或る「享楽的日記」伝

ごく普通の中年サラリーマンが、起業に向けた資格受験や、音楽、絵画などの趣味の日々を淡々と綴ります。

安井曾太郎(1)

2008-01-25 06:24:50 | 300 絵画
佐伯祐三、小出楢重に続くお気に入りの画家紹介シリーズは安井曾太郎(やすい そうたろう)。小出より1年後輩で、1888(明治21)年生まれ。彼は梅原龍三郎と共に日本洋画壇の大御所として有名で、けっこういろんな美術館に作品が置いてある。

シリーズを始めるきっかになったのは、近所の美術ギャラリーで開催されていた“ウッドワン美術館収蔵作品展”。そこに上の写真の彼の初期の作品「農夫像」(1909年)が展示してあって。この広島の山奥にあるローカルな美術館は、知名度は低いけどマニア好みの渋い作品を多数保有している。実は小出の最終回で紹介した「枯れ木のある風景」があると知ってビックリ。

安井の話に戻ると、彼は1907(明治40年)から1914年(大正3年)まで絵画の勉強のために渡欧し、フランスのアカデミー・ジュリアンで修業していた。この絵はその頃のもので、被写体はおそらく現地の片田舎のお爺さんと孫。画像ではよく分からないけど、実物では柔らかな筆致の中にも、デッサンの上手さとバランスの取れた色彩感覚がしっかり伝わってきた。

これまで観た作品で特に印象に残っているものと言えば、東京のブリジストン美術館にある下の写真の「薔薇」(1932年)。目に入った瞬間から絵から漂う色気に圧倒されてしまって。例えが悪いけど、米倉涼子のヌードを目の前で見た、そんな感じかも。薔薇の花びらのひとつひとつが艶めかしくて、それでいて背景に黒が洗練されたシャープな印象を与えていた。薔薇が米倉本人なら、背景の黒は網タイツといったところ。違うか。うーん、オジさんの妄想がちょっと膨らみ過ぎたかな。

調べると、彼の作品は全国津々浦々に置いてあって、有名な作品が多いのが東京国立近代美術館と京都国立近代美術館。意外だったのはメナード美術館が大量に保有していること。これは立ち寄る良い口実ができた。ここも含めてまた1年がかりでいろいろ見て周らないと。彼にまつわる書籍や展覧会の図録も集め始めていて、今年もまた楽しみが出来たかな。