ひとり旅への憧憬

気ままに、憧れを自由に。
そしてあるがままに旅の思い出を書いてみたい。
愛する山、そしてちょっとだけサッカーも♪

雪の低山:にせピーク

2011年05月03日 22時23分32秒 | Weblog


久々に味わう心臓バクバク状態。
スノーシューを履き、膝でラッセルしながら斜度のきつい雪面を上る。
だが思っていたほどの深い新雪でなく、これならなんとかクランポンを装着せずに済みそうだった。
ザックを背負ったままでのラッセルは危険なのだが、できる限り体重を前方に置き、両膝を着いた状態でストックを突き刺す。
しかし、片方ずつ突いたのでは登攀は無理だった。
ここはダブルストックで登攀するしかなかった。
新雪をかき分け、ストックを握りしめた腕を左右同時に思い切り振り下ろし斜面に突き刺す。そしてその勢いで体を進めた。

「まだか・・・ピークはまだか」
言葉にこそ出さなかったが、かなりしんどい。
「くっそぉ、ザックが重い」
気がつけば鼻水が垂れ、口からはよだれが(笑)。
「少し休もう!」
O氏の言葉がありがたかったなぁ。


水分補給をし、一服させてもらった。
O氏は持ってきたGPSで予め記憶させておいたルートを確認した。
「大丈夫! このままでOK!」
ホッとするも、笑顔で返す余裕がなく、親指を立てて返事とした。

雪の低山:雄国沼

2011年05月03日 21時58分39秒 | Weblog
風は相変わらず強く冷たい。
ガスってはいるが、そのガスを吹き飛ばしてくれている。
このあたりから進行方向右手奥に「雄国沼」が見えるはずだが、ガスの合間からも沼らしきものは明瞭にはわからなかった。

一面の銀世界は、スキー場とはまったくその様相を一変させている。
風の音以外は何も聞こえてこない。
人の声といえば、自分とO氏の会話だけで、ゲレンデに流れる音楽の様な人工的な音など聞こえるはずもない。
真昼であるにも関わらず、恐ろしいほどの沈黙の世界だ。

目の前に斜度の鋭い斜面が見えてきた。
「あれがにせピークか。あれさえ越えれば・・・。」
おそらくは深い新雪で、スノーシューの「爪」ではひょっとして噛んでくれないかも知れない。
クランポンは持ってきているが、使わずに済むのであればそれに越したことはない。
O氏もまた緊張しているのわかる。