市内の公民館で障害者週間の記念式典と講演があった。
あのテレビドキュメンタリーとしても放送されたユッピィーことゆうと君という重度の障害児のお子さんの誕生から8歳で亡くなるまでの体験を、女優である石井めぐみさんが、小柄だが大きく張りのある声で1時間半近く話された。
特に障害を持って生まれた子を、始めは健常児にするために訓練、訓練の連続に明け暮れて、本人にとってストレスとなることばっかりやっていたとのこと。大きな病気の転機から出来るだけ本人に心地のいい環境を探して一緒に愉しむことに努めて暮らし、8歳の若さで昇天されたが、本人にとって生まれて来れて良かったと感じられた短い一生ではなかったと,最愛の我が子ユッピーこと、ゆうと君を亡くされて5年経った現在、講演活動を全国でされている様だ。
彼女は、一般的にまちで会った障害者に対して一度は立ち止まって目線を交わしてほしい。そうすれば、助けやお願いがあるときには、声をかけやすいしサポートもしていただける。
ぜひ、そうしたゆとりある社会、共に助け助け合えるまちづくりを目指してほしいと締めくくられた。
その講演を聴いた後、私はひとりの自宅療養中の癌患者のお見舞いに行った。「近くに来たので、よかったらちょっとお見舞いを」と電話をかけたら電話口に出た彼女は明るい声で「どうぞ」と言ってくれた。彼女は八百屋のお客さんであり、小学校教師をされている。元気が取り柄だとおっしゃっていた女性だが、乳癌になられて手術と治療の日々が続くようになったようだ。
9月頃に大きな病気治療の転機があったようで、それ以来お会いしていなかったのである。少し恐れを抱きながら3ヶ月を経過したので、思い切って声をかけてみたのである。
彼女は自宅療養中で今は少し落ち着かれている様子だった。しかし次週にはまた大きな治療の転機が来るそうで、いいタイミングの訪問となったようだった。
彼女は、難病指定でもない癌であり、高齢者としての介護保険の対象者でもないので、自宅でのひとりの時や病院への通院など、家族ケアでは及ばないサポートをボランティアにしてもらうシステムの必要性を僕に提案し訴えられた。私は石井めぐみさんの話にもあった、ちょっとしたきっかけでの言葉かけが、障害者にとってもありがたいし、サポートできたら出会った私たちもほんとうに嬉しく感じるだろうとの思いが重り、彼女の訴えが心から理解できた。
さて、多くの一人暮らしの高齢者や病気療養中の方々、また障害をお持ちで出かけることに多くの労力やサポートが必要な方々が世の中にはおられる。一方元気な中高年世代だけではなく、学生、主婦の中には、時間があって、何か社会的にお役にたつことをしたいと思っている人々も結構おられる。しかし出会いや情報が充分ではないのである。
こうしたニーズと要望を何とか結びつけて、お互い地域に住む人たちの助け合いと喜びのネットワークづくりが必要である。孤独や寂しさを、また精神的に暗くなったり落ち込んだりすることは、人生にはどこかで誰にもある経験ではないだろうか。
そんな時に気軽に声をかけてもらえたり、話相手や時には一緒に散歩や通院に付き添ってもらえたら、いや一緒にいてくれるだけでも安心と安らぎを得られることもあるだろう。
こうした気軽なボランティアのニーズを出会いとサポートの喜びでネットワークしょう!