A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

【盤魔殿アマルガム Vol.37】NNCK & EMBRYO/ボルシー/Copass Grinderz/Keita Sano/JUSTICE /劇団うろのひびき/Theologian

2022年05月03日 00時21分11秒 | 素晴らしき変態音楽


盤魔殿 Disque Daemonium AMALGAM Vol.37
“nuit de Walpurgis” issue

2022年4月30日発行

<―――――――――――――――――――――――盤魔殿DJ 今月の1枚――――――――――――――――――――――――――>

盤魔殿DJ陣が毎月お気に入りの音源をご紹介。こだわりの選盤からどんな世界が広がるかお楽しみください。

●DJ Athmodeus a.k.a. 持田保


NO-NECK BLUES BAND AND EMBRYO / Embryonnck (Staubgold) 2006
地元ブックオフの100円CDコーナーで発掘した一枚。NYのフリークアウト集団ノー・ネック・ブルース・バンド(以下NNCK)とクラウトロック大ベテラン、エンブリオの合体作品。NNCKは90年代よく聴いていたけどすっかりご無沙汰で現在も存続してることさえ知らなかったスマン。で内容はエンブリオのフェイク・エスノ路線を密教っぽくさせたフリーフォーム世界。とはいえアンガス・マクリスみたいな極彩色にキマったノリではなく、なんか腰に力が入らないまま脊髄がムズムズするようなサイケデリック世界がダラダラと続く感じ。弛緩しまくったノリがマジ気持ちよい。で、この100円CDに出会って自分のなかでNNCK再聴ブームが到来。最近のNNCK(これも初期とは異なる良さが爆裂してて素晴らしい)もチェックするようになったのでブックオフ侮りがたし。


●DJ Necronomicon a.k.a. 剛田武


BOLSHIE / 1979 Unreleased Studio Tracks (2022)
ボルシーは1979年にリリースされたオムニバスLP『東京ニュー・ウェイヴ'79』にSEX、自殺、PAIN、8 1/2とともに収録されていた平均年齢16.5歳のパンクバンド。それから43年経って突然未発表のスタジオ録音と当時のライヴ音源がまとめてCDで発売された。メンバーのインタビューを読むと78年に高校に進学したというからおそらく筆者と同学年。結成のきっかけとなった原宿のパンク・ブティックSMASHには、筆者も2,3度行ったことがある。クラッシュのTシャツやバッジを買ったが、こづかいが少なかったのでボルシーのメンバーのように入り浸ることはできなかった。79年5月の解散直前のスタジオ録音を中心にした『1979 Unreleased Studio Tracks』には<1979年>という時代の空気がたっぷり詰まったソリッドなパンクロックが聴ける。『東京NEW WAVE’79』のG,B,Dsのトリオにキーボードが加わっているが、サウンドの幅を広げるのではなく、厚みを増す役割をしているのが潔い。メンバーの解説にもあるようにWIRE的な方向性を見せていることはピンク・フロイドの1stの曲のパンクカバーでもわかる。2年前に再発されたオムニバス盤『都市通信』にも感じたが、1979年という年は日本の(パンク)ロックに於いて特別な年だったことは間違いない。1977年に英米のパンクロックに感化されてアンダーグラウンドから湧き上がってきた未成熟なロック衝動が、80年代になるとニューウェイヴ・ブームの中で商業化され牙が抜かれて初期衝動は忘れられていった。そのギリギリの時代の空気がボルシーの音楽に真空パックされている。


●DJ Vaby a.k.a. 大場弘規


Copass Grinderz ・ Kr/A/sH! ≪音圧鬼盤≫
今月の11日に旅立った古くからの友人であるZeroさんへの追悼の意味も込めてのチョイス!今から30年以上前、僕が20代半ばのある日、友人宅に泊まった時の事。友人は「日雇いの仕事があるから、鍵はポストに入れといて!」と、早朝に出て行ってしまった。1人残った僕は特に気にせず再び寝てしまったが、その後、誰かがノックしている音に気が付き、玄関のドアを開けたところ眉間にピアスをしている強面の青年が「あれ?ガクちゃんは?」と話しかけてきたんだ。これがZeroさんとの記念すべきファーストコンタクト!(笑)それからBandを結成したと聞いてライヴを撮影しに行ったりしたんだけど、そのBandが当時はまだBassが在籍してたコーパスなんだなぁ。
で、時を戻そう(笑)。
オリジナルは1996年リリースなんだけど、こちらの2014年リリースである音圧鬼盤は、尋常でない音圧仕様でのリマスタリングを施し、一部曲の入れ替えとともに、貴重なボーナス・トラックを追加した結果、合計トラック数は2倍超、収録尺も約2倍、音圧にいたっては???倍にも達してしまった恐ろしい代物へと変貌(笑)。特筆すべきはボーナストラックで収録された「Surfing vietnam」。当時、PusheadのレーベルであるPusmortより1992年にリリースされた1st7inchなんだけど諸般の事情で日本国内にごく少数しか入って来なかった超貴重マテリアルなんですよ!しかも、それがリマスターされて聴けるとは!!とにもかくにもCopassの代表曲が全て聴ける、入門としても最適な1枚なのです。
 

●DJ BEKATAROU a.k.a. 伊藤元


Keita Sano / LOVE HATE LOVE THINK
1989年生まれ。岡山県出身。
13歳から作曲を開始し、19歳頃に本格的に音楽制作をスタート。欧州ツアーやレッドブル・ミュージック・アカデミーに日本代表として参加。2016年に『The Sun Child』でアルバム・デビュー。同年12月にはフル・アルバム『KEITA SANO』をリリース。2017年、自身の主催レーベルMAD LOVE recordsを始動。
さて、同レーベルからリリースされた本作"LOVE HATE LOVE THINK"だが興奮と躍動、緊迫、興奮が急速なまでに入れ替わる感覚に久々に震えた…
強烈なパーカッション、狂気のダブ、コラージュ、サンプリングビートに電気は増幅し、あらゆる起伏の波浪が混合した結果、音の集塊が直滝の如く脳髄に降下!無機質と有機質がせめぎ合い、感覚を刺激する…
濁流の如き楽曲の移り変わりは強固に繋がれたいくつもの並行世界に枝分かれ、聴くものを異次元へと吹き飛ばす…!
生々しさに満ちたビートは肉体に訴求しその熱波は精神へと広がっていく…
複雑に絡み合い、侵しあう音々が導くものは決して仮想ではない。
全てが今ここにあるものである…


●DJ Ipetam a.k.a. Rie fukuda


JUSTICE / JUSTICE
4月20日[…]dotsmark:ドッツマークよりリリースの新譜、
ENDON那倉太一とJDOW阪本剛二郎、アート担当田巻裕一郎のユニットの初めてのアルバム。
ご存知の通りENDONはメンバーの逝去という悲劇に見舞われ、JDOWも疫病流行の為か春先にライブが一本あったきりである。どちらもライブ演奏で本領を発揮するグループであるが、ハードコアなムードのバンドには厳しい期間が続く昨今、スタジオでその溜め込んだ情念を昇華させた感がある。
メンバーにもしばらく対面していない為、ここでは私感で述べさせていただくが、鋭い轟音と全体にモヤッとした曲があるのはどんな効果を狙ったものだろうか.....常軌を逸した歪んだ音に時に地底から亡霊が彷徨いでる様に、或いは異形のクリーチャーや腐りかけたゾンビ集団が顔面に爪を立てて来る様に、那倉太一のヴォーカルが縦横無尽に狂い踊る。阪本剛二郎はギターとシンセサイザーを演奏しているが、元々彼は三味線の演奏家で伝統芸能にも秀でている。JDOWに於いては、その緊張感と絶妙な間合いでサウンドを引き締めている。このアルバムでもそれは変わりない。
激しい音に時折り哀愁が滲み、極限を見据えようとする姿にただ圧倒されるしかない。(敬称略)。


●DJ Qliphoth a.k.a. 宇田川岳夫


劇団うろのひびき 結成30周年記念本公演 仮面劇 間沙羅ヶ池伝説
作・演出 うろのひびき 出演 伊藤創 伊藤純子 2020年11月21日~23日
「劇団うろのひびき」 は横浜ボートシアター出身の楽士・俳優である伊藤創と、同じく横浜ボートシアターの女優である伊藤純子の二人からなる仮面劇団である。演者は二人で語り手であり、いくつもの仮面を使用しながら幾多の登場人物を演じ分ける。またそれぞれが楽器(三味線、尺八、竹琴、パーン、マリンバ、インディアンフルート、和太鼓など)を演奏する楽士でもあり、詩的なセリフを力強くかつ繊細に語り、躍動感あふれる身体表現で具体的かつ抽象的・象徴的に構築された舞台表現を展開する。「うろ」とは虚無かつ空洞であり何かが起こるようで何も起こっていない劇場空間の比喩である。肉声・楽器の音・肉体の躍動による振動・静寂さえもが、観客一人一人の心の空間を満たし、響き渡るとき、物語の世界で演者と観客は一体となる。神秘と幻想・怒りと沈黙・悲しみと狂気・笑いと安らぎを一切電子的な増幅を用いず生の楽器と肉声だけで表現する。舞台装置も照明は別に操作するスタッフがいるが、場面転換や大道具小道具の変化も演者自身が素早く巧みに操作していく。異なる登場人物に扮する際に使用されるハーフマスクと、船内のような狭い空間を効果的に使用するところに横浜ボートシアターの影響をうかがえる。演者の二人は70歳と65歳であるが、躍動する肉体や響き渡る肉声に年齢は感じられない。次回公演は未定であるが、公演の模様を収録したDVDが発売されているので、以下のサイトを参考にされたい。
uronohibiki.art.coocan.jp/home.top.html


●DJ Bothis a.k.a. 山田遼


Theologian - The Further I Get From Your Star, The Less Light I Feel On My Face (2010) CD Crucial Blast
1997から2009までNavicon Torture Technologies(通称NTT)名義で活動していたアメリカのアーティストLee BartowがNTT終了後に始動したノイズ・インダストリアル・ダークアンビエントプロジェクトによるファーストフルCD作品。NTT時代のポスト・パワーエレクトロニクス的なボイスは鳴りを潜め、より音そのものにこだわった質の高い音響作品をコンスタントに発表している。作品を聴いて頂ければ分かると思うのだが、NTT時代の作品群の大きなテーマが「Pain=痛み」の感覚と放散だとすると、Theologianではその痛みから逃れるために意識的な無感覚状態を作り出した上でのエレクトロニクス操作だと言えよう。特に本作の一曲目「Zero」の地響きのような漆黒の音響ノイズは、凡百の雑音とは一線を画す、必聴の名曲。

<――――――――――――――――――――――――EVENT INFORMATION――――――――――――――――――――――――――>


5月5日(木・祝) 渋谷 DJ Bar EdgeEnd


JOY OF A TOY~盤魔殿 Disque Daemonium Children's Day Special
開場・開演18時30分 1000円+1ドリンク
Live: MOGRE MOGRU 2/3(剛田武+黒い瞳) / 由良瓏砂
DJ's: DJ Qliphoth a.k.a.宇田川岳夫 / DJ SubRosa a.k.a.由良瓏砂
DJ frogfinger a.k.a.川崎レジデンツ(Special Guest)


5月5日(木・祝) 渋谷頭バー
頭バー13周年ANNIVERSARY
DJ Rie fukuda 19:40〜


5月28日(土) 阿佐ヶ谷TABASA
盤魔殿 Disque Daemonium 圓盤を廻す會 vol.40
開場・開演18時 1000円+1ドリンク
盤魔殿DJs
Special Live : MOGRE MOGRU


5月29日(日) 文学フリマ東京(東京流通センター 第一展示場)
ケロッピー前田 presents BURST 公開会議
12:00〜17:00 ※入場無料
シャノン・ララット著/前田ケロッピー亮一訳『モドゥコン・ブック(身体改造世界大会報告) 増補完全版』販売決定!


6月12日(日)  桜台POOL


【風まち月の魂ふり-密教・ノイズ・シュルレアリスム-】
▪️開場 17:30 ▪️開演 18:00 ▪️料金 一般 3000円 学生2000円
▪️予約方法  専用ウェブサイトhttps://reserva.be/poolにて
▪️出演者 ライブ:混沌の首 Erehwon
座談会:内海信彦 羅入 石川雷太 山田遼(司会・進行) 座談会テーマ「芸術家が考える生と死 -越境のための、狭間にあるものへのオルタナティブなまなざし-」


7月15日(金) 阿佐ヶ谷イエロービジョン 
Rie fukuda出演 (詳細後日)
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