或る「享楽的日記」伝

ごく普通の中年サラリーマンが、起業に向けた資格受験や、音楽、絵画などの趣味の日々を淡々と綴ります。

幻想交響曲

2005-09-29 06:19:09 | 210 クラシック
久しぶりにクラシックのお話。最近購入した中古CDの中の1枚が、バレンボイム指揮ベルリンフィルのベルリオーズの「幻想交響曲」。この曲は昔LPでフレモー盤をよく聴いてました。曲の構成の斬新さと自由奔放さが素晴らしく、交響曲の歴史において高く評価されています。でもそれは置いといて、今日は調べて分かった面白い話。

南仏生まれのベルリオーズ(1803–1869)は、1826年に23歳でパリ音楽院に入学。そしてその翌年、シェークスピアの有名悲劇「ハムレット」を見て、出演していた人気女優ハリエット・スミスソンに一目惚れ。何通かラブレターを送ったらしいのですが、見事に門前払いされたとか。当時の彼の気持ちが回想録の中にこう記述されてます。

「この時の私の苦痛は、そう容易に描けるものではない・・・ 掻き毟られる様な胸の痛み、恐ろしいほどの孤独、虚ろな現世、氷の如く冷たい血が血管を流れていると思わせる幾百千の苦悶・・・ 生きるのも厭わしいが、死ぬことも出来ない・・・」

上の写真を見るとなかなかいい男ですね。でもなんか“思い込み”シールを5枚ぐらい貼ってあげたくなります。(笑)

そして1830年に別のピアニストと恋に落ち、2人は婚約。ところが彼がローマに出ている間に、結婚に反対の彼女の母親の策略で、彼女は別の男と結婚。彼は怒り狂って彼女と母親を殺害しようとしたが失敗。それで入水自殺を図ったがそれも未遂。

なんか激しいなあ。まあジャズ界はなんでもありでしたが、シューマンといい、高貴なクラシック界も凄いですね。この交響曲は、これら2つの失恋をモチーフに作曲され1830年に完成。ベルリオーズにとって、恋がまさに“幻想”だったんですね。(笑)

回想録引用元:「ベルリオーズ回想録」/ベルリオーズ(丹治恒次郎訳)」(1981年 白水社)

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