今朝、NHK「課外授業ようこそ先輩」の再放送で、写真家、長倉洋海氏の「世界に広がれ!笑顔の力」を見た。世界の多くの紛争地を歩き、一般のテレビや新聞報道とは違った視点から人々の暮らしを長期にわたって撮り続けている、私が好感をもつカメラマンの一人だ。
彼の生まれ育った地であろう北海道釧路市の小学校で、3日間にわたって長倉さんは指導し、子供たちは人々の笑顔を求めて各々に貸与されたデジカメを持って町に出たが、急に子供たちがカメラを向けてもなかなか町の人たちは、表情が固かったり笑顔にはほど遠い顔のスナップしか撮れなかったりであった。
長倉さんは、子供たちに出会った人たちとのコミュニケーションの大切さを教え、2日目には前日のスナップ写真を、被写体になってくれた人たちに手渡して再度交流、言葉を交わして、気持ちを伝えて再び撮影したところ、多くの自然に近い笑顔のスナップを撮影することが出来たようである。
人と人が出会い、時にはすぐに意気投合することもあるが、やはり出逢いから言葉や気持ちを伝えながらお互いの気持ちを交流することが,笑顔を生み出すのにいかに大切な鍵かがよくわかる。子供たちも最初は町の大人たちに「写真を撮ってもいいですか?」と確認するのがやっとで、相手の目を見て話すことも出来なかったが、2日目には少し表情にもゆとりが出来て、いろんな話をしながら再度写真を撮らせてもらったところ、前日とは違った余裕やリラックスした気持ちも感じられる笑顔が写ったものが多くあった様である。
子供たちの撮った笑顔の人々の写真は大きく引き伸ばされ、大きなパネル板に長倉さんの世界の大人、子供、幼児の笑顔たちと共に貼り付けられた。
この大きな合作の世界の人たち、釧路の人たちの笑顔のパネル板を町に持ち出して、誰もが見れる一角に展示して、この写真に関わった人たちだけでなく、多くの市民が見ることが出来た。
子供たちは口々に、やっぱり戦争や貧困など、あらゆる不幸な実態や笑顔の乏しい人々を写真で見るよりも、明るい笑顔の写真を見ることの方が気分もいいし、うれしくなり自分も笑顔になれると感想をのべていたのが印象に残っている。
私も特に子供たちの笑顔が大好きな一人である。写真家の撮った写真集もよく見るが、自分自身が出会った子供たちのスナップや、3歳になる孫の笑顔は格別である。
こうした先輩の授業を通して、子供たちが町の人たちに接して言葉をかけて写真を撮らせてもらい、大きなパネルに自分の撮った写真が、長倉さんの世界の人々の写真と同居した大作品になったインパクトは、きっと一生、この子供たちの宝物になり忘れられない大切な記憶となって、彼らのこれからの人生をいろんな時に励まし、応援してくれる贈り物になったと私は確信した。
きっとどんな人でも自分の笑顔や他人の笑顔の嫌いな人はいないはずである。いつも感謝と喜びの笑顔で人生を過ごせたら、一番うれしいのは自分なのだが、上り坂、下り坂に、たまには「まさか」という坂もある人生を、出来るだけ笑顔で過ごしたいと思うのは私だけではあるまい。
同志社大学の先輩?としても、後輩長倉洋海氏の、この授業と写真家としての活動に弥栄とエールを贈りたいと思います。ありがとう!、これからも元気に世界中の笑顔を撮り続けて、少しでも紛争や戦争に傷つく人たちが少なくなる地球を目指して活動してくださいと祈るのみである。