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国立アイヌ民族博物館―白老日帰りの旅その6

2024年07月13日 11時17分59秒 | つれづれ日録
(承前。その4はこちら)

 「藤戸竹喜の世界展」はすばらしかったですが、エカシは出張中! 以外については後でくわしく書くことにします。

 じつは筆者はウポポイに来るのは初めて。
(これは恥ずかしいことだとわれながら思うのですが、どうにも忙しかったので…)

 ウポポイの中核施設「国立アイヌ民族博物館」の常設展示ものぞいてみました。
 エスカレーターに乗っていると、りっぱな施設だな~とつくづく感じます。
 とはいえ、別に金箔を貼ったり、シャンデリアを連ねているわけではないので、豪華というのとも違うでしょう。

 2階の大きな窓からは、ポロト湖が望まれます。 
 
 
 展示室は大きな円形(円筒形)です。
 上部に輪になっている電光掲示板を見て、円ドル相場のニュースに映像で流れてくる取引所を連想しました。

 古い道具や着物などいかにも博物館らしい展示物も多いですが、最大の特徴は、決められた順路がないこと。
 どこから見始めてもかまわず、それでいて歴史的な展望を損なわないような排列になっています。

 世の中には、アイム民族が今もかやぶきのチセに住んでクマを飼っていると勘違いしている人もいるでしょう。
 近世・近代以降、近代化の波にあらがい苦闘した先達(バチェラー八重子や川村カ子ト)らの歩みや、現代のアイヌ民族の暮らしも紹介しています。
 アイヌ語のコーナーでは知床の語源となった「シリエトク」が「地の果て」という意味だという俗説をわかりやすく否定する映像があるなど、さまざまなところに細心の注意が払われていることがみてとれました。

 これでも、見る人が見れば、シャクシャインの戦いなど和人による弾圧や差別のひどさに言及する部分が足りないといった指摘も出てきそうですが…。
 そもそも日本は、先住民族の政治的・経済的な不利益とその回復に関しては、ノルウェーなどとくらべると冷淡で、民族政策が文化面に偏っているという面は否定できません。そのことが、この博物館に象徴されているという気もします。
 
 博物館の展示以外にもウポポイでは、土日祝日を中心に、映像上映や、ムックリ製作体験「ムックリ アカン ロ」などのプログラムが幅広く行われています。

 筆者も再建されたチセの内部を見学してきました。
 湖畔に並んでいるものは、アイヌ民族博物館からウポポイに衣替えする際に建て替えたそうです。
 海側の小さいものは往時の姿をそのまま残していますが、筆者が見たのは、たくさんの見学者の入場や、ちょっとした集まりが可能なように、床を板張りに、窓をアルミサッシにした近代的な仕様でした。
 これを見た性格の悪いネトウヨが「インチキだ」と騒がないかと、筆者の心は憂うつになりました(そういう難癖をつけるような人はふすまと障子で仕切られ、畳が敷かれた家に住んでいるんだろうな。まちがってもカーペットなんぞ使ってないよな…)。

 湖畔で、アイヌ衣装を着た女性による昔のお話とムックリ演奏もあり、2、30分ほどいすにすわって聴いてきました。

 博物館では売店ものぞいてきました。
 さすがに品ぞろえは豊富で、いわゆるミュージアムグッズ以外にも、工芸品などがいろいろありました。
 なぜか月寒あんぱんやハスカップを使った菓子(苫小牧かと思ったら小樽の会社だった)などが置いてありました。まあ、道外からの観光客は気にしないのかな。
 本屋もまずまずでしたが、岩波書店の本が、買い切り制度のためかどうか知りませんが、一冊もないのは残念。せめて『アイヌ神謡集』ぐらいは置いてほしかったです。

(筆者は売店でコーヒーを買い、帰りの列車に Wi-Fi の電波がないときに備え、持参していたパソコンでブログの更新作業をしていたのでした。いつまで、こんな慌ただしい生活をおくるのかな、オレ)


 ところで、ウポポイには、もう1カ所どうしても足を運んでおきたいところがあったのです。


□国立アイヌ民族博物館 https://nam.go.jp/




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