佐世保出身の3ピース・バンド、嘘つきバービーの名前はいろんなところで見聞きしていたが、実際に音を聴いたりライヴを観たりする機会はなかった。1ヶ月ほど前CDレンタル・ショップでたまたまメジャー・デビュー作「ニニニニ」を手にして不思議なアートワークと曲名に惹かれて借りてきて一発でノックアウトされた次第。YouTubeで動画をチェックしてみるとおかっぱ頭の妖怪じみたベース&ヴォーカリスト、椅子に座って悶えるギタリスト、腰までの長髪で叩きまくるドラマーと3人のキャラが立っていてとてもユニーク。6月にワンマン・ライヴがあることを知り即座にセヴンイレヴンへ走りチケットを入手した。
2002年に結成された彼らは2006年にタワーレコード限定ミニ・アルバムでデビューを飾り、インディーで1枚のアルバムと数枚のミニ・アルバム/シングルをリリースしている。そのどれもが妙にシュールなヘタウマ・アートワークで飾られており、独特の世界観が貫かれている。PVも以前紹介した「ねこ子」をはじめとして一筋縄では行かない奇妙な感性が溢れており何度観ても見飽きない。
「不定期大発表会」と題されたワンマン公演は男女半々くらい、20代中心の若い観客で賑わっている。女性はおかっぱ率が高い。一癖ありそうなサブカル系のファン層である。若い元気な客に揉みくちゃにされるのを恐れて後ろの方に落ち着く。開演前のSEは童謡やアニメ主題歌。独特の雰囲気が醸し出される。開演時間になり暗転するとステージには子供の人形が座っていて、前説を行う。この人形は「不不不」というファンにはお馴染みのキャラクターらしい。そして3人が登場。ベースの岩下氏は金髪だ。ギターの千布氏はPV通りジャズマスターを手に椅子に座る。一曲目から変態的なビートを打ち出したバービー節全開だ。「ニニニニ」収録以外の曲は聴いたことがないのだが、ノリがとても良く楽しめる。激しい曲では客席前の方はモッシュの嵐だ。岩下氏のとぼけた歌と3人が爆発するインスト・パートの対比が面白い。アンコールではミッシェルガン・エレファントの「リボルバー・ジャンキーズ」をコクヨの学習ノート(笑)に書いた歌詞を見ながら演奏、さらにゆらゆら帝国の「グレープフルーツちょうだい」をカヴァー。彼らのルーツが伺える選曲だった。新人とはいえない彼らだが、これからのロックの可能性を感じさせる希望に満ちたライヴだった。
嘘つきバービーHP
嘘つきの
バービーちゃんは
面白い
Wikipediaで調べたら嘘つきバービーのジャンルは「童謡ロック」となっていた。納得。