通でがんす

いろんな広島を知って、ひろしま通になりましょう!
(旧ブログタイトル:通じゃのう)

森の石松

2022年08月11日 | まんが・テレビ・映画
1週間前の2022年8月4日(木)
NHKラジオ深夜便の午前3時台は
堺 正章(さかい まさあき)
作品集じゃった。


夜中、トイレに行った後
ラジオに耳を傾けていると、
懐かしい歌を耳にして
思わず口ずさんでしもうた。

その歌は、堺 正章が主役の時代劇
『マチャアキの森の石松』
(1975年、日曜午後8時、NET)の主題歌
「行きずりの男」
(作詞・作曲:泉谷しげる)。



↓「行きずりの男」については、こちら↓

「`75オールナイトニッポン ゲスト泉谷しげる リードギター吉田拓郎『ゆきずりの男」『少年A」」YouTube



…というわけで今日は、
「行きずりの男」でもなく、
「堺 正章(=マチャアキ)」でもなく、
森の石松
についての話でがんす。



「森の石松」いうても、
今では知らない人の方が多いじゃろうの。

石松は、
幕末に活躍した侠客(きょうかく)、
今でいうところのヤクザ。

「鬼より怖い」と謳(うた)われた
静岡県清水港(しみずこう)の
山本 長五郎(やまもと ちょうごろう)、
通称:清水 次郎長(しみずのじろちょう)
の子分のひとり。





上『任侠東海道』
(1958年、東映、監督:松田定次、
主演:片岡 千恵蔵(左から3人目))

下『次郎長富士』
(1959年、大映、監督:森 一生、
主演:長谷川 一夫)

(佐藤忠男・吉田智恵男
『チャンバラ映画史』
芳賀書店)




↓清水次郎長については、こちら↓

「地元の偉人を再確認!清水次郎長ってどんな人? 前編」清水港観光情報サイト【清水港は鬼より怖い】



次郎長には、「二十八人衆」と呼ばれる
個性豊かな子分たちがいて、
次郎長と同じくらい人気があったのが
石松じゃった。

石松は、
情に厚く、義理堅い、
曲がったことが大嫌いで、ケンカっ早い、
片目がなく、言葉がうまく話せない、
思慮が足りないので損ばかりしている、
という設定。

「設定」というのは、
森の石松が実在の人物を元に作られた
架空の人物と考えられているから。


そんな森の石松は、
講釈師の3代目
神田伯山(かんだ はくざん)が有名にし、
浪曲師の2代目
広沢虎造(ひろさわ とらぞう)が
人気者に仕立てたといわれている。

昭和になって、
浪曲がラジオで放送されると
人気は全国的なものとなり、
1935(昭和10)年には、
静岡県の大洞院に
石松の墓が建てられた。



↓大洞院については、こちら↓

「大洞院」遠州三十三観音霊場めぐり



1939(昭和14)年
ディック・ミネが歌ってヒットした
「旅姿三人男」では、
石松は次のように歌われている。


♪腕と度胸じゃ 負けないが
人情からめば ついほろり
見えぬ片眼に 出る涙

(作詞:宮本旅人、作曲:鈴木哲夫)




↓「旅姿三人男」については、こちら↓

「旅姿三人男 昭和14年(唄:ディックミネ)昭和45年放送より 日本歌謡チャンネル」YouTube



石松で有名な言葉が、
「江戸っ子だってねぇ、すし食いねぇ」と
「馬鹿は死ななきゃなおらない」。

これは、石松が清水次郎長の代わりに、
四国の金毘羅(こんぴら)へ行ったとき
船の中での話。

江戸から来たという旅人のひとりが、
「街道一の親分といえば、清水次郎長だ」
といったのを聞きつけた石松。

「ここへ来て座んねえ。
おめえ、江戸っ子だってな」
「神田の生まれだ」
「街道一の親分は、
えー、何とか言ったな」
「清水次郎長」
「おう、次郎長ってのは
そんなに偉いか?」
「もちろんよ」

自分の名前を出してもらいたい石松は、
旅人に酒とすしをすすめる。

「次郎長には、どんな子分がいるんだ?」
「二十八人衆と呼ばれる
出来のいい子分たちがいる」
「ささ、飲みねぇ、飲みねぇ。
喰いねぇ、喰いねぇ」

が、大政(おおまさ)、
小政(こまさ)
という名前は出てくるが、
肝心の「森の石松」の名前が出てこない。
話し相手が石松だと気づいた旅人は、

「そうだ。清水一家で
一番強いのを忘れていたよ」
「おぅ、おもしろくなってきやがった」
「森の石松ってぇのが一番強い」
「酒を飲みねぇ、酒を。
おう、すしを喰いねぇ、すしを」

と石松をほめたあとに、

「強い。強いが馬鹿だ。
馬鹿は死ななきゃなおらない」

と、からかうという話。



↓「江戸っ子だってねぇ、すしを食いねぇ」については、こちら↓

「すし食いねぇ」すしラボ ミツカン



↓「馬鹿は死ななきゃなおらない」(広沢虎造の浪曲)については、こちら↓

「石松と三十石船道中」YouTube



以下、余談。


『マチャアキの森の石松』の
全話演出を担当したのが、
マキノ雅弘(まさひろ)。

マキノ雅弘といえば、
「日本映画の父」と呼ばれた
牧野省三(まきの しょうぞう)の息子。

マキノ雅弘は、
『次郎長三國志』シリーズ
(1952年から1954年、東宝)、
『次郎長三国志』シリーズ
(1963年から1965年、東映)
を監督した次郎長ものの第一人者。



以下、さらに余談。


東映時代劇YouTubeでは、
『任侠清水港』(1957年、東映、
監督:松田定次、主演:片岡 千恵蔵)を
8月14日まで配信中。

興味のある方は、
是非この機会にご覧下さい。



↓『任侠清水港』については、こちら↓

「任侠清水港[公式]」東映時代劇YouTube



今日は、
森の石松
について話をさせてもろうたでがんす。


ほいじゃあ、またの。



(文中、敬称略)

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「赤塚不二夫作品集」ラジオ... | トップ | 作詞家・林 春生さん »

コメントを投稿

まんが・テレビ・映画」カテゴリの最新記事