或る「享楽的日記」伝

ごく普通の中年サラリーマンが、起業に向けた資格受験や、音楽、絵画などの趣味の日々を淡々と綴ります。

小出楢重(1)

2006-09-08 07:02:30 | 300 絵画
今日から画家を紹介する新しいシリーズを始めます。既に小説フォーライフの中で何度か登場させてますが、大阪出身の小出楢重(こいで ならしげ)。明治20年(1887年)生まれ。前回の佐伯祐三より11歳年上。当事、“東の劉生、西の楢重”と呼ばれたそうですが、その岸田劉生よりも4つ年上。年代的には、藤田嗣治より1つ年下なので、彼と同世代と言えます。

絵の特徴は、そのまったり感とファンキーさ。佐伯の絵は、直情的かつルーズな性格が生み出した荒いタッチが、今の時代にはカッコ良さやスマートさを醸し出し、まさにアーチストを連想させるのに対し、小出の絵は、その飄々とした性格を映し出すように、絵のタッチはまろやか。それと特徴的なのが漫画チックともいえるデフォルメ。ある意味対極的かも。

最初に見たのは、確か倉敷の大原美術館。でもその時は、なんか暗い変わった絵だなあと思った程度。印象に残り始めたは、ひろしま美術館にある「地球儀のある静物」(1925年)を見た時。それ以来だんだんと魅了されていくみたい。マティスに通じる安らぎを感じているのかもしれません。

彼は書き物も残していて、有名なのが絶版となっている「随筆集」。シリーズの中でも今後紹介していくつもりですが、佐伯がミュージシャンだとすれば、彼はバンドマン。その斜め目線に、なんか久保田二郎や自分に通じる価値観を感じます。

彼の作品が愛知県の小牧市にあるメナード美術館にたくさん所蔵されているのを最近知って。でもカミさんの妹に聞くと、この美術館は地元じゃ有名じゃないらしいけど。10月に用事で行くので、そのついでに見てくるつもり。晩年を過ごした芦屋にも立ち寄りたいし。なんかこういうついでがあると、だんだん旅行気分になってきて、行くのをすごく楽しみにしています。

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3 コメント

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待ってました!! (とど)
2006-09-09 21:32:17
絵画シリーズ、待ってましたよ!



改めてフォーライフに出てきている小出楢重の絵も見てみました。

寝そべっている裸婦の後姿なんですね(笑)。

でも、そんなエロチックじゃなくて健康的な感じ。描かれている女性の肉付きがいいのもあるし、タッチも軽快だし。それに、色彩が落ち着いていながら鮮やかなのも大きいかも。



これから、また色々と教えていただけるのがとても楽しみです。

メナード美術館のレポも期待してますね。
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あせ・・・・っ (月世)
2006-09-10 23:21:31
激近くに「芦屋市立美術博物館」あるというのに、

いまだに小出楢重の絵を観に行っておりませぬ

お恥ずかしい・・・



ところで、なんと小川さん原作の「薬指の標本」がフランス映画化されているようで、

11月から公開が始まります(神戸ではですが)

仏映画とは!びっくりですが、彼女の作風ならばそれもありかもですよね



耽美っぽく、ひそやかに、妖しくですし。

日本人が演じるよりも、フランス人でフランス語の方が合いそうデス。

観ようかなって思っております。
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久々の絵画シリーズなので。 (ハンコック)
2006-09-11 06:39:56
ちょっと気合入ってますよ。

というか自分自身が勉強できるのが楽しみ。



とどさん

この画家の代表作は、静物と裸婦。巷では裸婦が有名らしいです。

僕は静物の方が好きなんだけど。裸婦って言うと、モロだから。(笑)



>色彩が落ち着いていながら鮮やかなのも大きいかも。

鋭いですね。ごく普通にみえて特有の色彩感覚がある。

実物を見るとよく分かりますよ、それが。



メナードは僕も凄く楽しみ。10月下旬を乞うご期待です。



月世さん

>激近くに「芦屋市立美術博物館」あるというのに

名古屋からの帰りに寄ろうと思ってます。

もちろんアンリ・シャルパンティエにも。

クレープ・シュゼットを食べてみたいし。



>小川さん原作の「薬指の標本」がフランス映画化

ちょっと前に知りました。主役が金髪の美少女だったような。

確かに日本で映画化するより、綺麗で自然な仕上がりに成るかも。

でもねえ、なんか怖そうだから、そこがね。

まあ我慢して観るかなあ。(笑)

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