ひとり旅への憧憬

気ままに、憧れを自由に。
そしてあるがままに旅の思い出を書いてみたい。
愛する山、そしてちょっとだけサッカーも♪

筑波山ソロ:不思議な標識

2011年05月17日 20時47分33秒 | Weblog
今回のソロ登攀に関して、実を言えば事前のトレーニングをしてはいなかった。
「まぁ筑波程度ならいつでも・・・」と。
猫魔ヶ岳登攀から一ヶ月と少しの間、トレーニングらしいものはほとんどしなかったと言ってもよい。

その結果は、疲労や足腰の痛みなどはまったくないのだが、異常なまでに大汗をかいた。
登攀開始から約30分、あまりの汗の多さに自分でも驚き、バンダナで汗を拭き取る。
「そう言えば、体を動かして汗をかくことすらしていなかったなぁ」
そんなことを思いながら腰を下ろし一服した。

樹林帯の中を進む。
天候は曇りだが、Tシャツ一枚でも十分な暖かさだ。
水分補給を怠ることなく登攀を続ける。

ルートの途中途中に、「○○まであと△△㍍」という標識がたっている。
まぁあくまでも凡その数値なのだろうが、それでも目安にはなる。
その場で、持ってきたルートマップとコンパス、高度計で現在位置を確認し、標識と比較してみた・・・のだが。
「俺の計算が違うのかなぁ」
不安はなかったが、疑問を抱きつつ再び上る。
そしてまた標識が立っていた。
「よし、次の休憩地点まであと○○メートルだ。 ん!? ちょっと待て、これって変だぞ」
さっきの標識があった地点より、間違いなく休憩ポイントに近づいているはずなのに、何故か距離が増えている。
「そんなバカな!」
写真こそ撮ってはこなかったが、やはり当てにしてはならないものだとあらためて感じた。
筑波山程度の山だから済むことかも知れないが、このいい加減さには少々腹が立つ。
標高や距離という数値が、山においてはどれほど重要なものであるのか、まるで分かっていない。
道迷いや方向の錯覚を引き起こしかねない原因となるからだ。

筑波山ソロ:本年度第一発目

2011年05月16日 23時09分00秒 | Weblog
3月は、例年にもまして多忙だった。
「東日本大震災」の影響は、仕事や家庭だけでなく、プライベートにまでも及んだ。
地震による山の状況がつかめないでいた。
それに放射能の不安もあった。

「山は危険だよ」と、職場の多くの同僚から言われた。
当然だろう。山のどの部分で崖崩れが起き、ルートにどれ程の影響が出ているかまったく分からなかった。
事前にネットで調べたが、明確な現状把握ができないでいた。
「はて、どうするか・・・。早いとこ足慣らしをしておかなきゃなぁ。」
最も家から近いのが「筑波山」で、車で約1時間ほどで麓まで行ける。
「行くだけ行ってみて、どうしてもダメなら戻ろう」
そう思い、4月に入っての最初の土曜日に本年度最初の足慣らしに出かけた。

標高は900メートルにも満たない、途中休憩を入れても2時間あれば登頂できる低山。
9時過ぎに家を出て、10時30分には登頂口の「筑波神社」をスタート。
今回は久々のソロだが、多くの奇岩が点在するルートを選択した。
もちろん初めてのルートだ。
神社を経由し、いざ登山道へ・・・と思いきや、いきなり「登山道通行禁止」の看板に行く手を阻まれた。
「やっぱりなぁ・・・」
少々迷ったが、なんとそのルートから下山してくる人たちがいるじゃないか。
ひょっとしてルートがふさがれてしまっているのか・・・と思い尋ねてみたが、諦めての下山ではなく、既に登頂し終えたところだという。
「山は自己責任の世界」
耳にたこができるほど何度も言われた言葉をあらためて思い出した。
しばらく考えて決断した。
「よし、登るぞ!」
そうは言っても、言葉にこそ出さなかったが、不安は大きい。
たかが筑波山。されど山。
「自己責任」なんてものは、山好きの人間が勝手に決めつけたわがままに過ぎない。
何故なら、万が一己の身に何かあったなら、遺された家族の悲しみや職場への迷惑は計り知れないものとなる。
自己責任なんてあまりにも無責任なだけ。
反面、無事下山することを大前提とするのも登山。
ただ、この時期だけは今までとは違う。
もし、登攀中や下山中に大きな余震が起きたらどうするかという懸念がある。
足はすでに登攀し始めている。

分岐点まできたが、引き返すならまだ間に合う。

MULP

2011年05月15日 23時30分02秒 | Weblog
MOC ULTRA LIGHT PROJECT
略して“MULP”
な~んてね(笑)。

昨日、職場の仲間と「男体山」へ登ってきた。
裏からの登攀は昨年の晩秋に登ったが、表道からの登攀は初めてだった。
実を言えば、今回の男体山登攀には理由がある。
夏の「劔岳」へのためでもあるのだが、6/18に参加予定している、「モンベルおやまゆうえん店」主催によるMOC(mont.bell Outdoor Challenge)で男体山へ登ることになっているのだ。
そのための事前訓練的な意味合いでの登攀だった。

MOCの趣旨や計画を見ると、登攀に要する時間は3時間30分を予定しているという。
それが何を意味するのかと言えば、休憩無しで一気に登頂すると言うことに近いことなのだ。
正直言って自信が無い。
無いが、参加の意思を表明した以上は将に“CHALLENGE”するしかあるまい。
それ故に、果たして自分がどれくらいの時間で登頂できるかを試してみたのが昨日だった。

詳細は後日ブログでアップしたいが、結果のみを綴れば、往路で4時間10分。復路で3時間ちょうどだった。
もちろん往復共に10分間の休憩を何度か入れての結果だ。

完全に自信喪失。
こんな記録でMOCに参加しても、まともに登攀できるはずがない。
他の参加者に迷惑をかけるだけになってしまう。
さすがに昨夜は落ち込んだ。
「キャンセルしようかなぁ・・・」
そこまで考えた。

時間がかかってしまった理由は、自分の根性無しだけではない。
数日前から持病の半月板損傷による左膝の痛みが再発してしまった。
前日に針を打ち、テーピングで固めてはもらったが、当日も痛みはあった。
これで独立峰を直登することができるのか・・・。

そしてもう一つ。
準備の段階でパッキングをし、ザックを計量したら拍子抜けするほどの軽さだった。
「これじゃ事前の訓練にならないなぁ」と思い、25リットルのザックから40リットルのザックへ変更し、更に全く不必要なクロージングやギアを詰め込み、約15㎏の重さとした。
今にして思えば「何もそうまでして・・・」と考える。

じゃぁどうすれば目標タイムに近づけるのか。
[その1]
今回の反省を生かし、荷物の軽量化を図る。
つまりは少しでも「ウルトラライト」化すること。
無駄を徹底的に省き、必要最低限のギアアイテム、クロージングで臨む。
[その2]
膝の痛みへの対処。
通院はもちろんだが、テーピングだけでなく専用のサポーターを準備し臨む。
[その3]
日常的に足腰を鍛える。
日々のスクワット、腹筋背筋運動、腕立て。最低限これだけは怠ることなかれ。
[その4]
上記をふまえて、本番前に再度男体山へ登攀する。

それでもダメなら・・・う~ん、どうするか?
キャンセルだけはしたくないなぁ。
でも迷惑だけはかけられないしなぁ。
いかんいかん、もっとポジティブに思考しなきゃ。

雪の低山:経験を積む

2011年05月15日 23時16分59秒 | Weblog
ゴールドラインから外れ、林の中のアップダウンを抜けGOAL。
僅かに6時間程度のコースだったが、今までのSSTとは別格の体験だった。
何よりもラッセルやピーク越え。
そして、視界の利かない状況でのコンパスと高度計と地図のみによるルートファインディングの難しさは、一番の経験だった。
これからの雪山登山における目安になる。とまでは言わないが、一歩を踏み出したのは間違いない。
来年の冬、俺は何処に登っているんだろう。
いや、ひょっとして、猫のようにこたつの中でくるまっているかな(笑)。

雪の低山:やってみたかったこと

2011年05月11日 23時57分29秒 | Weblog
昼食時間はゆっくりととることができた。
あとはGOAL目指して下るのみ。

林の中を下りて行くとほぼ一直線の道らしき場所に出た。
登山ルートにしてはあまりにも道幅が広すぎる。
地図と高度計で現在地を確認。
「ぃやっほ~! これがゴールドラインか」
バイクや車では何度も走った有料道路「ゴールドライン」に出たのだ。
路面に3メートル近い雪が降り積もり、記憶にある風景とはまったく違う様相となってしまっていた。
小動物の足跡らしき「点線」が見えるだけで、人間が歩いた痕跡はどこにもなかった。
「それじゃやろうぜ!」
いい歳をした中年男二人が、ふかふかの新雪の上で大の字に、そしてうつ伏せに。
気持ちよかった! なんてものじゃない。
今の時期しかできないおバカなこと、しかも全面新雪。

有料道路のど真ん中で大の字になり、鉛色の空を見上げながら一服する。
やってみたかったのだ(笑)。



雪の低山:ホッとひといき♪

2011年05月10日 23時05分09秒 | Weblog
3シーズンの山とはまったく異なる状況下だということを初めから百も承知で登ったわけで、正直言ってピークを越えたことで大きな安堵感を覚えた。
「やっと飯かぁ~」
お互いに自然と笑みがこぼれた。

食事の支度ができそうな場所を選び、O氏のスコップで設営開始。
今日のメニューはレトルトのビーフシチューとごはん、コンソメスープ。
あとは食後の珈琲だ。
体は汗の影響で冷えてはいるが、風がないその分さほど寒さを感じずにいられた。
だが、お湯が沸くまでのわずか数分間が長かったなぁ。
早く食べたい。スープを飲んで体を温めたい。
ただそれだけだった。

ここまで下りれば、残りのルートは楽勝♪
少しのアップダウンはあるが、今までに比べたらどうってことはない。

O氏とも、今日のルートについて話しながら食事を摂った。
「やっぱにせピークへの登攀が厳しかったなぁ」
「上りでも下りでも、体のバランスを失ったらやばかったよなぁ」
そんなことばかりを話した。

珈琲が美味い。
疲れを取るために少々甘めの珈琲だが、新雪に埋もれながらカップの湯気を顔に当て、顔面を温めてから飲んだ。

雪の低山:見上げると見下ろす

2011年05月07日 23時35分36秒 | Weblog
そう言えば、スキー場へ行ってコースを見上げたとき、「なんだこの程度の斜面だったら楽勝だな」と思いきや、いざリフトを下りて逆にコースを見下ろすと「おっと、何か違うなぁ。結構斜度があるぞ」
そう感じたことが何度もあった。

今回ははじめから見下ろす形であり、いきなりの急斜面だ。
事前に地図で調べ、等高線の数と間隔の狭さで感じはつかんではいたが、現場は迫力があった。
幸いに雪は固い。
固いと言うことは、それだけ常に強風にさらされ、新雪が積もることの少ない場所なのだと言うことがよく分かる。
また、実際今この場で強風にさらされているわけであり、落ちたらひとたまりもないだろう・・・。
しかしその緊張感がどこかたまらない。
アイゼン無しでどこまで下りられるか・・・。スノーシューの爪だけで行けるところまでは行ってみようと考えた。


途中まで下りかけてみたが、下(コース)が隠れて見えないほどの斜度のきつさだった。
「ここさえ越えればフラットなコースのはずだ」
そう思いながらゆっくりと一歩一歩確実に爪で斜面を捉える。
強風で体が不安定になってくる。
この緊張感がたまらない。
スリルを求めているわけではないが、経験を積み技術を身につけるにはもってこいのコースとなった。

雪の低山:ピーク

2011年05月06日 01時04分07秒 | Weblog
登頂までに要した時間はわずか数時間なのだが、かなり長く感じたのは斜度のきつさと、使った体力の多さからだろう。

天候も徐々に回復し、麓の風景が一望できた。
暑い。とにかく汗をかいた。
ぜぃぜぃ言いながら記念写真を一枚。
顔は笑っているが、しんどかったなぁ(笑)。
本当ならば、ここで達成感とか充実感とかを感じ味わうことができるのだろうが、それよりも不安の方が大きかったことを覚えている。
「今のままじゃ雪山の単独登攀なんて到底無理だ。もっと実力を付けなきゃなぁ。」
雪山でのルートファインディングに対する自信があまりないのが本音で、遭難する確立が高い。
そうなったらまず間違いなく低体温症になって、最悪やがては凍死かな。
だが落ち込んでばかりもいられないのが現実で、いまいるこの場所から、今度は下りなければならない。
「うぉー! すげぇ下りだ!」
このときばかりは「ピッケル」を持ってくるべきだと思った。
天候が良いその分、遙か彼方まで見通しが利き、下り斜面の様子がはっきりとわかる。
「こりゃSSTの比じゃないなぁ」
などと感心してはいられないほどの下りなのだ。

雪の低山:雪庇

2011年05月04日 22時25分09秒 | Weblog
嘗て、冬の八ヶ岳へ登攀したときに一番近い状態なのかも知れない。
周りは何も見えない。「ホワイトアウト」とはまた違った視界の利かない世界で、雪の稜線を歩いている。

もし、GPSがなかったらと思うとゾッとする。
こうなると、たかだか1400メートル程度の雪山でもルートを見失い、道に迷ってしまうこともありうる。
正式なエスケープルートではないが、今回は、最悪でも左の斜面を無理矢理下りて行けばスキー場へとたどり着く(予定)。

この程度の山で不安になっていて、果たして俺は単独の雪山登攀に行けるのだろうか。
12本爪のアイゼン、そしてピッケル。装備だけは何とでもなるが、もっと知識と技術と経験を積まなければダメだ。
そんなことを考えながら雪庇を横目に歩いた。

少しずつ天候が回復してきた。
次を登り切ればピークだ!

雪の低山:にせピーク Ⅱ

2011年05月04日 22時04分25秒 | Weblog
こんな疲労困憊な時に限って何故か天候が悪化してくる。
ガスって周囲の地形がわからない。
降雪はないが、このままだとGPS頼りのルートファインディングとなってしまう。

にせピークを登り切りしばらく行くと、左手に大きな雪庇が見えてきた。
「やっぱりあったか。それにしてもでかい雪庇だなぁ」
などと感心してはいられない。
近づいたら雪の塊と共に「はい、さよ~なら~」となってしまう。
ただ、これほど本格的な雪庇を見るのは何十年ぶり。
ちょっと感動してしまった。

ここから少し下ってまたのぼって、いよいよ「猫魔ヶ岳」に登頂だ。