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■第64回新道展=1室 (2019年8月28日~9月8日、札幌)

2019年09月14日 08時28分51秒 | 展覧会の紹介-団体公募展
 昨年は胆振東部地震に伴う停電で、会期後半の4日間が開催できなかった新道展だった。
 市民ギャラリーはとくに被害もなく、あまりに不憫だったので、昨年は大々的にブログで紹介したが、さすがに今年は何もなかったようなので、さらっといこう。

 冒頭画像、左手前は、今年の協会賞(最高賞)に輝いた楓月まなみ「流天」。
 アクリルと墨による370×145センチの大作である。
 楓月さんは一昨年、昨年も佳作賞を受賞している。
 新道展は会友も協会賞を受けることがあるが、昨年の林正重さんに続いて、一般から協会賞が出た。

 モノトーンの力作だが、良し悪し以前の問題としてこれは前衛書とどこが違うのだろう。

 市民ギャラリーの1室には、会員の力作が集まっている。

 その右隣は帯広のベテラン宮澤克忠「欲とギャンブルのボレロ」。
 大きな面と、極細の走る線との対比。

 さらに右隣は水高和彦「2019 Composition27」。
 白や灰色の大小の矩形がうむリズム。


 左は胆振管内安平町の若手三浦恵美子「シンドロクキョウ」。
 1年前の地震が、人間の存在の不安につながり、力のある画面を作り出している。F150。

 その右隣は伊達のベテラン黒田孝「転がる石」(F100)。

 右端は岩見沢市栗沢町のベテラン今荘義男「古里こり」(190×130)。
 三連画のような構成と、茶系を主軸にした色合いは重厚さを見せているが、左右の部分に太い線が自由に走っているように見えるのが新機軸。重厚さの中にさし込まれた動感、とでもいうべきか。

 
 1990年代からインスタレーションを募集・展示してきた新道展だが、1室には、田中まゆみの遺作のほかは、たった2人が並べているのみとなった。
 「あずましい」とみることもできようが、いささか寂しい。

 画像は浜地彩(札幌)「パンドラの祈り vr.2.6」。

 もうひとりは、画像にはないが、毎年重量級の作品を出している田村純也(苫小牧)「nitay(ニタイ)」。
 田村さんはインスタレーションというより石の彫刻といったほうがいいかもしれない。

 画像には、浜地さんの大作の背後に鈴木秀明(函館)「サロメの悲劇」が見える。
 世紀末的、バロック的な美をたたえた、P300号の大作。さすが、新道展の審査を領導してきたベテランの迫力だ。

 右側に順に
今多博勝(苫小牧)「白い星」
永井美智子(札幌)「まるい言語の群」
香取正人(札幌)「早春の棚田」


 左は林正重(岩見沢)「保安灯10秒前」。
 昨年に続き炭鉱施設を抑えた色使いで写実的に描いている。
 林さんは会友推挙。

 となりは、近年の活動めざましい田中郁子(日高管内浦河町)「NO.54 flow out」。

 さまざまに躍る色斑をクリーム色で塗りつぶした抽象画。

 こうしてみると新道展は、胆振・日高地方の画家の活躍が目立つなあ。


 左から
 工藤悦子(江別)「悠久の華」
 和田仁智義(十勝管内芽室町)「静寂の村」
 中村哲泰(恵庭)「とどまることのない生命」

 3人とも会員で、スケールの大きな画風である。

 とくに工藤さんは130号を2枚つなげた大きさで、絵の具を塗っては削るという行為を繰り返して独特のマチエールを作っており、そのたゆみのない創作姿勢に、思わずうなる。


 右は亀井由利(札幌)「満天」。
 亀井さんの新境地。
 一見、混沌としているようで、静かで落ち着いたモノトーンの世界。

 中央は木内弘子(胆振管内むかわ町)「メッセージ」。
 音楽を聴きながら抽象世界を描く木内さん、会員推挙。



2019年8月28日(水)~9月8日(日)午前10時~午後5時半(最終日~4時半)、月曜休み、
札幌市民ギャラリー(中央区南2東6)


□新道展 shindoten.jp/

第63回新道展 その1 ■その2 ■その3


第58回新道展 (2013)

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