A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

【私のB級サイケ完全コレクション#10】Bの最後はサイケじゃないかも~ Bobbie Gentry『Ode To Billie Joe』『The Delta Sweete』

2020年07月11日 02時02分35秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


ボビー・ジェントリー Bobbie Gentry (本名Roberta Lee Streeter)は1942年7月27日ミシシッピー州チカソー・カウンティ生まれのシンガーソングライター。自分の曲を作曲しプロデュースした最初の女性アーティストと言われる。1967年に自作の南部ゴシック・ソング「Ode To Billie Joe ビリー・ジョーの唄」が全米No.1ヒットになり、翌年のグラミー賞の新人賞と女性ポップヴォーカル賞を受賞。11曲のビルボード100ヒットと7枚のアルバムをリリースしたが、1981年に芸能界を引退した後は、一切表舞台には登場せず隠遁生活を送っている。

日本ではせいぜい「ビリー・ジョーの唄」が60年代フォークのヒット曲として知られている程度だが、当時の排他的なアメリカ南部の生活を小説風に描く哲学的な歌と、女性の権利を勝ち取ろうとした生き様が、アメリカはもちろん、イギリスやヨーロッパでも高い人気を持っている。現在でも根強い支持があり、2018年に8枚組CDボックス『The Girl From Chickasaw County (The Complete Capitol Masters)』がリリースされた。また、2019年に米ロックバンドMercury Revがゲスト・ヴォーカルを迎えたトリビュート・アルバム『Bobbie Gentry's The Delta Sweete Revisited』をリリースしている。
MERCURY REV、2/8リリースの4年ぶりニュー・アルバム『Bobbie Gentry's The Delta Sweete Revisited』より「Okolona River Bottom Band Ft. Norah Jones」音源公開

筆者が聴いたきっかけは、シェリル・クロウが影響を受けたと語っていたことだったと記憶している。サイケデリックと呼ばれることは滅多にないが、アメリカ南部の泥臭いフォーキー・サウンドやシュールなストリング・アレンジは、十二分にサイケだと感じる。スワンプ・ロックやカントリー・ロックの先駆けともいえるし、引退後の隠遁生活は、森田童子を思わせる。なぜか彼女のレコードは全て海外で買ったということに気がづいた。日本で如何に過小評価されているかの証拠だろうか。あと2週間で彼女の78歳の誕生日だし、この機会にBobbie Gentryを見直してみてもいいだろう。
Bobbie Gentry Website
ボビー・ジェントリー:貧しい生い立ち、「ビリー・ジョーの唄」の秘密と音楽業界の女性の権利を勝ち得た先駆者

●Bobbie Gentry / Ode To Billie Joe

1967 / US: Capitol Records ‎– ST-2830 / 1994.11.30 Los Angeles Aron's Records $0.99

大ヒット曲「Ode To Billie Joe」を収録した1stアルバム。67年7月にリリース。A-1. Mississippi Deltaでスワンプロックに乗せて“M I double S I double S I double P I”つまりMISSISSIPPIと繰り返す老婆のようなダミ声はまさしくヴ―ドゥ―・サイケ。素朴なギターの弾き語りでも、美声というより妙に色っぽい艶声で歌われると不思議な浮遊感がある。もしボビーがBig Brother & The Holding Companyのようなサイケバンドと出会っていたらジャニスのライバルになっていたかもしれない。

Bobbie Gentry - Ode To Billie Joe



●Bobbie Gentry /‎ The Delta Sweete

1968 / UK: Capitol Records ‎– ST 2842 / 1996.1.16 London Reckless Records Berwick St. £8.99

●Bobbie Gentry /‎ Way Down South

1971 / UK reissue: Music For Pleasure ‎– MFP 50006 / 1995.11.12 London Music & Video Exchange £2

68年2月リリースの2ndアルバム。ボビー自身がギター、ピアノ、バンジョー、ベース、ヴァイブなど様々な楽器を演奏し、ストリングやホーンを使った実験的なアレンジを施したデルタカントリー版アビー・ロード(サージェントペパーズではなく)と呼べるアルバム。ガレージロックのスタンダード「Tobacco Road」「Parchman Farm」のスワンプ・カヴァーも聴きどころ。下の『Way Down South』は廉価再発盤。なんと7月31日にDeluxe VersionがCD/LP各2枚組でリリースされる。

Bing Crosby and Bobbie Gentry - Okolona River Bottom Band



●Bobbie Gentry & Glen Campbell ‎/ Bobbie Gentry & Glen Campbell

1968 / UK: Capitol Records ‎– ST 2928 / 1997.12.8 London Beat Records

68年8月の3rdアルバム『Local Girl』に続いて68年9月にリリースされたグレン・キャンベルとのデュエット・アルバム。キャピトル・レコードの2大カントリー・スターの共演という企画盤であり、保守的なカントリー・ナンバーばかりだが、グレンに寄り添うボビーの歌声に萌える向きには悪くはない。それにしてもジャケット写真はなぜ別々に撮影したソロ・ショットを並べたのだろう。

Glen Campbell Bobbie Gentry Jan 29, 1969 Little Green Apples



●Bobbie Gentry ‎/ Your No.1 Fan

1971 / US: Capitol Records ‎– SLAO-6715 / 1996.7.12 Los Angeles Aron's Records $0.99

67年~71年のキャピトル時代を総括するベスト盤。ソウルに挑戦したり、ラスヴェガスのスターに転身した後期の曲を聴けるのが嬉しい。正直言ってアルバムすべてを集める気はないので、このベスト盤で十分だと思っていたが、ボビーの別の顔も聴いてみたい気がしてきた。

Your Number One Fan



●Bobbie Gentry ‎/ Live At The BBC

2018 / UK: Capitol Records/UMC ‎– 6717729 / 2018.4.21 HMV Record Shop コピス吉祥寺 ¥3,240

2018年に出た8枚組CDボックスに収録されたBBC TV『Bobbie Gentry Show』収録音源が2019年RSD商品としてアナログ化された。当時ボビーのことはほとんど忘れかけていたが、RSDの魔術で聴いてみたくなった。バックをJohn Cameron (p), Alan Parker (g), Danny Thompson (b), Herbie Flowers (b), Tony Carr (ds)等ブリティッシュ・ジャズ界の名手が固めていて、アルバム・ヴァージョンよりもバンド感たっぷりで躍動的なボビーのヴォーカルが楽しめる。個人的にはこのアルバムが一番好きかも。番組ではドノヴァン等との共演もしているので、いつの日かコラボ音源がリリースされることを願っている。

"The Bobbie Gentry Show" UK TV Show 1968 (Full Episode) Part 1


ボビーさん
いしだあゆみに
似ているね

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 【私のB級サイケ完全コレクシ... | トップ | 【在り続ける即興音楽】橋本... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ガールズ・アーティストの華麗な世界」カテゴリの最新記事