お休みの方がいて、お稽古がゆったりしているときなど、
「今日は私を独り占めですよ」
なんて言って、じっくりとお点前のバージョンアップをしてさし上げます。
「もう少しこうすると、もっとお点前がきれいになりますよ」とか
「もうこれくらいできなくてはね」と要求水準をアップしたりするのですが。
私自身ができるかどうかは別として・・
目だけは肥えていますからね。
あと・・口もね。
少し経験を積むと、初めは理解できなかったことも、
すっとしみ込むように入っていくようです。
余裕ができたのですよね。
だから、今かなと思ったときに、
私の「バージョンアップね」が突然来ます。
皆さんちょっと垢ぬけた気分になって、
「べんきょうになりました~」と。
内緒ですが、そんな後で時々
『自分は言った通りできているのかな』
なんて一人てお点前を確かめたりしすることも。
自分の姿が一番分からないものです。
バージョンアップで思い出すのが、
「秘密の特訓」
以前小学校の一年生を受け持っていた時のこと、
どうしても縄跳びができない男の子がいました。
他の子は、どんどんいろいろな飛び方を覚えて、
「縄跳びカード」なるものも進級させていくのですが、
その子はなかなかうまくいきません。
ある日その子に「今日は先生と秘密の特訓をしようね」ともちかけ、
いわゆる、放課後のお残りでなんとかしてあげようとしました。
そうしたら、その子以外に五~六人残って待っているのです。
「僕今日ね、秘密の特訓するんだ」とみんなに言ってしまったようで、
その「ひ・み・つ」という甘い囁きにつられて、
僕も、私もと増えてしまったのです。
お残りなんて言ったら、集まらなかったかも。
まあ一年生ですからね。
六年生だったら「甘い囁き」にはならないでしょうが。
でも・・もしお稽古の方に、
「秘密の特訓しましょうね」
ともちかけたら、どうするでしょうね。
私だったら喜んで、
絶対”秘密”で特訓を受けますよ。