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「美術の窓」12月号と「芸術新潮」増刊号を買ってきたけれど…

2023年12月04日 21時08分15秒 | つれづれ読書録
 月刊誌「美術の窓」恒例の、年間展覧会特集号を買ってきました。
 しかし「圧倒的情報量」をうたっている割には、取り上げられている展覧会は106。
 昨年の200、一昨年の300に比べると少なすぎます。

 和歌山県立美術館の学芸員もツイッター(X)で嘆いていましたが、やはり発行が早すぎるのではないかと思います。
 公立美術館の場合、新年度予算が都道府県や市町村の議会を通過するのは3月。そこで初めて、次の年度に開く展覧会や催しをおおやけにできます。
 むろんこれはタテマエであって、予算成立を待ってから展覧会の企画をつくったり、作品の貸し借りについて要望したりしていては、とうてい会期に間に合いませんから、どの美術館も1年後、2年後を見越して予定を立てているのが実情です。
 とはいえ、12月初めに出る雑誌ですから、情報の締め切りはおそらく10月頃。来年度のスケジュールがまだ完全には固まっていない施設も多いのではないでしょうか。

 下のリンク先を見れば分かるとおり、かつて「美術の窓」誌の美術展特集は2月号でした。
 他誌との競争もあるのでしょうが、発行時期がだんだん繰り上がっています。
 公立館の「地味だが良い企画」を丁寧に拾うという意味でも、4月号で特集するぐらいがちょうどいいんじゃないかと思うのです。

 同誌の表紙の「106」という数字に不安をおぼえて、「芸術新潮」誌も買ってきました。
 こちらは予想通り、今年の「美術の窓」誌以上にブロックバスター展が中心です。現代アートも同様に、扱いが小さく、「ダリ展」が「現代」にくくられていたりします。
 もっとも、取り上げている展覧会は、けっこう食い違っているのがおもしろく、二つ買ってみてとりあえず良かったです。
 とはいえ、デ・キリコ、英一蝶、鳥文斎栄之、今年国内で開かれたばかりのマティスやモネなど、ブロックバスター展(マスコミなどが主催し大々的に宣伝する大規模展覧会)も、ちょっと地味というか、あまりそそられない感じがするのは否めません。個人的な感覚かもしれませんが。村上隆塩田千春も、関西の人はうれしいだろうけど、筆者はもう東京で見たしね。

 現代アート軽視といえば、どちらも「芸術祭」「トリエンナーレ」を黙殺しているのには残念です。
 日程ぐらい書いてくれてもいいのにね。
 

 というわけで、道内関連は次の通り。

坂本直行展 2月10日~3月10日 道立帯広美術館

遠藤彰子展 生生流転 4月6日~6月16日 札幌芸術の森美術館

内藤コレクション 写本―いとも優雅なる中世の小宇宙 9月7~29日 札幌芸術の森美術館

 筆者は、来年開かれる予定の展覧会についてはほかにも知っているのですが、新聞の紙面に出る前にここに書くわけにも行かないしなあ…。


 道外ですが、個人的に気になるのは次の通り。

特別展「本阿弥光悦の大宇宙」 1月16日~3月10日 東京国立博物館
中平卓馬 2月6日~4月7日 東京国立近代美術館
没後50年 福田平八郎 3月9日~5月6日 大阪中之島美術館
北欧の神秘―ノルウェー・スウェーデン・フィンランドの絵画 3月23日~6月9日 SOMPO美術館
ブランクーシ 3月30日~7月7日 アーティゾン美術館
画鬼 河鍋暁斎 × 鬼才 松浦武四郎 4月13日~6月9日 静嘉堂@丸の内
描く人、安彦良和 6月8日~9月1日 兵庫県立美術館
広重 ―摺の極― 7月6日~9月1日 あべのハルカス美術館
ルイーズ・ブルジョワ展 9月25日~来年1月19日 森美術館

 関東・関西ばかり。しょせん中央の雑誌なんだよな。
 昔の「美術の窓」は、もうすこし地方館の情報も載っていたと思います。
 安彦良和さん、北海道(オホーツク管内遠軽町)生まれ、弘前大なんだから、こっちにも巡回してきてほしいと切に願います。
 

□美術の窓 http://www.tomosha.com/mado/
□芸術新潮 https://www.shinchosha.co.jp/geishin/

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