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煩悩を解脱した前期高齢者男のぼやき

見つめ合うと素直に愛が高まる?

2015-04-22 00:03:32 | ペット

飼い主の目をじっと見つめる犬がいる。

それは単に餌をもらえることを期待しているだけかもしれないし、

散歩に連れて行ってもらいたいと思っているだけかもしれない。

しかしじっと見つめ合うことによって

犬と飼い主の絆が強化されている可能性があるのだという。

 

4月16日付 New York Times

 

The Look of Love Is in the Dog’s Eyes  愛の表現は犬の目の中にあり

By JAN HOFFMAN,

飼いならされた犬と人間は愛情のフィードバック・ループを発展させた。

  大きな茶色の目がじっとあなたを見つめる。あなたの心臓は高鳴る。あなたは撫でてやりながら他愛もないやさしい言葉をささやく。すると、その大きな茶色い目はあなたに向けられたまま、尻尾が振られる。

 忠実な犬。夢中になる飼い主。Science 誌の最新のレポートによると、愛が増強されるこの連続したループはこういった犬の凝視から始まる可能性があるという。

 飼い主に対する長い凝視を訓練した犬では高いオキシトシン値がみられることを日本の研究者らが明らかにした。このホルモンは脳で産生され、子育てや愛着に関連するが、これは親と子の間の結びつきを強化するような良い気分にさせるフィードバックに類似する。このような長い凝視を受けると飼い主のオキシトシン値も上昇する。

 犬の凝視は飼い主の中のつながりと反応に信号を送る。飼い主は凝視や話しかけや触ることでその犬に見返りを与えることになるが、それらすべてが両者間の絆を強くすることになるとこの研究者らは述べている。犬は、本来の人間のコンタクトの手段である目と目によるコミュニケーションに順応することで飼い慣らされるようになったと彼らは示唆している。

 そして、研究者らが点鼻スプレーによって過剰なオキシトシンを犬に投与すると、(オスではみられなかったが)メスの犬はさらに長く飼い主を凝視したが、そのことによって今度は飼い主のオキシトシン値を上昇させた。

 「この研究のユニークな内容は、オキシトシンが2つの大きくことなる種の間の社会的な凝視相互作用を強化させる可能性があるということにあります」この最新の研究には関与していない Yale 大学の心理学、神経生物学の准教授 Steve Chang 氏は言う。

 動物でオキシトシンを研究している Chang 博士は、飼いならされることによって犬は人間を自分たちの“重要な社会的パートナー”と見なすようになったが、一方で人間もまた犬を社会的パートナーと見るようになったのだという。

 それぞれの種がお互いのオキシトシン値を高め、関係を促進するやり方を学ぶことで「ある意味、飼いならされた犬は私たちの社会的回路をハイジャックすることが可能となり、私たちもまた彼らの社会的回路をハイジャックすることになっているのです」e メールで彼はそのように言う。

 この研究者らはさらに、狼から飼い主への凝視がどちらか一方、あるいは両者のオキシトシン値を高めるかどうかをみるために人間に育てられた狼を調べた。しかし犬と比較して、狼は飼い主をほとんど凝視することがないため飼い主のオキシトシン値もほとんど変化しなかった。

 犬とは異なり、狼はどちらかといえば“視線を合わせることを脅しとして利用しがちであり”、“人間とのアイ・コンタクトを避ける”傾向にあると、自治医科大学のリサーチ・フェローで本研究の著者である Miho Nagasawa(永澤美保)さんは書いている。

 麻布大学獣医学部教授 Takefumi Kikusui(菊水健史)博士は、犬と狼の間の凝視の差は“人間と生活するという進化的な飼いならしの過程で犬がこの優れた能力を身に着けたこと”を意味するものと考えていると eメールに書いている。

 さらに続けて「犬は、子供と親を結びつけるための自然体系を無意識のうちに巧妙に利用した可能性が存在する」と彼は言う。

 第1の実験では30分間互いに影響しあう前後で30人の飼い主と犬の尿中のオキシトシン値を測定した。犬にはオスとメスがいたが、その中にはメスで手術を受けたもの、オスで去勢手術を受けたもの、去勢されていないものもいた。犬種は複数のゴールデンリトリバー、スタンダード・プードル、ミニチュア・ダックスフンド、ミニチュア・シュナウザーと1匹のジャックラッセル・テリア、そして2匹の雑種である。さらに5頭の狼とその飼い主でオキシトシン値を測定した。

 オキシトシン値の変化は、飼い主に対してより長い凝視を行った犬で最も顕著だった。長い凝視とは研究者らによって、対面の最初の5分間のうちの100秒間と定義された。犬種間や犬の性別でオキシトシンレベルに有意な差はなかった。

 2番目の実験では、犬に対して生理食塩水あるいはオキシトシンの点鼻スプレーを投与した。今回、それぞれの犬は3人の人間と部屋に入った:飼い主と二人の見知らぬ人間である。すると、オキシトシンを投与されたメスの犬だけが飼い主にさらに長い凝視を示した。そして飼い主たちはオキシトシン値の急上昇を示した。犬の性別で違いがあった理由については研究者らによって述べられていない。しかし、2人の見知らぬ人物の存在が原因となってオスの犬の警戒心がオキシトシンの変化を抑制した可能性があると研究者らは推察している。

 犬の行動の他の専門家らは本研究の意味合いを拡大して述べることに警告を表している。

 Barnard College の Dog Cognition Lab の所長 Alexandra Horowitz 博士は“本研究を魅力的な研究の方向性である”と考えているが、それは、“行動測定とホルモン成分の間の関係を見ているからである”と言う。それは多くの興味ある疑問を提起していると彼女は言う:長い凝視と短い凝視について;メスの犬だけがオキシトシンの投与に反応した理由;他の犬種では異なる結果が得られるのかどうか、などである。しかし、サンプルのサイズが小さいことを指摘し、彼女は次のように付け加える。「それが飼いならしの命題をどのように証明することになるのか私にはわかりません」

 そして、犬の“凝視”の意味づけという問題がある。人間の凝視にはニュアンスが重層する。犬の飼い主は似たような複雑さが犬の凝視にもあると見なすかもしれない。彼らが、親のようにそれを解釈する可能性がある。〔これは(犬種の一つであるハバニーズの飼い主によって支持された観点である。この犬の熱心で感情のこもった凝視は長く意味ありげで、首をかしげ耳を前方に揺らすことで中断された。多くを語るのである〕「もし犬の凝視で、その犬があなたを理解していると考えることができるなら、それによって絆が生まれることになります」と Horowitz 博士は言う。

 本研究に付記された評論の共著者で Duke Canine Cognition Ceneter の共同所長である Evan L. MacLean 氏は、「犬の凝視が何を意味しているのかはわかっていません。皆さんが人間の赤ちゃんをみるときいい気持ちがします。恐らく犬も気持ちがいいからあなたを凝視するのでしょう。きっと犬は、その目で皆さんを抱きしめているのです」と言う。

 しかし、進化人類学者である MacLean 博士によると、本来、犬にとっては人間の行動は、「まさに起ころうとしているすべてのことを顕すもの”であるという。私たちが立ち上がろうとしているのかそれとも座ろうとしているのか?部屋を出て行くのか?食べ物を持ってきてくれるのか?

 そしてだからこそ彼らは私たちをじっと見つめるのである。

 「もし私が火星に降ろされ、皆が理解できない言葉を話していて、彼らの言葉を決して習得できないと思ったなら、私はただあきらめるでしょう。しかし犬はそうしません。彼らは絶えず私たちを観察することを厭わないのです」と MacLean 博士は言う。

 

飼い主をじっと見つめる→飼い主が喜ぶ→餌をもらえる、頬ずりしてもらえる

このパターンに味をしめた犬の作戦に飼い主もだまされてしまう可能性がある。

しかしそこに愛情ホルモンであるオキシトシンの上昇が双方に見られるとなると

単に自分に都合のいいだけの行動ではないようではある。

とはいえ、

日頃飼い主が想像する犬の気持ちなど

人間のひとりよがり的な解釈が多分に入っていそうなので、

実際のところ全く見当はずれとなっているのかもしれない。

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