北海道美術ネット別館

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■北の燐寸アート展 vol.5 (2013年12月12~17日、札幌)

2013年12月17日 01時11分11秒 | 展覧会の紹介-複数ジャンル
 「燐寸」とはマッチのこと。
 苫小牧に明治期、多くのマッチ工場があった歴史から、「北の燐寸アート展」が毎年苫小牧で開かれてきました。今回、札幌での初めての移動展です。

 これが、じつにバラエティーに富んでいておもしろい。
 マッチ箱そのもののデザインもありますが、マッチ箱をテーマにした架空のシングルレコードジャケットや、マッチ箱のあるドールハウス、マッチ箱の大きさの小さな造形など、実に多様なのです。
 日本人って、こういう小さな世界にちまちまといろいろな要素を詰め込むのが実にうまいなあ。作品の多くは販売もしており、マッチ箱は100円からあります。

 山田進・やまだ乃理子さんは、ハードディスクや集積回路を利用した作品。
 仲田美紀さんは「苫小牧燐寸製造所販促看板」という架空のブランド?のデザインです。なんとなく、なつかしい。
 知る人ぞ知るペーパークラフト作家の林啓一さんは「良い子のマッチ」を出品。マッチ箱の中に紙で作った子どもの像が入っており、その細密な出来上がりはさすが林さん。1個12万円は今回の出品作で最高値。
 佐藤公毅さんは、マッチ箱の中にミニ木彫りを収納し、川口巧海さんは銅版画のひそやかな世界でマッチ箱をデザイン。
 UNDER100 さんは、マッチ箱の大きさにスライド写真を葉※見ました。
 三浦恵美子さんや武藤幸代さんはドールハウスのような世界に小さなアートを展開しています。
 小笠原実好さんは重厚な抽象画を制作する人ですが、マッチ箱の小さな作品もやはり重々しい感じ。大友美香さんは、素材はダンボールでしょうか。
 決して広くない石の蔵ぎゃらりぃはやしの空間に35人の作品がならんでいるのですから、見ごたえたっぷりです。

 昔は、マッチは生活に欠かせないものでした。
 喫煙率が今よりも高く、たばこに火をつけるのに必要だったという事情もありますが、台所のガス台は、かつては自動で着火しなかったので、つまみをひねるのと同時に火のついたマッチをガス台の中に投げ入れて火をつける必要があったのです。
 台所用には、馬の絵が描かれた大きなマッチ箱が市販されていましたが(いまでもあるのかな?)、喫茶店やスナック、バーなどが競って独自のデザインのマッチをお客へのサービスとして製造販売していたものです。喫茶店のマッチを集めている人も少なくありませんでした。
 個性的な喫茶店は、マッチも個性的でした。どっこ、のあ、北地蔵など、懐かしいです。

 
2013年11月16日(土)~23日(土)午前10時~午後4時
ヒアラタアートスタジオ(苫小牧市日新町1)

12月12日(木)~17日(火)午前11時~午後5時
石の蔵ぎゃらりぃ はやし(札幌市北区北8西1)



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