平和1丁目 ~牧師室より~

福岡市南区平和にあるキリスト教の平尾バプテスト教会の週報に載せている牧師の雑感

2018年3月25日 岩波版新約聖書の改訂新版について

2018年04月05日 18時18分10秒 | Weblog
岩波版新約聖書の改訂新版について

 岩波書店から、岩波書店版『新約聖書』の「改訂新版」(仮称)が遠からず出版されることになった、との連絡がありました。1995年から96年にかけてまず5分冊版が発刊され(その第四巻の『パウロ書簡』を私は執筆・翻訳しました)、2004年にそれらが一冊にまとめられた合本版が発刊されました。
 しかし、2011年に第8刷が発行されて以来、ずっと品切れ状態が続いておりました。その大きな要因の一つとして、岩波書店からのキリスト教関連の書籍発行を一手に引き受けてくださっていた担当編集者が定年退職された、ということがありました。ですから、もう「絶版」になってしまったのか、との疑念を抱かれた方々も多かったのではないかと思います。大貫隆さんの岩波新書『聖書の読み方』においても、私の『パウロ』においても、原則としてこの岩波訳聖書を引用しましたので、どうしたらそれを入手できるのかとの問い合わせも、何人かの方々からいただいておりました。
 そういうわけで、この連絡は私にとってはほんとうに有難い「朗報」でした。岩波新書の編集長も、全体の編集会議で、「これを放置しておくのはあまりにもったいない」と後押しをしてくださったとのことでした。当然のことながら、どの聖書訳も、できるだけ原文の意を、新約聖書の場合にはギリシア語原文の意を、そのままに訳し出したいと願っています。しかし岩波訳聖書の場合には、たとえ訳文が日本語としてはスムーズでないと思われたとしても、原文のニュアンスをそのままに伝える努力を優先させています。
 また、原文には省略があることが多いのですが、その場合には、翻訳者が補足した部分には必ず〔 〕を付して、それが原文にはない補足であることを明らかにしています。今回の改訂新版のためには、この間の研究の進展等を踏まえて必要不可欠と判断される改訂を施そうとしていますので、若干の時間をいただきたく思いますが、長らく再版を待ってくださった方々に、このニュースをお伝えいただけましたなら、大変嬉しく思います。どうぞよろしくお願いいたします。


青野太潮 協力牧師

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