はなバルーンblog

藤子不二雄や、好きな漫画・アニメの話がメイン(ネタバレもあるので要注意)

アニメ「プロゴルファー猿」を語る

2005-01-06 22:41:27 | 藤子不二雄
 以前から何回か当ブログでも触れているが、テレ朝チャンネルで放映中の「プロゴルファー猿」が、面白い。原作は藤子A先生の名作であり、当然好きな作品なのだが、アニメ版「猿」は原作の面白さを残しつつ、アニメ独自のアレンジを加えて、子供から大人までの幅広い層の鑑賞に耐える作品となっている。
 私は「藤子不二雄ワイド」で本放送の時から観ていたが(事情により1年半ほどで視聴中断)、放映開始時にはまだ小学三年生だったので、これまでの藤子アニメとは毛色の違うこの作品には、さほど惹かれなかった。また、本作はOPと本編を合わせて約14分という中途半端な長さだったため単独での再放送に恵まれず、東海地方では「藤子不二雄ワールド」放送分(最後の半年分)が2回ほど再放送されたのみ。アニメ「猿」を観直す機会は、ほとんど無かった。しかし、中学生の時にFFランドを集めはじめて、この時にようやく原作を通して読んだ。そして、高校時代にレンタルビデオの3巻までを借りて観たところ、かなり面白く思い、いつかアニメ版を全話通して観たいと思っていたのだ。
 だから、昨年6月からテレ朝チャンネルで待望の放送が開始されて、非常に嬉しかった。第1話からじっくり観る事ができたのはもちろんの事だが、それに加えてビデオでは飛ばされた第2クールをようやく観る事ができ、アニメ「猿」の面白さを再確認することが出来た。現在、テレ朝チャンネルでは第33話まで放送されたが、第3クールまでのテレビシリーズ序盤の流れを大まかに分けると、

・(1) 第1~14話:序盤編。ほぼ原作通りに紅蜂戦までをアニメ化
・(2) 第15~26話:原作で1話完結の「フェアウエイの戦士編」を前後編でアニメ化
・(3) 第27~39話:アマチュア選手権編

と、なる。
 このうち、(1)については、以前にもこちらこちらの記事で触れたが、ほぼ原作に忠実でありながら、巧みにアニメならではのアレンジが加えられ、「猿」紹介編として及第点の出来となっている。
 そして、(2)に続くのだが、この第15~26話が実に面白い。元々、原作の「フェアウエイの戦士編」は1話読み切りで描かれているため、一発のショットで勝負が決まってしまう話が多く、やや物足りなさを感じるのだが、アニメでは前後編形式とする事で、原作では描かれていないオリジナルのホールを出したり、原作とは異なる形の対決が加えられ、ゴルフアニメとしての「猿」を十分楽しめる構成となっている。そもそも、本編12分40秒の作品で前後編なのだから、30分番組として1話完結の長さで話を組み立てていると言うことだろう。実際、第21話と22話は再編集で1本にまとめられ、大晦日スペシャルに再放送された事がある。
 また、この第2クールでは話の構成だけでなく、演出的にも見所が多い。特に今川泰宏演出回では、「対決!!ミス・スネーク」で、怪しげな巨像が崩れる場面で謎の怪光線を光らせたり、「強敵!ロボット・タイタン」では氷川博士が原作以上にエキセントリックな性格になっている上に、タイタンが壊れる場面ではやっぱり謎の光を発したり、また第3クールだが「新たなる目標」では、猿と大神が名乗り合う場面で背景をリアルな(動物の)猿と狼が絡み合う絵にしてみたりと、やりたい放題だ。意味不明だが迫力があって笑える今川演出は、既に「猿」の時点で確立されていた事がわかって、実に興味深い。
 また、先にも触れたストーリーアレンジの点では、タイタン戦では原作のドライバー・ショットだけではなく、コースを回っての対決を描いた上で話の締めは原作と同じとなっており、原作を知っていても見応えのある話となっていたし、「封じられた旗つつみ」では、猿が決定打をカップインさせる方法が原作とは変えられて、アニメ版の方が一ひねりされており、アニメの「動き」を生かした見せ方でなるほどと思わさせられた。原作ではなぜか無視されていたミス・スネークの正体をきちんと描いた点も、アニメ版の功績と言えよう。
 ともかく、

・巧みなストーリーアレンジ
・迫力ある演出

の2点で、第2クールは、どの話も原作以上に面白くなっていたと思う。そして、そのテンションを保ったままで、現在は第3クール、アマチュア選手権編の真っ最中。このあたりはレンタルビデオでも観たのだが、それもかなり昔の事なので、毎回新鮮な気持ちで楽しんでいる。アニメ「猿」は今後、さらにテンションが上がって面白くなっていくと聞いているので、楽しみだ。特に、評判の高いドラゴン戦を早く観たいものだが、まだまだ先の話だ。
 こうしてアニメ「猿」を楽しんでいると、つくづく、これまで地上波でほとんど再放送されていなかったのが実に勿体ないと思う。原作ファンでアニメ版をあまり知らないと言う方には、ぜひ観ていただきたい。猿の妙な方言(言い回しは関西弁でイントネーションは標準語)にさえ慣れてしまえば、非常に楽しめる作品だ。