A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

【書評】ドッキリ!〜日本の自主制作音楽 1976-1989 歴史と案内/加藤デイヴィッド・ホプキンス

2016年08月11日 01時25分52秒 | 書物について


Dokkiri! Japanese Indiews Music, 1976-1989 A History and Guide
Kato David Hopkins / Public Bath Press Nara, Japan

『ドッキリ!』は日本のユニークな地下音楽の世界の豊潤な歴史を紐解く。実験的ロックからサイケからパンクからノイズまで。それをデイヴィッド・ホプキンスほど素晴らしく有機的に行える者はいない。ホプキンスはシーンの始まりから立ち会った生粋の歴史家であり、今でもそこに住み誰も覚えていないストーリーを詳細に語り続けている。マニアも初心者も、ココから始めよう!
デイヴィッド・ノヴァック/『Japanoise』著者


Inu "Meshi Kuuna"


アメリカの地下音楽に居る僕自身や僕の友人たちにとって日本のアンダーグラウンド音楽は単なるエキゾチックを超えてる。まるで火星から来たみたいだ。時折僕らが手に入れる日本からのサンプルや、滅多にないコンサート体験は陶酔的だった。すべてのバンドは強烈な個性を持ち、活動的なシーンで培養され、僕らがアクセスできず知ることも出来ない彼らの伝説や外伝の中に終結するのかもしれない。僕らは作品やコンサートを前にして呆然とするしかない。僕らが聴いたバンドたちは驚異的だった。まったく異質であると同時に馴染み深く、ミュージシャンは卓越したテクニックを与えられると同時にテク放棄することを強いられる。彼らは皆、西洋のバンドが近づくことすら出来ない方法で、芸術的であると同時に非芸術的である。僕は長年彼らの物語を知りたかった。そして今『ドッキリ!』のお陰でやっと垣間みることが出来た。この本は今まで知り得なかった日本の自主音楽シーンへの認識と、実際耳に出来るサウンドや歌詞そして個性との間のギャップを埋める。日本の地下音楽の部外者(アウトサイダー)として、それを築き上げた人たちへの感謝をあたらにして、ココに書かれたことへの忠誠を誓う。
スティーヴ・アルビ二


INU - Inrohtakin


70年代後半に世界を襲ったパンク/ニューウェイヴの嵐が日本に於いて如何に摂取され、拡大解釈・曲解され、如何に多くの畸形を生み出したか。主に関西における流れを米国人社会学者が詳細に分析した自費出版本。
79年から奈良に住み、関西アンダーグラウンドを発見し、レコ―ドを集めライヴに通ううちに、自らが送り手となり89年自主レーベル「Public Bath」を立ち上げ、ボアダムス、ハナタラシ、赤痢等の作品をリリース、所謂ジャパノイズを世界に知らしめる急先鋒となった。そんな“日本文化の布教使”の信念を貫き、本書は全編英語で刊行された。
日本のアンダーグラウンド・ロック・シーンに多大な影響を与えた阿木譲の『ロック・マガジン』の根本にはカタログ好きのヲタク気質がある、と看破する筆者自身稀代のレコード&資料収集家であり、掲載された自主盤コレクションは写真を見るだけでも楽しい。
ボケと突っ込みと関西NO WAVE、校内暴力と竹の子族とハードコア・パンクを結びつける視点は外国人によるユニークな日本観が伺えて興味深い。
自ら渦中にいた関西シーンに比べ、“ルーツを持たない街”と呼ぶ東京に関する記述は、若干物足りなくもないが(元々関西オンリーの本にする予定だったという)、そこは後進の登場を待ちたい。
剛田武/『地下音楽への招待』著者


ULTRA BIDE - '1979!' - from 'Dokkiri Record' comp LP 1980


西洋と東洋
関西と関東
大阪と東京

パンクは果たしてハードコアを目指す。
70年代半ばにニューヨークのボヘミアン文化の中で生まれ、76年にロンドンへ飛び火しロック界の一大ムーヴメントとなったパンク/ニューウェイヴは、当時、巨大になり若者からかい離していたロック(オールドウェイヴ)へ反発であり拒絶であると言われた。しかしロックが生まれたのは50年代であり、パンク革命まで25年しか経っていなかったことを考えると、パンク誕生から40年経った現在までにロックやパンクがどこまで変化したか?その答えはそこに或る。

ハードコア不法集会 Hardcore Unlawful Assembly (1984)
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