森 鴎外著 明治44年(1911年)
表現が豊かで、しっかりした構成のもとに書かれた理解しやすい文章である。
しかし、漢字の多さとフランス語・ドイツ語の混合した文章なので、※(注)を
拾いながらの読書は苦しい。登場人物の言葉を借りて、
”女性とは”ということが書かれているが、鴎外の女性観として読んだ。
登場人物
☆末造
学生相手の小使いから金貸しになり、ついに高利貸しとなって財をなす。
いつも身綺麗にしているが、頭のよく回る油断の出来ないけちな人物である。
妻お常と子供まであるが、お玉を妾として無縁坂に住まわせる。
お玉には立派な実業家ということにしている。お常はお玉の事を知り、激怒する。
そして物事への意欲を失い、家の空気は次第に荒れ始める。
☆お玉
飴細工の屋台を引く父親と2人暮らしである。貧しいながら、
お玉を溺愛している親は、三味線を習わせ、小ざっぱりした着物を着せていた。
ある時期、巡査と結婚するが、妻子のあることがわかり、身投げを図る。
その直後、末造からの妾の話があり、父親に楽をさせたいとの思いから承諾。
無縁坂に居を移す。
☆岡田
東大の医学生。心身共に申し分のない人物。
散歩の途中、窓越しにお玉を見かけ、会釈を交わす間柄。
その後、教授の推薦で、ドイツ留学が決まる。
あらすじ
20歳でお玉は、末造の妾になる。
しかし、末造が高利貸しであることがわかると、心が離れていき、
末造をも自分をも、ひそかに観察し、
あざ笑っている”自分の本心”があることに気付く。
少しずつ自我に目覚める。
毎日散歩で家の前を通る医学生・岡田を、
何とはなしに懐かしい人だと思い始めた。
ある日末造が千葉に行くことになったのを幸いに、
女中も実家への外泊を許し、岡田を待つ。
その日岡田の下宿の夕食が、”さばの味噌煮”であったことから、
友人と出かけることになる。おまけに、脅すために投げた石が雁に当たり、
雁を肴に酒を飲むことになる。お玉は岡田と会う機会を失ってしまった。
無縁坂で、岡田を見るお玉の目の底には、
『無限の残惜しさ』が含まれているようであった。
次の日、岡田はドイツ留学のため下宿を引き払った。
たまたま投げた石に当たって雁が死んだことは、
お玉の運命を象徴しているのであろうか。
表現が豊かで、しっかりした構成のもとに書かれた理解しやすい文章である。
しかし、漢字の多さとフランス語・ドイツ語の混合した文章なので、※(注)を
拾いながらの読書は苦しい。登場人物の言葉を借りて、
”女性とは”ということが書かれているが、鴎外の女性観として読んだ。
登場人物
☆末造
学生相手の小使いから金貸しになり、ついに高利貸しとなって財をなす。
いつも身綺麗にしているが、頭のよく回る油断の出来ないけちな人物である。
妻お常と子供まであるが、お玉を妾として無縁坂に住まわせる。
お玉には立派な実業家ということにしている。お常はお玉の事を知り、激怒する。
そして物事への意欲を失い、家の空気は次第に荒れ始める。
☆お玉
飴細工の屋台を引く父親と2人暮らしである。貧しいながら、
お玉を溺愛している親は、三味線を習わせ、小ざっぱりした着物を着せていた。
ある時期、巡査と結婚するが、妻子のあることがわかり、身投げを図る。
その直後、末造からの妾の話があり、父親に楽をさせたいとの思いから承諾。
無縁坂に居を移す。
☆岡田
東大の医学生。心身共に申し分のない人物。
散歩の途中、窓越しにお玉を見かけ、会釈を交わす間柄。
その後、教授の推薦で、ドイツ留学が決まる。
あらすじ
20歳でお玉は、末造の妾になる。
しかし、末造が高利貸しであることがわかると、心が離れていき、
末造をも自分をも、ひそかに観察し、
あざ笑っている”自分の本心”があることに気付く。
少しずつ自我に目覚める。
毎日散歩で家の前を通る医学生・岡田を、
何とはなしに懐かしい人だと思い始めた。
ある日末造が千葉に行くことになったのを幸いに、
女中も実家への外泊を許し、岡田を待つ。
その日岡田の下宿の夕食が、”さばの味噌煮”であったことから、
友人と出かけることになる。おまけに、脅すために投げた石が雁に当たり、
雁を肴に酒を飲むことになる。お玉は岡田と会う機会を失ってしまった。
無縁坂で、岡田を見るお玉の目の底には、
『無限の残惜しさ』が含まれているようであった。
次の日、岡田はドイツ留学のため下宿を引き払った。
たまたま投げた石に当たって雁が死んだことは、
お玉の運命を象徴しているのであろうか。