この日はヨーマ・コーコネンの9:30PMからライヴを予約したので時間が空いてしまったな、と思っていたところに面白いライヴがあるから来ないか、とのお誘い。YOHIOというスウェーデン人のヴィジュアル系アーティストだという。昼に食堂で「いいとも」を観ていたらエンディングにその子が登場。確かにヴィジュアル系っていうか女の子じゃないの?と思ったが紛れも無い少年でしかも日本語ペラペラだという。これは観るしかないと関係者&招待者限定のプレミアムなイベントにお邪魔してきた。
YOHIOはスウェーデンの音楽一家生まれ。Gacktや西川貴教(TM Revolution)など日本のヴィジュアル系バンドの影響で10歳からギターを始め、14歳でSeremedyというバンドを結成。ヨーロッパ各地でのライヴが話題となり2011年にCDデビュー。10月には日本のV系フェスティバルのゲストとして来日、単独ツアーも行い日本の雑誌にも取り上げられた。YOHIOがリード・ヴォーカルを取った曲が話題になり、今年4月にソロ・デビューが決定。現在プロモーション来日中で、今回のショーケースはビデオ撮影を兼ねたライヴだった。音楽学校ESPアカデミーの立派なホールは招待客のV系ファンの女の子と業界人の男性が混ざって満員。3曲日本人のバンドをバックに熱唱、後半は2曲カラオケで歌とギターを披露した。驚くのは日本語の上手さ。学校で習ったというが、日本人と言っても誰もが信じるだろう。途中のインタビューの受け答えも質問は通訳を介するが応えは本人が日本語で。少し舌足らずではにかんだ様子が16歳の少年らしくていい。なんだかBO NINGENに似た逆輸入パターンを思わせるが、YOHIOはれっきとした外国人。しかし写真通りデビュー時のSHAZNAを彷彿させるスウェーデン人の美少年が日本語で歌い華麗なギター・プレイを見せるとは…...絶句。
1960年代ウォーカー・ブラザーズが来日し学生服を見事に着こなした姿を見てGSがいきなりダサく見え始めた、とファッション・ライターの川本恵子さんが書いていたが、それと同じことが日本のVシーンにも起るだろうか?要注目の存在である。YOHIO君の日本語アメブロも面白いのでぜひご一読を。
さて華やかなヴィジュアル系ピチピチ美少年から、いぶし銀の激渋のオヤジ・ロックの待つ六本木へ移動。ヨーマ・コーコネンは1960年代アメリカン・サイケデリック・ロックの中でも私の最愛のバンド、ジェファーソン・エアプレインのギタリストとして活躍、70年代には同じくエアプレインのベーシスト、ジャック・キャサディとブルース・ロック・バンド、ホット・ツナを結成。平行してソロでも活動。アメリカのルーツ・ロック界を代表するギタリスト/シンガーである。現在71歳。なんとYOHIO君の4倍以上の歳である。今回はホット・ツナのメンバーでもあるマンドリンのバリー・ミッターホフとのデュオでの来日。客席は往年のファンと思われる年配のサラリーマン&ちょい悪オヤジ風の男性ばかり。ちょうど昨年のジョニー・ウィンターのファン層と重なる。アコギとマンドリンのシンプルな演奏は年輪を重ねた者にしか出せない芳醇なウイスキーのような味わいに満ちており、ガキには百年早いわ、と宣言したくなる程の素晴らしさ。曲は古いブルースをベースにした似たような調子が多いのだが、生きた伝説(Living Legend)がすぐ目の前で演奏しているというだけで満ち足りた気持ちになる。
終演後ツアマネ氏に頼んでCDジャケットにサインを貰った。これは家宝ものだね!
ヴィジュアル系
元祖アシッド系
共に楽しむ冬の夜
共通点はギタリスト&シンガーということだけだが、伝統と革新を両方体験出来た貴重な夜だった。