MrKのぼやき

煩悩を解脱した前期高齢者男のぼやき

ワクチンへの躊躇

2009-10-05 21:08:37 | 健康・病気

いよいよ新型インフルエンザに対するワクチン接種が
今月19日の週から開始されることに決まった。
接種費用は2回接種で 6,150円(一回目 3,600円、二回目 2,550円)。
2回を同一施設で行う限りにおいてこの値段。
優先接種対象者は
① インフルエンザ患者の診療に直接従事する医療従事者(救急隊員含む)
② 妊婦、基礎疾患を有する者
③ 1歳から小学校3年生に相当する年齢の小児
④ 1歳未満の小児の保護者、優先接種対象者のうち身体上の理由により
  予防接種が受けられない者の保護者等
となっている。
ワクチンは10月からの接種分は国産のもので開始、
輸入分は12月末以降となる見込み。
よって1月以降は国産、輸入分の両者が用いられる見込みだが、
どちらに当たるかは受けるものにはわからず、
指定もできないようだ。
ワクチンによる副反応については報告体制を厳重にし、
患者に対し国が救済を行う予定。

日本ではワクチンを忌避する傾向は少ないようだが、
海外では意外と根強いようだ。
そんな記事を2編。

10月1日付 TIME.com
 

Weighing the Risks of Mass Vaccinations 集団予防接種のリスクを斟酌する

By Eben Harrell/London

Massvaccination

イギリス、コベントリー市にある Blue Coat Church of England School の門に置かれた花。この学校の生徒が、HPV1 ワクチン Cervarix の接種を受けた後 死亡したからである。

 多くの14才の少女と同じように、Natalie Morton もまた子宮頚がんを多くの時間をかけて心配することはなかった。しかし、英国 Coventry にある Blue Coat Church of England school のクラスメート全員と一緒に、彼女は9月28日にその疾患予防を目的としたワクチンを受けた。そして数時間後、彼女は死亡した。
 メディアの騒動が巻き起こる中、地方の保健当局は直ちに、死亡した Morton に対する“十分で迅速な”調査を発表し、万一に備えワクチンの一時中止を命令した。一日もたたないうちに行われた仮の検視によって、Morton はこのワクチンで死亡したのではなさそうだということが判明し、代わりに“重篤な潜在的な医学的状態”が原因とされた。しかし、多くの西欧諸国が H1N1 インフルエンザに対する大規模な接種計画をまさに始めようとしている今、Morton の死はあらゆる予防接種キャンペーンの陰にある厳しい現実を明確に示している。すなわち、ワクチン接種者の一定少数は副作用被害を受ける可能性が常にあること、そして時にそれが致死的であるということである。
 「ワクチンが完全に安全であるという保証はありません」と、スコットランド、University of Aberdeen のウイルス学の名誉教授、Hugh Pennington 氏は言う。「臨床試験は数千人の規模で行われ、ワクチンによるありふれた軽度の反応―大部分は発熱や腕の痛み―を明らかにしてくれます。しかし、もしワクチンが百万人に一人に重篤な副作用を生ずるような場合、それについては検証の方法がないのです」
 Morton は GlaxoSmithKleine 社の Cervarix を受けた後に死亡した。このワクチンは大部分の子宮頚がんに関係している性感染症である human papilloma virus (HPV) から女性を保護する目的で作られた2つのワクチンの一つである(米国女性は Merck 社によって製造された HPV ワクチン Gardasil の接種を受ける)。Cervarix は昨年導入され、イギリスの子宮頚がんによる死亡を約75%減少させ、あるいは年間650人の死亡を減らせると見込まれている。これまでのところこのワクチンはイギリスでは140万人の女性に接種されており、Morten の死はこのワクチン接種との関連が推測される初めての症例である。しかし、ワクチン接種者にはそれほど重篤ではない副作用も見られている。イギリスの医療健康管理用品管理機関は2008年4月以降、副作用が疑われる例を2,000件以上報告しているが、疼痛、失神、あるいは嘔気など最もよく見られる報告は、この薬剤そのものによるというより注射行為の結果である可能性がある。
 こういった危険性を考慮すると、集団接種の開始決定にはむずかしい問題がある。Jacob Weisberg 氏の著書、“The Bush Tragedy” によると、George W Bush 大統領と Dick Cheney 副大統領は、2002年、米国全域にわたる天然痘のワクチン接種計画を施行するか否かについて意見が分かれたという。Cheney 氏は、これを実施することは的確なテロ対策の手段となると主張した。しかし、この計画は大勢の死亡につながる可能性があるとの理由で Bush 氏は Cheney 氏の意見を却下した。(統計学的解析では天然痘ワクチンでは百万人の接種者から一人ないし二人の割合で死者が出ることが示されている)。保健当局はそういった決定を必ずしも正しく行えるわけではない。1976年3月、米国政府は、パンデミックの懸念があった豚インフルエンザに対する大規模ワクチン計画を命令した。数週間のうちに、ワクチンによって生じたと考えられる麻痺性の神経疾患 Guillain-Barré 症候群を発症した人たちの報告が明らかとなった。これによって結局30人以上が死亡した。数多くの抗議を受けた連邦政府は12月、突然この計画を中止した。
 しかし、死亡とワクチンを決定的に結びつけることは困難であり、1976年の Guillain-Barré 症候群の死者のうち実際に何人がワクチンによって引き起こされたのかについては専門家の間でいまだに議論があると、Pennington 氏は指摘する。以上の理由から、ワクチン接種者に認められる副作用の問題は、健康な人たちにワクチン接種を納得させるというもともと困難な作業を一層難しいものにしてしまう可能性があることを保健当局は懸念している。理由がなんであれ、人は他の薬剤に比べ、ワクチンに対してはより強い懸念を持つ傾向にある。これが 18世紀後半、イギリスで天然痘の拡大を予防するために最初のワクチン接種が行われて以来の実情だ。そのワクチンはウシの成分を用いており(ワクチンという単語はラテン語の“vacca [牛] ”に由来している)、人々は、その注射によって自分たちがウシに変えられてしまうと恐れていた。
 「何度も引用される例はMMP(麻疹、おたふくかぜ、風疹)ワクチンと自閉症の関連に対する懸念です」と、Pennington 氏は言う。「米国ではこのワクチンの高い接種率が麻疹の撲滅につながりました。しかし、ヨーロッパでは子供たちにワクチンを受けさせるのを拒否した親が多く、このウイルスに蔓延・感染が続く余地を与えることになったのです」
 現在、全米国民に接種するに十分な H1N1 ワクチンはない状況で、ワクチン接種の最優先の対象者とすべき第一線の医療従事者が、安全面の懸念からこれを拒否することを当局は懸念している。そうなるとインフルエンザで入院する患者を治療する医療従事者の機能が損なわれる可能性がある。8月の The Emergency Health Threats Journal に掲載された報告によれば、H1N1 のアウトブレイクに先立ってカナダで行われた11の集団を対象とした研究で、新しいワクチンの危険性がメリットを上回ると信じた場合、医療従事者は自分や自分の子供たちへの接種を拒絶するだろうと考えていることが明らかにされた。先月the British Medical Journal のオンライン版に発表された別の研究では、香港の医療従事者で H1N1 インフルエンザワクチンを受ける意志があると答えたのは半数以下であったことが報告されている。

続いて
10月2日付 New York Times 電子版

Swine Flu Spread Prompts Move on Vaccine 豚インフルエンザの感染蔓延はワクチン接種への動きを加速

By Donald G McNeil

 木曜日(10月1日)、疾病対策予防センター (CDC) は、豚インフルエンザは今や米国全体に蔓延しているとの声明を出し、連邦保健当局は国家備蓄分から小児用のタミフルを放出し、新しい豚インフルエンザワクチンの各州からの注文受付を開始した。
 また、事例報告ならびに少なくとも一つの調査によると、多くの米国人がワクチンに対して神経質になっていることが明らかとなっていて、当局は、新しいワクチンが季節性インフルエンザ・ワクチンとほぼ同等であることを強調し、ワクチンについての通説が誤りであることを明らかにするためできる限りのことをしていると述べた。
 疾病対策予防センターの免疫・呼吸器疾患部の部長である Anne Schuchat 医師は「ほとんどすべての州で顕著なインフルエンザの流行がみられます」と述べ、「この時期としてはきわめて異例です」とつけ加えた。
 Schuchat 医師は妊婦について特別の懸念を表明した。8月下旬までに100例が集中治療室に入院し、4月の流行開始以降28例が死亡している。
 「これは実に由々しき数字です」と、彼女は言い、接種が可能となればできるだけ早期に豚インフルエンザのワクチン接種を患者に助言するよう産科医や助産師に促した。
 さらに木曜日には、サウスカロライナ州 Fort Jacksonで基本訓練中の23才の新兵が、豚インフルエンザによる陸軍で最初の死亡例となったことが確認された。軍によると、その新兵はフロリダ州 Deltona 出身の Christoopher M Hogg 技術兵で、9月1日に発病し、9月10日に肺炎で死亡した。Hogg 技術兵は最初、検査で豚インフルエンザ陰性だったが、剖検で明らかとなったという。
 毎年約50,000人の兵士が Fort Jackson で訓練を受ける(この基地は1918年、スペインかぜで大きな被害を受けており、Associated Press が引用した軍事歴史学者によれば新兵の5%が死亡したという)
 地方のニュース・メディアの報道によると、インフルエンザの患者は国内の多くの地域で増加を続けている。
 テキサス州 Austin の Dell Children’s Medical Center は駐車場に2張りのテントを建て緊急治療室受診者に対処しているという。またColorado Springs 近くの病院ではインフルエンザの患者が30%の急増を見た。
 小児例が増加しているため、保健社会福祉省は火曜日、国のパンデミック用備蓄から小児用のタミフル・シロップ30万人分を放出し、初回便はテキサスとコロラドに送られた。
 Schuchat 医師が言うには、それらの一部は使用期限を過ぎていたが、食品医薬品局が備蓄薬を検査し、まだ使用可能であると認定したという。
 豚インフルエンザの99%以上は軽症から中等症であるが、喘息、肥満、糖尿病、心疾患など比較的ありふれた疾患を有する数百万人では、妊婦や、ワクチン対象外の低年齢児と同様、他の群に比べてリスクが高い。 
 このインフルエンザによる小児死亡例の最終の疾病センターによる集計では8月8日現在で36人であった。それ以降、数州から小児の死亡例が報告されているが、その多くは学校が他より早く始まる南部において見られている。
 先週、同センターは、8月30日以降、インフルエンザの症状そのものや、インフルエンザに関連した肺炎で 936 人が死亡したと発表した。8月30日からは豚インフルエンザをラボで確認していない例を含めた死亡者の新たな集計が始まっている。これは季節性インフルエンザによる一年の死亡者数 36,000人に比べると少ないが、通常死亡することのない年齢層に集中しており、さらに通常のインフルエンザ・シーズンは11月になって再び始まることになる。
 多くのアメリカ国民が豚インフルエンザ・ワクチンの接種に気が進まないという同センターの懸念を裏付けるように、Consumer Reports は、調査した親の半数は豚インフルエンザを心配しているものの、子供に確実にワクチン接種を受けさせようとするものはわずかに35%だったという調査結果をこの水曜日に発表した。約半数は決めかねており、それらの多くは、同ワクチンが新しく試験が行われていないことを心配していると述べた。
 一つの懸念される点は、接種を決めかねていたり、反対している親の69%が、子供たちには自然免疫を身につけてもらいたいと述べていることだ、と Consumer Reports の医療部門の評価の責任者である John Santa 医師は言う。
 「それが“自然の”感染によるものであれ、ワクチンによるものであれ、間違いなく同じ抗体がつくられるのですが…」と、Santa 医師は言う。「もし子供が死亡してしまったら、“自然免疫”のためにとてつもなく高い代償を払ってしまったことになるのです」
 (この調査は9月2日から9月7日にかけて行われた1,502名の成人を対象に行われた電話調査でプラスマイナス3%のサンプリング誤差がある)
 このワクチンは新しいものではなく、臨床試験がなされていないということはない、と、Schuchat 医師は主張する。
 弱毒化したインフルエンザ・ウイルスという、例年の1億人分の季節性インフルエンザのワクチンと同じ“遺伝的根幹”に根差しており、同じ有精卵で作られ、同じ工程で精製される。そして、9月に行われた試験的接種では、はやり同様の副作用が認められたが、その多くは腕の局所の痛みと微熱であった。
 疾病センターの科学者たちは77例の豚インフルエンザ死亡例の肺の標本を調べ、その約3分の1はインフルエンザ単独で死亡したのではなく、インフルエンザが肺に炎症を起こした時に侵入した細菌で死亡したことを明らかにした。
 “良い知らせ”は、感染症のほとんどが肺炎連鎖球菌であり、それに対するワクチンが存在する通常の細菌であったことだと、Schuchat 医師は言う。このワクチンは通常、慢性心疾患や肺疾患のある65才以上の人にだけ接種されるが、接種が望ましいと考えられる米国人の5人に1人しかそれを受けていない。その範疇に入る人はもっと接種を受けるべきである、と彼女は言う。

自分は大丈夫、と思って気軽に受けてきたし
これからも受けるつもりだが…
不幸にして亡くなった方も、まさか自分が、と
思って接種を受けたことだろう。
それでも、やっぱり、ワクチンは受けるだろう。

国が事業として接種を始め、接種を推奨するからには、

副作用に対しても国がきちんと対応すべきであるのは

当然のことだと思うのだ。

コメント
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