ちょっと考えごとをすると妙にお腹がすくが、これは脳がエネルギーをたっぷり使っているからだ。

□竹内均『時間を忘れるほど面白い 雑学の本』(知的生き方文庫、2011/23刷:2013)の「集中して考えごとをすると、なぜ腹が減る?」
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【保健】慢性疲労症候群に関係か ~腸内細菌叢~

2016年10月22日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)人の腸内で共生している100兆~1,000兆個の腸内細菌。宿主(人間)の免疫系や代謝調整に一役買っている。
 近年は腸内細菌の研究が進み、特定の疾患や肥満、2型糖尿病患者に特有の腸内細菌叢があることが解ってきた。これを利用し、腸の感染症や炎症性の腸疾患、自己免疫疾患患者に健康な人の腸内細菌を移植する治療法「FMT」も試みられている。

 (2)腸内細菌叢の人体への影響は、想像を超える。ある標準体形の女性は、腸の感染症の治療のためFMTを受けた後、ドナー(最近提供者)そっくりのメタボ体形になってしまった。
 研究者は、「腸内細菌を移植する際は、ドナーの健康状態に加えて肥満や過体重がないか確認すべき」としている【米感染症学会誌】。

 (3)また、先ごろ、筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)と腸内細菌叢との関連を示唆する研究が報告された。
 ME/CFSは、以前、慢性疲労症候群と単独で呼ばれていた難病。神経・免疫系の調節障害で、心血管障害の異常、慢性の痛み、胃腸障害などの全身状態を引き起こす。
 明確な診断法がなく、「なまけ病」「気のせい」と心ない言葉で揶揄され、辛い思いをした方も少なくない。
 しかし、近年、病気の存在を証明するバイオマーカーが明らかになっている。
 
 (4)米コーネル大学の研究者らは、腸内細菌叢を調べる便検査と血液検査を併用し、8割以上の精度でME/CFSを診断。
 その結果、ME/CFS患者の腸内細菌叢は、健康な人に比べて多様性に乏しく、炎症を抑える働きを持つ善玉菌が少ないほか、腸内細菌に由来する炎症物質が血液中に有意に増加していることが判明した。

 (5)研究者は、「腸内細菌叢の変化がME/CFSの原因か結果かは特定できないが、治療の一端として、善玉菌とその栄養源となる食物繊維やオリゴ糖などの摂取を心がけるとよい」としている。
 ME/CFSでもFMTが試みられているが、長期的な成果は不明だ。食事で腸内細菌をケアしつつ、有効な治療法の登場を待つことになる。

□井出ゆきえ(医学ライター)「21世紀は腸内細菌叢に注目/慢性疲労症候群にも関連か ~カラダご医見番・ライフスタイル編 No.3~」(「週刊ダイヤモンド」2016年8月27日号)
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