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■三浦恵美子油彩画展~シキサイソウシツ、セカイカライロガウシナワレタラ~ (2022年6月29日~7月4日、札幌)

2022年07月12日 09時34分49秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 胆振管内安平町の新道展会員による個展。
 副題を一般的な表記にすれば
「色彩の喪失、世界から色が失われたら」
となります。
 新型コロナウイルスの感染や、ロシアのウクライナ侵略など、ますます閉塞感を増す世界を、しっかり見据えている画家らしいです。三浦さんはいつも、色のない世界を描いているわけではありません。
 本人は明記していませんが、誰でも気持ちが落ち込むであろう上記の二つの要因に加えて、新自由主義的な経済政策に伴う貧富の差の拡大と固定化、進む一方の地球温暖化、強権的・脱法的な姿勢のやまない政府など、三浦さんの気を滅入らせる事柄が、いまの世には多すぎるようです。

 ただ、冒頭画像の「ハンセンヘイワノキボウ」(F30 × F6 × F6)のように、暗い中にも希望が感じられる作品も並んでいます。

 この絵で目を引くのは、中央の横向きの女性のイヤリング(ピアス)。
 レモンイエローと水色に塗り分けられています。
 言わずと知れたウクライナ国旗の色です。この2色を大々的に描くのではなく、ちょっとしたアクセントとして入れているところが、カッコイイと思います。

 このほか、マーガレットの黄色や鳥の赤などが、数少ない色彩として、画面を引き立てています。

 
 今回の個展でもうひとつ興味深いのは、すべてカタカナで表記された題名です。
「メイソウ」
というF4号の作品がありますが、これだと「瞑想」なのか「迷走」なのか、判断がつきません。
 カタカナ表記によって、ダブルミーニングになっているようです。
「フカシ」
も同様で、「深し」なのか「不可視」なのか判然としないのが、逆におもしろいです。


 他の作品は次のとおり
ギャクフウ
シキサイノソウシツノカテイ F30
ソセイ
オトコデモオンナデモナイジガトハ
ヌケガラ
ベツリノイミヲシル
リュウツウハリジュンヲウムガリジュンヲウマナイ
ジツメイ
ニメンソウ
シテンヲカエルト
シキサイノソウシツ 2022


2022年6月29日(水)~7月4日(月)午前10時~午後10時(土日月~7時、最終日展示~5時)
カフェ北都館ギャラリー(札幌市西区琴似1の3)

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