goo blog サービス終了のお知らせ 

北海道美術ネット別館

アート、写真、書など展覧会の情報や紹介、批評、日記etc。毎日更新しています

■苫小牧美術協会 会員・会友2025春季展(4月8~12日、苫小牧)

2025年04月15日 23時59分59秒 | 展覧会の紹介-複数ジャンル
 4月11日に見た展覧会。苫小牧美術協会の展示は初めて見ました。

 2014年から15年にかけて苫小牧市美術博物館が開いた「苫小牧の美術史 苫小牧美術協会とその歩み」のフライヤー( pdfファイル )によると、苫小牧美術協会は1939年(昭和14年)に結成。遠藤ミマンらが所属していました。
 戦後はとなりまちの白老に疎開していた版画家の川上澄生が再興に尽力したそうです。

 川上は全道展の創立にもかかわり、東京に引き揚げると北海道とのかかわりが薄くなった画家も多い中で、晩年まで全道展に毎年出品していました。苫小牧美術協会の再建にも努めたとは知りませんでした。日本の近現代版画史に残る巨匠でありながら、ずいぶん律儀な方だったんですね。

 冒頭画像、左から木内ヒロ「夢想」(F50)、居島恵美子「紅」(P100)。

 2人とも新道展会員。

 木内さんの抽象画は、ことばで説明するのが難しい、さまざまな色がまじりあった画面です。

 居島さんについては以前も書きましたが、抽象に転じてからは頑張っていると思います。
 今回は、1990年代によく描いていたグランドピアノを思わせる黒い部分が広がり、シックな雰囲気が漂っています。
 

 菊地章子「登る」(F130)

 菊地さんは苫小牧美術協会の会長で、全道展会員、行動展会友。

 もともと、良い意味で子どもの落書きのような楽しい線が躍る抽象画を描いてきましたが、近年はますます自在さ、闊達さを増しているようです。
 今回も、いくつも連なっているまるい形が浮遊感を醸し出しています。 

 

 手前は田村純也の彫刻「kanna~再び~」(160×32×30センチ)
 棺や舟を思わせるシンプルかつ端正な形状で、石の持つ重量感に満ちています。

 田村さんは新制作協会の会員。

 奥の壁、左は吉田隆一「蒼い記憶」(F80 )。
 キツネや気球などが、北海道を感じさせます。
 
 
 左は中川克子「断層(光明)」(F130)。

 中川さんは全道展会員、独立展準会員。

 人物3人を配し、構図を直線的に組み立てています。
 以前よりも、色彩の配置がすっきりとしてきたような印象を受けました。

 右は馬場静子の日本画「佳き日に集いて」(F80)。

 馬場さんは道展会員。

 「集いて」といっても、集まっているのは人形たち。
 いわば、おみやげ物が一堂に並んでいて、思い出が集っているといえそうです。
 
 
 左は内海一弘「百代価格」。
 
 内海さんは新道展会員。
 新道展にも人物がたくさん登場するユニークな絵を出していますが、今回はとりわけおもしろいです。
 スーツ姿の白髪頭の男性10人が通勤電車に乗っています。すべて同一人物のように見えます。
 周囲のポスターには
「団塊諸君 一人旅はいいぞ」
とか
「やっと自由になった 「シニア特急」の発車ベルが聞こえるかい?」
などと書かれています。
 高い位置には
「ドイツ」「台北」「パリ&近郊の町」「ウィーンとオーストリア」
などのポスターがあり、どうやらかつて海外旅行の必携書といわれた『地球の歩き方』シリーズの表紙のようです。
 さらには
「フェルメールへの旅」
「スイス個人旅行」
「ゴッホひまわり全点踏破の旅」
といった文字も見え、これも本の題名です。
 仕事を辞めて旅に出たくなる気持ちは、非常によくわかります。

 右は工藤幸俊「春泥」(F100)。
 早春の(ちょうどいまの時季ですね)、雪解け水やミズバショウの芽、落ち葉の残りなどがまじりあった様子を、水彩で丹念に描写しています。

 工藤さんは日本水彩画会の会友。
 
 
 やまだ乃理子「出口なし」(F100)
 題のとおり、混とんとして濁った世界のように見えます。さまざまな色彩が用いられています。

 やまださんは全道展会員。
 
 
 安住賢一「くみあわせのかたち 9-9」(30×8×18センチ)

 先ほどよく見られなかった安住さんのユニークな彫刻を、じっくり見ることができました。
 波型の樹脂版の間に石のような素材を挟み込んでいて、一般的な彫刻とはだいぶ様相が異なっています。
 
 
 その安住さんの作品の左側にあった木彫が佐藤公毅「空へ」(10×10×46センチ)。

 曲線が主体のやわらかい作風です。
 
 
 白木里佳「スカイクインテット IX」(140×45×200センチ)

 大きな、楽しい彫刻です。
 空の上で吹き鳴らす管楽器を空想するとしたら、こんな形状でしょうか。

 白木さんは道展会員。


 他の出品者は次のとおり。
和泉みなぎ「ポロト・わかさぎ釣り」水彩
伊藤玲子「山笑う」油彩
柿崎勝彦「トーテムポール」油彩
葛西薫 「波」水彩
栗井典子「水曜日」コラージュ
香西毅 「陽光」工芸(辰砂の壺です)
西方礼子「薄野慕情」水彩
佐々木恵子「私の中の私」油彩
佐々木リエ「沖に出る―未知なる宇宙へ」油彩
佐藤静子「春」油彩
下山隆三「いらっしゃいませ」水彩
末澤香 「浮上」日本画
外崎チヨ「アジサイに」日本画
髙橋マサ子「原野」油彩
寺林壽子「街の窓辺」油彩
永井良子「ゆく夏」水彩
根本千鶴子「画室」油彩
林明夫 「気晴し」水彩・パステル
藤沢紀世安「迷い」彫刻
松崎純一「コラージュ’24・HINAN」コラージュ
三浦恵美子「アイベツリク」油彩
三浦恵子「秋」水彩
室谷孝枝「三の男の子」水彩
山口一子「トラブソンの建物」油彩
山崎禮子「再生」油彩
山本孝子「春近し」日本画

西村敦子「森と清流」水彩
原田民雄「研究林 5月の空」水彩
山田良子「いろは舞う」油彩


2025年4月8日(火)~12日(土)午前10時~午後5時(最終日3時)
苫小牧市美術博物館

過去の関連記事へのリンク
第64回新道展(2019)
木内弘子絵画展 (2019)
44th 北海道抽象派作家協会展 (2017)
第43回北海道抽象派作家協会展 (2016)
=木内さん

第63回新道展(2018)
第53回新道展(2008、画像なし)
春陽会道作家展(絵画部)
=2003、画像なし
2002年 春陽会道作家展(絵画部)=画像なし
=居島恵美子さん


菊地章子個展 (2002、画像なし)


第46回北海道抽象派作家協会展 (2019)
第63回新道展 (2018)
第四十五回北海道抽象派作家協会展 (2018)
44th 北海道抽象派作家協会展 (2017)
第43回北海道抽象派作家協会展 (2016)
第41回北海道抽象派作家協会展 (2014)
=田村純也さん


第64回 日本水彩画会北海道支部展 (2024)
第62回 日本水彩画会北海道支部展 (2022)
=工藤幸俊さん、いずれも画像なし


2024独立春季新人選抜展=やまださん
北の燐寸アート展 vol.5 (2013、画像なし)
=やまださん、佐藤公毅さん


武蔵未知 ささきみえこ 安住賢一彫刻展 歩きかたを探す~(2015、画像なし)


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。