通でがんす

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(旧ブログタイトル:通じゃのう)

毒酒売の老婆

2022年05月10日 | 広島の話題
広島市立中央図書館では、
4月16日(土)から6月12日(日)まで、
企画展「もののけの世界」を開催中。


↓企画展「もののけの世界」については、こちら↓

「企画展「もののけの世界」」広島市立図書館



今日は、
「もののけの世界」で紹介されている
広島の妖怪・毒酒売の老婆
についての話でがんす。



毒酒売の老婆。
読んで字のごとく、
毒が入った酒を売るという
恐ろしい老婆の話じゃの。
どんな話かというと…。


嘉永七年五月二十八日、此頃市中に専ら蛮語行はる。曰く、夜中街路に奇異なる老婆毒酒を売りて徘徊す。其酒を呑めば即死し、老婆門を叩くに答ふるも絶命すと。市民之を信じて畏怖し、各戸の門柱に「天の岩戸の浦酒や女の酒売入るべからず」の句を記せる赤紙を貼り、以て降魔の籤をなす。(抜粋)

(及川儀右衛門『芸備今昔話』一誠社 1934年)



老婆から買った酒を飲むと死んでしまう
(其酒を呑めば即死し)
のは分かるとして、
老婆が家の戸をたたいたのに
返事をするだけで死んでしまう
(老婆門を叩くに答ふるも絶命す)
というのはちょっと異常じゃのう。
なんでこんな恐ろしい話に
なってしもうたんじゃろか?

この話があったとされる
嘉永(かえい)7年は、
西暦でいうと1854年。
アメリカのペリー提督が
前年に続いて日本にやって来た年。
江戸幕府が、それまでの
鎖国政策を変更して開国に踏み切り、
日米和親条約を締結した年なんじゃの。
ということは、この話は
日本が幕末の時代を迎えて
国内に起こった混乱に乗じたもの、
とわしゃ想像するんじゃが…。


『がんす夜話』には、
この話に便乗した不良たちの話が
書かれとります。


あまりにもこれが評判になって不良の徒輩が夜になると老婆の声色を使ったり、各家の戸をたたいて女こどもをおそれさせた。
そのため町奉行は(略)役人を総動員して不良の徒輩を多数つかまえさせたとのことである。

(薄田太郎『がんす夜話』たくみ出版 1973年 217ページ)




以下、余談。


企画展には、
毒酒売の老婆の人形も展示してあった。
「この企画展だけのために
この人形をわざわざ作ってんないよの」
と思うてよう見てみたら、
「広島市郷土資料館」
と書いてあったんじゃの。
どうやら、毎年夏に
広島市郷土資料館で行われる
「夏休みおばけの博物館」
で展示されているものらしい。


↓広島市郷土資料館については、こちら↓

広島市郷土資料館



以下、さらに余談。


今回の企画展「もののけの世界」は、
漫画家であり妖怪研究家であった
故・水木しげるさんの生誕100周年に
関連してのものじゃそうな。


↓水木しげる生誕100周年については、こちら↓

「水木しげる生誕100周年」水木プロダクション公式サイトげげげ通信



今日は、
広島の妖怪・毒酒売の老婆
について話をさせてもろうたでがんす。


ほいじゃあ、またの。

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