「釣瓶こそ手は竪におけ蓋とらば釜に近づく方と知るべし」
釣瓶の水指の扱いを教えている利休道歌ですね。
釣瓶の水指を楽しむ季節です。
(利休道歌とは利休の教えを和歌であらわしたもので、
百首ほどあります。)
また利休道歌の中には、
「水指に手桶出さば手は横に前の蓋取り先に重ねよ」
という手桶の水指の扱いについて教えている歌もあります。
これだけでは扱いの詳しいこと、微妙なところはわかりませんが、
基本的な約束はわかります。
これを頭に入れて道具を扱えばよいということです。
それでも時には臨機応変の働きも必要なのですが。
こんな風に利休道歌には、お点前の約束や心得、意味、
などについて歌っている物がたくさんあります。
必要に応じて、読み返すと、新たに"ガッテン!!"のいくこともたくさん。
最近利休道歌の本を求めて読み始めたという方がいらっしゃいます。
色々と教えられて面白いとおっしゃいます。
又ちょっとお茶への興味が深まったそうです。
そういえば私が全部通して読んだのは、20年ほど前のことです。
それまでは、有名な歌や、研究会などで読み上げる歌くらいの知識でした。
初めて全部目を通したときは、よく理解できない歌もたくさんありました。
お茶の知識や、点前の知識が深まっていなかったからでしょう。
ところがそれから10年ほどして、
自分がお茶を教えながらあれこれと勉強したことからでしょうか、
新たにたくさんの歌を、なるほどと心に落ちる歌だと実感しました。
茶室をしつらえるときの約束や決まりなどに関する歌は、
必要を感じてはじめて参考になることですから。
それにしてもよくここまで丁寧にと思います。
きっと読み始めた方も、
一回目は何のことやらの歌もたくさんあると思います。
でも一回だけでなく稽古が進んだらまた読んでみる。
するとまた新しいことが興味深く迫ってくるはずです。
私が以前時々短冊に書いて掲示板に貼っていた道歌を、
皆さんどのくらい覚えていてくださるかしらね。
何事も必要になって初めて頭に入り、身につくものです。