久々に味わう心臓バクバク状態。
スノーシューを履き、膝でラッセルしながら斜度のきつい雪面を上る。
だが思っていたほどの深い新雪でなく、これならなんとかクランポンを装着せずに済みそうだった。
ザックを背負ったままでのラッセルは危険なのだが、できる限り体重を前方に置き、両膝を着いた状態でストックを突き刺す。
しかし、片方ずつ突いたのでは登攀は無理だった。
ここはダブルストックで登攀するしかなかった。
新雪をかき分け、ストックを握りしめた腕を左右同時に思い切り振り下ろし斜面に突き刺す。そしてその勢いで体を進めた。
「まだか・・・ピークはまだか」
言葉にこそ出さなかったが、かなりしんどい。
「くっそぉ、ザックが重い」
気がつけば鼻水が垂れ、口からはよだれが(笑)。
「少し休もう!」
O氏の言葉がありがたかったなぁ。
水分補給をし、一服させてもらった。
O氏は持ってきたGPSで予め記憶させておいたルートを確認した。
「大丈夫! このままでOK!」
ホッとするも、笑顔で返す余裕がなく、親指を立てて返事とした。