案外、買い物好き村上 龍幻冬舎このアイテムの詳細を見る |
私は村上龍好きを公言しているが、意外とエッセイは読んでなかったりする。たまに読んでもエッセイの方がかえって読みづらかったりすることもあってね。
この本はタイトルからしてすでに三枚目風なんだが、本文を読んでもそこはかとなく、でもかなり三枚目な感じが出ていて、しかも力んでいない感じがあって、とても軽く、でも楽しく読めた。
この本で告白しているように、村上龍は全然おしゃれには興味がなかったそうで、アイドルとの飲み会でフード付きジャージでいって、信じられないという目つきで見られたあたり、実話だとは思うが三枚目風でおもしろい。
それから、イタリアでは飢えたようにシャツを買うそうだが、イタリアのシャツの店にいって40万。信じられますか。
やっぱり若くして成功した人は金銭感覚が少し狂ってる、という話を某フォークシンガーのPHOTOを撮っていたカメラマンからきいたことがあるが、若くして文学賞を取った人も同じだな、と思う。
が、笑えるのは、このシーンで村上龍は高いと思って、カードを出す手が震えるのである、金銭感覚が狂ってるところと、でもリアルなところま入り交じっていておもしろいと思う。
でもイタリヤのシャツはいいんだろうな。あと、15000円ぐらいする最高級コットンでできたTシャツってのは気持ちいいだろうなぁ。
いずれにしても作家にとって、買い物は最高のエンターテイメントだし、気晴らしなんだろうな、お金はあるんだろうし、商売にはそんなにお金がかからないわけだから、こういう大人買い(もしくはバカ買い)でもしないと、行き詰まってしまうだろう。箱根で一週間小説だけを書き続けるというマネは、とてもではないができる所行ではない。少なくとも俺には。