MrKのぼやき

煩悩を解脱した前期高齢者男のぼやき

検討だけなら許される?

2009-10-13 00:04:20 | 国際・政治

広島市の秋葉忠利市長と長崎市の田上富久市長は11日、
2020年の夏季五輪の招致検討委員会を近く設置すると
発表した(10月12日付中国新聞)。

Hiroshimanagasaki

このニュースは米紙にも紹介されている。

10月11日付 Washington Post 電子版 Reuters から

Hiroshima, Nagasaki eye joint 2020 Games bid
広島と長崎、2020年五輪共同招致を目指す

 核攻撃を受けたただ二つの都市、日本の広島市と長崎市が2020年の五輪開催の共同招致を検討している。
 300km以上離れた日本の両市は招致実現によって核廃絶の動きに弾みをつけたいとしている。
 2016年の五輪招致の東京の失敗があり、さらに世界に “よりよい将来への希望” を与え、核武装解除を求めて懸命に努力していることに対して、アメリカ合衆国大統領、Barack Obama 氏へノーベル平和賞が授賞されるという驚きのできごとの後、この同意が浮上した。
 「これはオバマ大統領や政府間の話し合いだけに任せておくべき問題ではありません」と田上富久長崎市長は日曜日の記者会見で訴えた。
 「我々一人一人がこの問題で果たす役割を持っており、オリンピックを招致開催することは被爆都市としての役割の一つとなり得るでしょう。招致の可能性を探ってゆきたいと思っています」
 広島、長崎、および他の支援都市による共同開催での2020年五輪招致の実現可能性を検証する委員会の設置について両市ですでに合意していると当局は発表した。
 広島市の秋葉忠利市長は両都市間の距離は招致への障壁とはならないだろうと述べた。
 「両市間は飛行機で行けば30分余りしかかかりません」と、彼は言う。「地理的には離れているかも知れませんが、移動時間で見ると、そんなに遠くはないのです」
 1964年にアジアで最初の都市としてオリンピックを開催した東京は2016年の五輪招致合戦でリオデジャネイロに敗れたばかりである。

以前より広島市の秋葉市長の口から
広島でオリンピックをとの「夢」が聞こえてはきていたものの、
今回の2020年夏季五輪招致へ向けての広島・長崎の姿勢は、
多くの人たちにとって突然の話として受け止められたことだろう。
オバマ大統領のノーベル平和賞受賞で、
オバマジョリティ推進にさらに拍車がかかったことから
両市の間で一気に話が進んだと思われる。
確かに世界のスポーツの祭典が、
唯一の被爆2都市で行われることの世界へ向けての
発信力は大きく、核廃絶への流れが急加速する可能性はある。
しかし、国威発揚の舞台と化し、
ど派手で商業主義に支配された現在の形でのオリンピックを
この両都市で開催することは100%(といっていいのか?)
不可能である。

1994年、広島市で行われた第12回アジア競技大会は、
広島市によれば成功裡に終わったそうだが、
はたして事実はどうなのだろうか?
被爆都市広島から、どれだけアジア諸国に核の脅威や悲惨さを
そして核廃絶の重要性を発信できていただろうか?
広島県民以外の国民で、その年、あの競技大会が
広島で行われたことを一体どれだけの人が覚えているだろうか?
(最初から知らない人もいるだろう)
また、あの大会での莫大な財政支出がいまだに広島市の
財政状況に負の影響を残していることも忘れてはならない。
巨額の支出をして大会のために準備された都市基盤の整備も
結局は不十分なままで終わっており、
諸処の設備がいまだに十分機能していないのが現状である。
オリンピック招致を思いつき、発表に踏み切る前に
やっておくことがあったはずである。
それはアジア競技大会を広島で開催したことの意義についての
検証である。
広島市民はあの大会が終了して以降、
その話題に接することはほとんどなかったのである。
オリンピックが今の姿では両市での開催の意味は薄い。
オリンピックがその原点に戻り、多くの利権を排除し
簡素な施設であっても各国の選手が競技に専心できることを
第一に考えること。
そして、観衆は競技に熱中するとともに、
世界平和を願い、核廃絶への強い想いを共有し、
それを世界に発信するという気持ちが自然に湧き起こる、
そんなオリンピックへの変貌を遂げるならば、
広島・長崎で開催される意義は大きいと言えるだろう。

コメント
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