A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

フローリアン・ヴァルター×沖縄電子少女彩/UH(内田静男×橋本孝之)/森田潤@千駄木Bar Isshee 2019.7.24 wed

2019年07月28日 14時13分56秒 | 素晴らしき変態音楽


TUBES & WIRES
2019年7月24日(水) 東京・千駄木Bar Isshee

Florian Walter (sax)+ 沖縄電子少女彩 (electronics)
UH(内田静男(b) + 橋本孝之 (sax))
森田潤(synth)
open 19:30 / start 20:00
料金 投げ銭制(別途チャージ500円+ドリンクオーダー)

今年の5月終わりにフローリアン・ヴァルターからメッセージがきた。「7月に日本ツアーを予定しており、今回は特に伝統音楽とエレクトロニクスとのコラボレーションをしたいのだが共演ミュージシャンについてアドバイスが欲しい」とのこと。伝統音楽には疎いが、エレクトロニクスと聞いてまっさきに頭に浮かんだのは、18歳のアヴァンギャルドアイドル沖縄電子少女彩だった。ドラびでおこと一楽儀光主催の「GIGANOISE」でJK制服姿でノイズを演奏するのを観て衝撃を受けて以来、同イベントや姉妹イベントGIGAIDOL、ギュウ農フェスなどのアイドルイベントで観る度にアーティストとしての資質が向上して行くのを感じると共に、ドラびでおをはじめT.美川、ASTRO、森田潤といった地下音楽家との交流を深め、8月11日の生誕イベントに灰野敬二が出演するなど、地下アイドルと並んで筆者の主現場である地下音楽へ接近する彼女こそ、昨年12月の来日時に筆者の勧めに従って地下アイドルのライヴを観て感銘を受けたというドイツ異端派サックスプレイヤーにうってつけのコラボレーターに違いない。対バンは2017年最初の来日ツアー以来毎回コラボしている橋本孝之と内田静男のデュオUH(ユー)とヴァルターとは初共演のモジュラーシンセのベテラン森田潤。



ヴァルターのアイデアでイベントタイトルは『TUBES & WIRES(管と配線)』に決定。管楽器(サックス)2名、弦楽器(ベース)と配線コードが絡まる電子楽器2名によるライヴにこれほど相応しいタイトルもあるまい。告知フライヤーはヴァルターが自分のサックスと手持ちのコードを使って撮影した写真を内田静男がデザインした独日コラボ作。ヴァルターのリクエストに応えるとともに、筆者の地下音楽と地下アイドルの融合の夢を叶えつつ、ありきたりなコラボに飽き足らない好事家の欲求不満を解消させるラインナップになったと自負している。

●森田潤


配線だらけのモジュラーシンセはまさにWIRESそのもの。最近弾いているというエレクトリック・ヴァイオリンを使いつつ、様々な具体音が断続してビートを産み出す電子音の饗宴は、ミュージックコンクレートとヒップホップが融合されたバイオニック・エレクトロニクス。ヴェルターは音量の大きさに驚喜しつつ「ドイツでは違法だ」と語った。ヨーロッパではライヴハウスの音量規制が厳しくて日本のような大音量のノイズ演奏が不可能とのこと。90年代欧米を驚かせたジャパノイズの秘密のひとつは大音量だと言われているが、それは現在でも変わらない。

●UH=内田静男(b)+橋本孝之(sax,hca)


UHは6月1日に同じBar Issheeでマルティン・エスカランテ日本ツアーで観た。実はその時にBar Issheeと内田・橋本にフローリアン・ヴァルターの公演の打診をしたのだった。6月の演奏は従来の音数の少ない静謐なアンビエント色だけでなく、躍動感のある動的なプレイで魅せてくれた。この日のパフォーマンスはさらに加速したハードコアなインタープレイを展開し、ダイナミックなエネルギーを放出するスタイルで魅せた。特に内田のアグレッシヴに唸るベースラインには、実はパンクロック好きだと言う彼の資質が表れていた気がする。

●Florian Walter+沖縄電子少女彩


彩はサックス奏者とは初共演だというが、全く物怖じしないどころか、楽しみ!と目を輝かせる。決してアイドルに限った話ではないが、こうしたポジティヴ志向が新たな表現の喜びを産むことは間違いない。ヴァルターのブレス音に彩のホワイトノイズが絡むスタートから、サックスが循環呼吸の激しいパッセージに移行。彩はヴァルターの方を凝視しながら電子音を重ねて行き、時折マイクを掴んでシャウトを聴かせる。即興演奏の間に彩の楽曲「Jin Jin」と「ぼくらは星砂」を挿む。歌のバックでパーカッシヴなタンギングやアブストラクトなアルペジオを駆使して、別次元の音響空間を産み出すヴァルターの多才さに驚愕。受けて立つ彩の堂々たる風格。単なるアイドル+ノイズ+インプロではなく、ふたりがイーブンな関係で1+1=∞(無限大)の音楽をクリエイトする魔術を堪能した。

●全員セッション


最後に五人全員のセッション。ヴァルターと橋本が対峙して、交互にフレーズ/叫びを重ねて横軸を描き、内田のベースが基盤を支え、彩と森田の電子音が無数の縦軸を描く。立体的な音空間で五者のバランスが拮抗し、サックス二人の呼吸の変化が場面転換に反映され、命を吹き込まれた音楽の風が聴き手の心にさざ波を起こす。得てして我が先の音量・音数バトルになりがちな1回限りの集団即興だが、この五者のセッションは有機的な集合体(バンド)の誕生に他ならない。終演後の5人の笑顔が音楽の喜びを証明している。ぜひ再演を望みたい。



管と線
音楽通して
繋がった



橋本孝之 ソロ インプロヴィゼイション
7/28(日)オープン19:00 スタート19:30
2000円+ドリンクオーダー
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橋本孝之(alto sax, guitar, harmonica)

...................................
国分寺ギー
042-326-0770
http://giee.jp/
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