《甲》小野万「塩辛職人」・・・・ソルビット、酒精、調味料(アミノ酸等)、着色料(紅麹色素、パプリカ色素、アナトー色素)、増粘多糖類
《乙》波座物産「白造り塩辛」・・・・ソルビット、酒精、調味料(アミノ酸等)、ベニコウジ色素、増粘剤(キサンタン)
《丙》マルヨ「浜育ち」・・・・ソルビット、酒精、調味料(アミノ酸等)、着色料(ラック、パプリカ色素)、増粘多糖類
(1)以下の塩辛は、魚介類の肉、内臓などを塩で発行させた塩辛の代表的な食品だ。
一般的なものは、皮付きイカの細切りに肝臓と塩を加えて熟成させた赤作りで、原材料は「イカ、肝臓、塩」の3点のみ。
ちなみに、白作りは皮を剥いだ胴の部分を用いたもので、黒作りはイカの墨袋を加えて熟成させたもの。
(2)ところが、《甲》《乙》《丙》の原材料には信じがたい添加物が使われている。《丙》には必須原材料の内臓が加えられていないにもかかわらず、「イカの塩辛」だと。
《甲》《乙》《丙》に共通して使用されているのは、ソルビット(ソルビトール)、酒精、調味料(アミノ酸等)、着色料だ。
(a)ソルビット・・・・ブドウ糖還元物質の糖質系甘味料で、清涼な甘味や保湿効果を持っている。甘味は砂糖の60%ほどで低カロリー。不安点はないが、多量摂取は下痢を引き起こすとの報告がある。
(b)酒精・・・・醸造用発酵アルコールで、制菌効果(菌の発育を抑制する働き)で添加される。通常、食品でアルコールといえばエチルアルコールを指し、酒精はエチルアルコールの日本語名称だ。酒精の成分は酒税対象のアルコールと同じだが、医薬品・化粧品・飲食料品などに使用される場合は酒税は課されない。酒精を使うことで早く発酵・熟成が進み、制菌効果により菌の増殖を抑えることができる反面、添加することで本来の熟成により生み出されるさまざまの栄養分は期待できない。
(c)調味料(アミノ酸等)・・・・多くの問題点が指摘されている添加物だ。調味料の食品添加物表示は大きく分けて、①アミノ酸、②有機酸、③核酸、④無機塩があり、①と他の調味料を複合して使った場合のアミノ酸配合が最も多い場合に「調味料(アミノ酸等)」と表示する。①でよく使われる物質に、グルタミン酸ナトリウム(MSG)、アスパラギン酸ナトリウムなどがあり、MSGは「味の素」として知られる昆布系のうま味成分だ。塩味を和らげる作用があるため多くの食品に添加されているが、焦げたものから発癌物質が生じると指摘されており、血液脳関門が完成されていない乳幼児の場合、MSGが脳に侵入し、脳細胞の損傷を引き起こすと報告されている。成人の場合でも、血液脳関門がない視床下部や下垂体は、MSGによるしびれや頭痛などの症状を引き起こすと指摘されている。
(d)着色料・・・・①紅麹色素、②パプリカ色素、③アナトー色素、④ラック色素は天然系着色料だ。①は紅麹菌が生産する色素で赤橙色、②はパプリカの果皮から得られるカプサイシンという赤色、③はカロチノイド色素とも呼ばれ黄色、④はラックカイガラムシが分泌する赤い色素。ともに天然系色素で、不安点は低いのだが、③は変異原性が指摘されている。
(3)塩辛の歴史は古く、平安時代末期の書物に「塩辛」の文字が登場、現在のような塩辛が定着したのは江戸時代といわれている。
本来、塩辛は自然に発生する酵母によって発酵された栄養価の高い保存食品だ。しかし、市販の塩辛の大半は、添加物で造った調味液をからめた「イカ和え」にすぎない。伝統食だったイカの塩辛は、栄養価が期待できないどころか、傾向被害が懸念される食べ物に成り下がった。
□沢木みずほ「これはもう、塩辛というより単なる「イカ和え」」(「週刊金曜日」2016年9月30日号)
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《乙》波座物産「白造り塩辛」・・・・ソルビット、酒精、調味料(アミノ酸等)、ベニコウジ色素、増粘剤(キサンタン)
《丙》マルヨ「浜育ち」・・・・ソルビット、酒精、調味料(アミノ酸等)、着色料(ラック、パプリカ色素)、増粘多糖類
(1)以下の塩辛は、魚介類の肉、内臓などを塩で発行させた塩辛の代表的な食品だ。
一般的なものは、皮付きイカの細切りに肝臓と塩を加えて熟成させた赤作りで、原材料は「イカ、肝臓、塩」の3点のみ。
ちなみに、白作りは皮を剥いだ胴の部分を用いたもので、黒作りはイカの墨袋を加えて熟成させたもの。
(2)ところが、《甲》《乙》《丙》の原材料には信じがたい添加物が使われている。《丙》には必須原材料の内臓が加えられていないにもかかわらず、「イカの塩辛」だと。
《甲》《乙》《丙》に共通して使用されているのは、ソルビット(ソルビトール)、酒精、調味料(アミノ酸等)、着色料だ。
(a)ソルビット・・・・ブドウ糖還元物質の糖質系甘味料で、清涼な甘味や保湿効果を持っている。甘味は砂糖の60%ほどで低カロリー。不安点はないが、多量摂取は下痢を引き起こすとの報告がある。
(b)酒精・・・・醸造用発酵アルコールで、制菌効果(菌の発育を抑制する働き)で添加される。通常、食品でアルコールといえばエチルアルコールを指し、酒精はエチルアルコールの日本語名称だ。酒精の成分は酒税対象のアルコールと同じだが、医薬品・化粧品・飲食料品などに使用される場合は酒税は課されない。酒精を使うことで早く発酵・熟成が進み、制菌効果により菌の増殖を抑えることができる反面、添加することで本来の熟成により生み出されるさまざまの栄養分は期待できない。
(c)調味料(アミノ酸等)・・・・多くの問題点が指摘されている添加物だ。調味料の食品添加物表示は大きく分けて、①アミノ酸、②有機酸、③核酸、④無機塩があり、①と他の調味料を複合して使った場合のアミノ酸配合が最も多い場合に「調味料(アミノ酸等)」と表示する。①でよく使われる物質に、グルタミン酸ナトリウム(MSG)、アスパラギン酸ナトリウムなどがあり、MSGは「味の素」として知られる昆布系のうま味成分だ。塩味を和らげる作用があるため多くの食品に添加されているが、焦げたものから発癌物質が生じると指摘されており、血液脳関門が完成されていない乳幼児の場合、MSGが脳に侵入し、脳細胞の損傷を引き起こすと報告されている。成人の場合でも、血液脳関門がない視床下部や下垂体は、MSGによるしびれや頭痛などの症状を引き起こすと指摘されている。
(d)着色料・・・・①紅麹色素、②パプリカ色素、③アナトー色素、④ラック色素は天然系着色料だ。①は紅麹菌が生産する色素で赤橙色、②はパプリカの果皮から得られるカプサイシンという赤色、③はカロチノイド色素とも呼ばれ黄色、④はラックカイガラムシが分泌する赤い色素。ともに天然系色素で、不安点は低いのだが、③は変異原性が指摘されている。
(3)塩辛の歴史は古く、平安時代末期の書物に「塩辛」の文字が登場、現在のような塩辛が定着したのは江戸時代といわれている。
本来、塩辛は自然に発生する酵母によって発酵された栄養価の高い保存食品だ。しかし、市販の塩辛の大半は、添加物で造った調味液をからめた「イカ和え」にすぎない。伝統食だったイカの塩辛は、栄養価が期待できないどころか、傾向被害が懸念される食べ物に成り下がった。
□沢木みずほ「これはもう、塩辛というより単なる「イカ和え」」(「週刊金曜日」2016年9月30日号)
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