A Challenge To Fate

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【私のポストパンク禁断症状#12】『パイナップル / YAWA YAWA』/『NISHIN / DAI DAI』~札幌80年代ニューウェイヴの秘宝

2021年05月07日 01時10分01秒 | 素晴らしき変態音楽


小学校に入る前北海道の函館に住んでいた。幼少期の記憶だが冬の根雪や路面電車が走る街並み、五稜郭公園の大砲、函館山のロープウェー、青函連絡船、保育園のテレビで観たアポロ11号の月面着陸などが記憶に残っている。1970年に仙台へ引っ越して以来、現在まで函館に行ったことはない。札幌へは就職してから出張で何度か行ったことはあるが、ほとんど日帰りや1泊程度。2019年2月に遠征で爆裂女子の札幌公演でカウンターアクションというライヴハウスへ行ったのが唯一の音楽体験。そんなわけだから、80年代の札幌のライヴハウス・シーンのことはまったく知らないのだが、最近入手したレコードがとても面白くて、札幌インディーズに興味が湧いてきた。

●パイナップル / YAWA YAWA


1st 10inch『パイナップル4.9』(83)のジャケットは昔レコード店で見た覚えがあるが、コミックバンドみたいで聴く気になれなかった。こちらは2nd LPだが、やはりジャケットだけでは音楽性が想像できない。しかし裏ジャケのコラージュを見るとシュールなアート感があって、ただのコミックバンドじゃない凄みがある気がする。札幌のライヴハウスでは大人気だったという。本作は1986年10月~87年2月録音、1987年リリース。メンバーは新江一志(vo,b,ds)、阿部幸弘(key,b,tp)、今野俊則(ds,key,pianica)、鳴海徹(g)。メンバーそれぞれいろんな楽器を持ち替えて演奏している。変拍子のプログレポップ、レゲエ/ダブ、とぼけたフォーク調、タイトなファンクビートといった雑食性の高いサウンドは、何でもありの80年代ニューウェイヴの到達点を示している。バンドで言えばヒカシュー、Qujia、Mute Beat、Melonといった名前が頭に浮かぶが、もっと自然に近い発想で作れられたような解放感と自由度が感じられ、個人的に好感度が高い。
1~2年前に1st,2ndにオムニバスLP『Case of Telegraph』(83)収録のライヴトラックを追加したCD『パイナップル / YAWA YAWA ~パイナップルcomplete collection~』がリリースされた。詳細な解説書が付いているので、それを読めば札幌ニューウェイヴ・シーンのことがもっとわかるだろう。

PINEAPPLE - YAWA YAWA (1987) [alternative rock japan]



●NISHIN / DAI DAI


中古レコード屋で見つけてアートっぽいジャケットが気になり、値段も手ごろだったので購入。NISHINとDAI DAIのどちらがバンド名かも分からなかった。1986年3月~11月録音、1987年リリース。メンバーは、吉田こうじ(vo, g, key)、ORA(g, calimbaguiter)、クメヤスシ(b)、津わき貢(ds, perc)。Special Thanksにパイナップルの阿部幸弘の名前があるので交流があったはずだが、遊びの要素があるパイナップルと違って、NISHINは独特の美意識に貫かれた真面目な音楽性を持つ。80年代King CrimsonのエスノプログレとBauhausのゴシックパンクの影響を受けた退廃的なサウンドと、P-Modelを思わせる和風のメロディが近未来ポップを奏でる。イケメン風のメンバー写真から察するに、カリスマ的な雰囲気がアピールしたのではないだろうか。ネットで調べたところでは「テンプラ」という曲の人気が高いようだ。残念ながらヴォーカルの吉田は急性骨髄性白血病のため91年に30歳の若さで早逝したという。

dai dai - nishin


万象館 1988-8-21 吉田コウジ


パイナップル(果物)とニシン(魚)。北国バンドのネーミングセンスも興味深い。

北の国
おもろい音楽
埋もれてる

【その他の札幌インディーズ音源】
札幌自主制作80s -SAPPORO INDIES 80s-
80年代の札幌を中心とした自主制作音源。Karma(1986-990),CASE BY CASE(1984-1986),パラフレーズ(1979-1989),ライナスの毛布(1984-2008),OUT(2012-活動中 )


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