<RCO Live>
RCO 06001(SACD-Hybrid) 2枚組 \2500
マーラー:交響曲第6番イ短調「悲劇的」
ヘンツェ:夢みるセバスチャン(2003/04・世界初録音)
マリス・ヤンソンス(指)ロイヤル・コンセルトヘボウO.
録音:・2005年9月7 & 8日・2005年12月22日
アムステルダム、コンセルトヘボウ(ライヴ)
いま人気実力ともに絶頂のマエストロ、マリス・ヤンソンス。手兵コンセルト
へボウ管(RCO)との最新アルバムは、2005-6年シーズンのオープニングを飾っ
たプログラムであり、彼にとってロン響とのライヴ(2002年)以来の再録音と
なるマーラー「悲劇的」。
1903年に作曲者自身の指揮で第3交響曲を演奏したことにさかのぼる、RCOとマ
ーラーとの深いゆかり。この伝統はメンゲルベルク、ベイヌムと途切れること
なく培われ、ハイティンクやシャイーが全集を完成させているように、マーラ
ーはすっかり当オケの看板レパートリーとなっています。こうしたオケの背景
を踏まえての新たなるヤンソンスの「悲劇的」。2005年前半を通じてルツェル
ン、ザルツブルク、ベルリンそしてプロムスと、本拠地でのライヴ録音に先立
って行われ、大成功を収めた同一演目によるヨーロッパ・コンサート・ツアー
を終えたのちに臨んだもので、まさに集大成、万全の出来栄えといって差し支
えないでしょう。
ロン響の時と同じく第2楽章に置いたアンダンテ。ビロードに喩えられる弦が
しびれるように酔わせ、うねるように楽想が紡がれてゆきます。そしてカウベ
ルが高らかに鳴るヤマ場、なんという輝かしく豊かな響き!オケの煌きも最高
潮を迎えます。さらにこことは劇的なコントラストを形づくる両端楽章の緊張
感と迫力も圧倒的。ただ、それでも独特のエレガントな美しさは決して失われ
ないところがRCOの何よりの魅力でしょう。指揮する音楽すべてにいつもドキ
ドキするようなスリリングな感覚を追い求めてやまないヤンソンスが、RCOの
マーラー演奏史に新たな1ページを刻んだ記念すべきアルバムです。
カップリング「夢みるセバスチャン」は、べイヌム財団、チューリヒ・トーン
ハレ管、ニューヨーク・フィルそしてRCOとによる共同委嘱作品で、昨年12月
世界初演時の録音になります。演奏時間15分ほどのヘンツェの新作は、初期作
品「アポロとヒュアキントゥス」(1948/49)からほぼ半世紀を経て、ザルツ
ブルクの表現主義詩人ゲオルグ・トラクルの芸術に立ち返り、その同名の詩に
もとづいて書かれたもの。
作曲者によれば、「2003年に滞在したザルツブルク周辺の田園の、また子供時
代の空想や霊安室の、それは衰え・人生の秋の夢想・神のお迎え・夕闇といっ
た《夜》のイメージを扱ったメランコリックな内容」。やはり死を強く感じさ
せるマーラー風のメロディが時おり突然聞こえたりするのも、死のムードが充
満する詩作にインスパイアされた楽曲だからこその不思議な符合なのかも知れ
ません。豊潤な響きを誇るオケを率いるヤンソンスの指揮も素晴らしく、ヘン
ツェ特有の多彩で官能的な音の世界に誘ってくれます。2006年夏のさまざまな
音楽祭で、初演者の当コンビによって再演されることが決まっています。
<HOMA DREAM>
HR 1112 \2730
妖精のロンド
1.ベートーヴェン+カルッリ( op.169):魔笛の主題による変奏曲
2.ディアベッリ: 4つのロンディーノop.140**
3.モリーノ:ノットルノop.57
4.ハイドン:ソナタ・ホ短調Hob. XVI/34*
5.カルッリ:デュオop.151
6.カルッリ親子:デュオ・ノットルノop.189-1**
7.ジュリアーニ:2つのロンドop.68、
8.ソル:レオノールのアリア
デュオ・シルフィード(下森佳津美Pf&竹内永和Gt)*ピアノ・ソロ,**
世界初録音
デュオ・シルフィードの2枚目のアルバムは、19世紀ウィーンやパリの香りた
だよう古典派の作品集になりました。モーツァルトやロッシーニなどのオペラ
のアリアによる変奏曲から、華麗なロンドまで。 ピアノとギターのデュオの
ために書かれた魅力的な作品がいっぱいです。 社交界のサロンで、或いは家
庭で盛んに演奏されたこれらの作品の美しさ、親しみ易さを、今回のアルバム
を通してぜひ多くの方に知っていただきたいと願っています。
ピアノとギターの心地よい対話、妖精の舞を思わせる軽やかなリズムとハーモ
ニー、そしてヴィルトゥオーゾの時代ならではの華やかな技巧と優雅な雰囲気
を存分にお楽しみ下さい。
HR 1109 \2730
1.ポンセ:3つのメキシコ民謡
2.ブローウェル:2つのキューバの旋律
3.高原の踊り
4.横尾幸弘:さくら変奏曲
5.中田 章-武満 徹:早春賦
6.アイルランド民謡-武満徹:ロンドンデリーの歌
7.スコットランド民謡-カッティング:グリーンスリーブス
8.リョベート:13のカタルーニャ民謡
角 圭司(Gt)
活動の場を米国から日本に移した角圭司の初のソロ・アルバム。1997年にスペ
イン音楽ギターコンクールに優勝し、1999年には渡米し、ピーボディ音楽院で
バルエコに師事。卒業後はソロ、妹・昌子とのデュオ、アウロラ・ギター四重
奏団と米国、中南米で活躍していた。今回のアルバムは、日本で、そして米国
で出会った人々に捧げる、民謡ばかりを集めた、優しさ溢れるものとなって
いる。
<naive>
V 4991 2枚組 \2850
バルトーク(1881-1945):
【CD1】
ヴァイオリン協奏曲第2番
コントラスト(ヴァイオリン、クラリネットとピアノのための)
【CD2】
無伴奏ヴァイオリン・ソナタ
ヴァイオリン・ソナタ第1番
ローラン・コルシア(Vn)ミシェル・ポルタル(Cl)
ジャン=エフラム・バウゼ(Pf)
サカリ・オラモ(指)バーミンガム市交響楽団
イケメンヴァイオリニスト、ローラン・コルシアのnaive第2弾の登場です。エ
ネルギーに満ち溢れたヴァイオリン協奏曲第2番、オケとの息もぴったり、音色
も変幻自在、縦横無尽に駆け巡ります。第1楽章の展開部のオケとのかけあいは、
迫力満点、一糸乱れぬタイミングで聴くものにたたみかけるような演奏で、説
得力十分です。コントラストのどことなく土臭い雰囲気も、コルシアにかかれ
ば実に見事に現代風にアレンジされています。ヴァイオリン・ソナタのバウゼ
のピアノも形式を十分に理解したうえでの名サポートです。
<claves>
50-2511 \2080
J.S.バッハ:
オブリガート・チェンバロとフルートのためのソナタ イ長調 BWV 1032
フルートと通奏低音のためのソナタ ホ短調 BWV 1034
無伴奏フルート・ソナタ イ短調 BWV 1013
フルートと通奏低音のためのソナタ ホ長調 BWV 1035
オブリガート・チェンバロとフルートのためのソナタ ロ短調 BWV 1030
ペーター・ルーカス・グラフ(Fl)、アライア・グラフ(Pf)
グラフ親娘によるバッハの名演集です。父のあたたかみのある音色のフルート、
それをささえるピアノ、どちらもかちっとしたもの。無伴奏フルート・ソナタ
も、アーティキュレーションをきちんとまもった演奏に、好感がもてます。
<Talent>
DOM 2910507 \2080
ラフマニノフ:ヴォカリーズop.34-14
コレッリ:テンポ・ディ・ガヴォッタ
ヴィエニャフスキ:伝説曲op.17
パラディース:シチリアーナ
サラサーテ:サパテアードop.23-2
ラフ:カヴァティーナop.85-3
グルック:ガヴォット-「タウリスのイフィゲネイア」より
ヴュータン:夢想op.22-2
フォーレ:アンダンテ 変ロ長調op.75
ラモス:ガト(アルゼンチン・ダンス)
ローラ・ボベスコ(Vn)、セルジュ・ブマン(P)
6歳からリサイタル活動を始め、12歳でパリ音楽院を首席で卒業し、1930年代か
ら2003年に惜しくも亡くなるまで長期間にわたり世界的に活躍してきた女流ヴァ
イオリニスト、ボベスコによるヴァイオリン名曲集です。古典派やラテン系の
レパートリーを得意としていた彼女にぴったりの選曲ということもあり、確か
なテクニックと明るいトーン、慎ましくも優美な表現が最大の魅力です。10曲
目の「ガト」珍しい作品と言えますが、オリジナルのピアノ曲をボベスコのた
めに作曲家自らヴァイオリンピースに仕立てた心躍る民謡風の佳曲です。
DOM 292970(SACD-Hybrid) \2080
トッホ:ピアノ協奏曲第2番op.38、ピアノ五重奏曲
ディアーネ・アンダーセン(P)、
ハンス・ロトマン(指)
ハレフィルハーモニック国立オーケストラ、ダネル四重奏団
ここに収められているのはモダンで明確なメロディラインを持つ素晴らしいピ
アノコンチェルトと、新古典派的な作風のピアノ五重奏曲です。作風としては
プロコフィエフやプーランクなどと同じ文脈にありますが、2曲とも20世紀が生
んだこのジャンルの曲のなかでも特筆したくなる素晴らしい完成度です。エル
ンスト・トッホ(1987-1964)はオーストリアに生まれましたが、ユダヤ系で
あったためにナチス・ドイツの迫害を避けパリを経てアメリカに渡り、クラシ
ック作曲家としてはもちろん、映画音楽や教育でも活躍しました。晩年、グラ
ミー賞を受賞した際に自分自身について「20世紀のもっとも世界から忘れられ
た作曲家」と語ったということですが、忘れ去るにはあまりにも惜しい、とい
うよりもっと積極的にとり上げられるべき素晴らしいメロディ・メーカーです。
このCDでは作曲者への共感に満ちた演奏と、最新の録音も魅力です。
DOM 381004/05 2枚組 \4160
ドビュッシー/ブルウェイズ編:
前奏曲集第1集、第2集(管弦楽のための編曲版)
ダニエレ・カレッガーリ(指)、王立フランドル・フィルハーモニック
「亜麻色の髪の乙女」などでおなじみのピアノ連作小品集をオーケストラで演
奏した興味津々のCDです。1959年生まれのベルギーの作曲家ルク・ブルウェイ
ズは編曲に当たり「ドビュッシーの音符に手をつけず、オリジナルスコアに忠
実」であることを心がけたということですが、たとえば「沈める寺」の静寂に
こめられた豊かな表現がオーケストラの力で解き明かされているように、結果
としてピアノが無音で表現していた響きを管弦楽で巧みに現実の音として具体
化することに成功しています。「ドビュッシーが自ら編曲したらきっと別の結
果になっていただろう」と編曲者は語っていますが、もしもラヴェルが編曲し
たなら、きっとこんな感じになったのではないでしょうか。
DOM 291071 \2080
オ・ベアータ・マーテル-祝福された聖処女マリアを讃える歌
デ・ベック:オ・ベアータ・マーテル
トーマス:ピエ・イエズ
ビゼー:アヴェ・マリア
グノー:マリアの名
ショーソン:何と汝は麗わし
マスネ:天使の糧
ブノワ:アヴェ・マリア
シューマン:アヴェ・マリア
E.アンドリュー:愛の天使
モルテルマンス:ヴィルーク
ドニゼッティ:アヴェ・マリア
レーガー:マリアの子守唄
フランク:アヴェ・マリア
バッハ/グノー:アヴェ・マリア
J-P.フォーレ:慈愛
ローランド・ファン・デア・パール(Sop)、
フランス・デュボワ指揮ヴラームス(VLAAMS)ラジオ合唱団、
ナガタ・クニコ(Vn)、ヤン・ファン・モル(Org)、他
ソプラノ独唱によるフランスとベルギーの歴代作曲家たちによるマリア賛歌集。
独唱を務めているファン・デア・パールはベルギーのソプラノで、夜の女王や
ヴィオレッタなどオペラのオーソドックスなレパートリーで活躍しているほか、
歌曲や現代作品も積極的に取り上げています。抒情的ななかにも芯の強さを感
じさせるその声は名ソプラノ、マリア・カラスを彷彿とさせるもので、敬虔な
宗教曲を歌っているときにも奥に秘められた熱い情熱が仄かに伺えます。表現
力に富んだ素晴らしい声と、美しい楽曲の魅力という二つの面から楽しめるア
ルバムです。
<CALLIOPE>
CAL 9350 \1850
モーツァルト:
協奏交響曲K.364
二重奏曲第1番ト長調K.423
二重奏曲第2番変ロ長調K.424
レフ・クリシュコフ(Vn)、ヴラディミール・ストピシェフ(Va)
エマニュエル・ルドゥック=バローメ(指)バルティック室内管弦楽団
協奏交響曲は、バルティック室内管弦楽団のアカデミックな響きが印象的です。
二重奏曲は、クリシュコフとストピシェフの息もぴったりと合っていて、包み
込むようなあたたかい音色で心がときほぐされるような演奏です。
CAL 9333 \1850
ヤナーチェク:弦楽四重奏曲第1番、弦楽四重奏曲第2番
シュールホフ:弦楽四重奏曲第1番
ターリヒ弦楽四重奏団
ヤナーチェクの弦楽四重奏曲集。第1番の白熱した演奏に心うたれます。シュー
ルホフの弦楽四重奏曲も、冒頭からかっこよさ満点、シュールホフ独特の現代
味と民族的な味が融けあった世界を満喫できます。
CAL 9344 \1850
どんちゃん騒ぎ-The feast of fools
アンサンブル・ヴォーカル・エ・インストゥルメンタル
エマニュエル・ボナルド(指)
タンバリンのリズムにのって、フィドルがなんとも華やかなメロディーをかな
でる、賑々しい中世のお祭の音楽集です。
CAL 9345 \1850
アヴェ・マリア-心洗われる合唱作品集
カリオペ女声合唱団、レジーヌ・テオドレスコ(指)
カリオペ女声合唱団の魅力がたっぷりとつまった合唱作品集CDです。
<Ondine>
ODE 1066 2枚組 \4160
アウリス・サッリネン(1935-):
オペラ 〈英国王はフランスへ行く〉 作品53 (1983) (全曲)
トンミ・ハカラ(バリトン、皇太子) ユルキ・コルホネン(バス、首相)
リーカ・ランタネン(ソプラノ、楽しいカロライン)
リッリ・パーシキヴィ(メッツォソプラノ、ふさふさ髪のカロライン)
マリ・パロ(ソプラノ、泥棒するアン)
ラウラ・ニュカネン(アルト、服を脱ぐアン)
ユルキ・アンティラ(テノール、案内人)
ヘルマン・ヴァッレーン(バリトン、弓の射手)
キルシ・トゥム(ソプラノ、女王)
サンテリ・キンヌネン(台詞、フロワサール)
フィンランド・フィルハーモニック合唱団
オッコ・カム(指),タピオラ室内合唱団,
ヘルシンキ・フィルハーモニック管弦楽団
録音:2005年4月 フィンランディアホール (ヘルシンキ)
新たな氷河期がやってくる。英国王への即位が決まった皇太子は、首相の進言
を入れ、4人の后候補を伴い、軍隊を率いて、氷結したイギリス海峡をフランス
に渡る。クレシーの戦い、カレーの包囲。皇太子は600年前、エドワード黒太子
がフランス軍を破った百年戦争の世界に...。アウリス・サッリネン(1935-) の
3作目のオペラ〈英国王はフランスへ行く〉は、パーヴォ・ハーヴィッコの同
名の放送劇に基づき、作者自身が台本を執筆。《来るべき氷河期のミュージッ
クシアターのための年代記》の副題がつけられました。フィンランドのサヴォ
ンリンナ・オペラフェスティヴァル、コヴェントガーデン王立オペラ、BBCの
共同委嘱。オッコ・カム (1946-) が初演の指揮を執りました。時空を超える
ファンタジー、劇的な展開、多彩な管弦楽、美しい旋律。コミックオペラへの
オマージュ。サッリネンのカンタータ〈生と死の歌〉やTV映画「カレヴァラ」
の音楽による〈鉄の時代〉組曲 (ともに ODE844) を想わせるページ。20世紀
フィンランドを代表するオペラのひとつに挙げられています。2005年春の公演
に合わせて行われた録音。制作が進んでいる映画のサウンドトラックにも使わ
れます。全3幕。フィンランド語・英語対訳台本つき。この音楽はカンタータと
しても楽しむことができそうです。
ODE 1071 \2080
イーロ・ランタラ (1970-):
ピアノ協奏曲 G#majAs (ヤーコ・クーシスト、オーケストレーション)
アストラーレ(ピアノソロのための)
タンゴネイター(ヴァイオリンとピアノのための)
ファイナル・ファンタジー(ピアノと管弦楽のための)
(ヤーコ・クーシスト、オーケストレーション)
イーロ・ランタ(P) ヤーコ・クーシスト(Vn、指)
タピオラ・シンフォニエッタ
録音:2005年5月 タピオラホール (エスポー)
フィンランドで国際的にもっとも名前を知られたジャズグループ、トリオ・ト
ユケアットのピアニスト、イーロ・ランタラ (1970-)。そのランタラが書いた
ピアノ協奏曲はチューニングから始まります。ピアノの即興演奏も織り込んだ
第1楽章。ゆったりと美しい第2楽章。2つのテーマによるロンド風の第3楽章。
モーツァルト時代の協奏曲に則った構成をとっています。ランタラのアイデア
を基にオーケストレーションを行ったのはラハティ交響楽団のコンサートマス
ター、ヤーコ・クーシスト (1974-)。指揮者、作曲家としての活動も目立つよ
うになりました。ヤーコはイーロ・ランタラの義理の弟。トリオ・トユケアッ
トのコンサートにもたびたび参加しています。イーロとヤーコの話では、この
協奏曲はすでにフィンランドで10回ほど演奏され、聴衆から暖かく迎えられた
とのこと。フィンランドの人たちのオープンで自由な精神をうかがい知ること
ができます。〈アストラーレ〉と〈タンゴネイター〉は、自らのアンサンブル、
タンゴ・キングズのために書かれた曲。トリオ・トユケアットのための〈ファ
イナル・ファンタジー〉もヤーコが編曲しています。この楽しさ! これこそ、
“joie de vivre (生きる歓び)” です。
RCO 06001(SACD-Hybrid) 2枚組 \2500
マーラー:交響曲第6番イ短調「悲劇的」
ヘンツェ:夢みるセバスチャン(2003/04・世界初録音)
マリス・ヤンソンス(指)ロイヤル・コンセルトヘボウO.
録音:・2005年9月7 & 8日・2005年12月22日
アムステルダム、コンセルトヘボウ(ライヴ)
いま人気実力ともに絶頂のマエストロ、マリス・ヤンソンス。手兵コンセルト
へボウ管(RCO)との最新アルバムは、2005-6年シーズンのオープニングを飾っ
たプログラムであり、彼にとってロン響とのライヴ(2002年)以来の再録音と
なるマーラー「悲劇的」。
1903年に作曲者自身の指揮で第3交響曲を演奏したことにさかのぼる、RCOとマ
ーラーとの深いゆかり。この伝統はメンゲルベルク、ベイヌムと途切れること
なく培われ、ハイティンクやシャイーが全集を完成させているように、マーラ
ーはすっかり当オケの看板レパートリーとなっています。こうしたオケの背景
を踏まえての新たなるヤンソンスの「悲劇的」。2005年前半を通じてルツェル
ン、ザルツブルク、ベルリンそしてプロムスと、本拠地でのライヴ録音に先立
って行われ、大成功を収めた同一演目によるヨーロッパ・コンサート・ツアー
を終えたのちに臨んだもので、まさに集大成、万全の出来栄えといって差し支
えないでしょう。
ロン響の時と同じく第2楽章に置いたアンダンテ。ビロードに喩えられる弦が
しびれるように酔わせ、うねるように楽想が紡がれてゆきます。そしてカウベ
ルが高らかに鳴るヤマ場、なんという輝かしく豊かな響き!オケの煌きも最高
潮を迎えます。さらにこことは劇的なコントラストを形づくる両端楽章の緊張
感と迫力も圧倒的。ただ、それでも独特のエレガントな美しさは決して失われ
ないところがRCOの何よりの魅力でしょう。指揮する音楽すべてにいつもドキ
ドキするようなスリリングな感覚を追い求めてやまないヤンソンスが、RCOの
マーラー演奏史に新たな1ページを刻んだ記念すべきアルバムです。
カップリング「夢みるセバスチャン」は、べイヌム財団、チューリヒ・トーン
ハレ管、ニューヨーク・フィルそしてRCOとによる共同委嘱作品で、昨年12月
世界初演時の録音になります。演奏時間15分ほどのヘンツェの新作は、初期作
品「アポロとヒュアキントゥス」(1948/49)からほぼ半世紀を経て、ザルツ
ブルクの表現主義詩人ゲオルグ・トラクルの芸術に立ち返り、その同名の詩に
もとづいて書かれたもの。
作曲者によれば、「2003年に滞在したザルツブルク周辺の田園の、また子供時
代の空想や霊安室の、それは衰え・人生の秋の夢想・神のお迎え・夕闇といっ
た《夜》のイメージを扱ったメランコリックな内容」。やはり死を強く感じさ
せるマーラー風のメロディが時おり突然聞こえたりするのも、死のムードが充
満する詩作にインスパイアされた楽曲だからこその不思議な符合なのかも知れ
ません。豊潤な響きを誇るオケを率いるヤンソンスの指揮も素晴らしく、ヘン
ツェ特有の多彩で官能的な音の世界に誘ってくれます。2006年夏のさまざまな
音楽祭で、初演者の当コンビによって再演されることが決まっています。
<HOMA DREAM>
HR 1112 \2730
妖精のロンド
1.ベートーヴェン+カルッリ( op.169):魔笛の主題による変奏曲
2.ディアベッリ: 4つのロンディーノop.140**
3.モリーノ:ノットルノop.57
4.ハイドン:ソナタ・ホ短調Hob. XVI/34*
5.カルッリ:デュオop.151
6.カルッリ親子:デュオ・ノットルノop.189-1**
7.ジュリアーニ:2つのロンドop.68、
8.ソル:レオノールのアリア
デュオ・シルフィード(下森佳津美Pf&竹内永和Gt)*ピアノ・ソロ,**
世界初録音
デュオ・シルフィードの2枚目のアルバムは、19世紀ウィーンやパリの香りた
だよう古典派の作品集になりました。モーツァルトやロッシーニなどのオペラ
のアリアによる変奏曲から、華麗なロンドまで。 ピアノとギターのデュオの
ために書かれた魅力的な作品がいっぱいです。 社交界のサロンで、或いは家
庭で盛んに演奏されたこれらの作品の美しさ、親しみ易さを、今回のアルバム
を通してぜひ多くの方に知っていただきたいと願っています。
ピアノとギターの心地よい対話、妖精の舞を思わせる軽やかなリズムとハーモ
ニー、そしてヴィルトゥオーゾの時代ならではの華やかな技巧と優雅な雰囲気
を存分にお楽しみ下さい。
HR 1109 \2730
1.ポンセ:3つのメキシコ民謡
2.ブローウェル:2つのキューバの旋律
3.高原の踊り
4.横尾幸弘:さくら変奏曲
5.中田 章-武満 徹:早春賦
6.アイルランド民謡-武満徹:ロンドンデリーの歌
7.スコットランド民謡-カッティング:グリーンスリーブス
8.リョベート:13のカタルーニャ民謡
角 圭司(Gt)
活動の場を米国から日本に移した角圭司の初のソロ・アルバム。1997年にスペ
イン音楽ギターコンクールに優勝し、1999年には渡米し、ピーボディ音楽院で
バルエコに師事。卒業後はソロ、妹・昌子とのデュオ、アウロラ・ギター四重
奏団と米国、中南米で活躍していた。今回のアルバムは、日本で、そして米国
で出会った人々に捧げる、民謡ばかりを集めた、優しさ溢れるものとなって
いる。
<naive>
V 4991 2枚組 \2850
バルトーク(1881-1945):
【CD1】
ヴァイオリン協奏曲第2番
コントラスト(ヴァイオリン、クラリネットとピアノのための)
【CD2】
無伴奏ヴァイオリン・ソナタ
ヴァイオリン・ソナタ第1番
ローラン・コルシア(Vn)ミシェル・ポルタル(Cl)
ジャン=エフラム・バウゼ(Pf)
サカリ・オラモ(指)バーミンガム市交響楽団
イケメンヴァイオリニスト、ローラン・コルシアのnaive第2弾の登場です。エ
ネルギーに満ち溢れたヴァイオリン協奏曲第2番、オケとの息もぴったり、音色
も変幻自在、縦横無尽に駆け巡ります。第1楽章の展開部のオケとのかけあいは、
迫力満点、一糸乱れぬタイミングで聴くものにたたみかけるような演奏で、説
得力十分です。コントラストのどことなく土臭い雰囲気も、コルシアにかかれ
ば実に見事に現代風にアレンジされています。ヴァイオリン・ソナタのバウゼ
のピアノも形式を十分に理解したうえでの名サポートです。
<claves>
50-2511 \2080
J.S.バッハ:
オブリガート・チェンバロとフルートのためのソナタ イ長調 BWV 1032
フルートと通奏低音のためのソナタ ホ短調 BWV 1034
無伴奏フルート・ソナタ イ短調 BWV 1013
フルートと通奏低音のためのソナタ ホ長調 BWV 1035
オブリガート・チェンバロとフルートのためのソナタ ロ短調 BWV 1030
ペーター・ルーカス・グラフ(Fl)、アライア・グラフ(Pf)
グラフ親娘によるバッハの名演集です。父のあたたかみのある音色のフルート、
それをささえるピアノ、どちらもかちっとしたもの。無伴奏フルート・ソナタ
も、アーティキュレーションをきちんとまもった演奏に、好感がもてます。
<Talent>
DOM 2910507 \2080
ラフマニノフ:ヴォカリーズop.34-14
コレッリ:テンポ・ディ・ガヴォッタ
ヴィエニャフスキ:伝説曲op.17
パラディース:シチリアーナ
サラサーテ:サパテアードop.23-2
ラフ:カヴァティーナop.85-3
グルック:ガヴォット-「タウリスのイフィゲネイア」より
ヴュータン:夢想op.22-2
フォーレ:アンダンテ 変ロ長調op.75
ラモス:ガト(アルゼンチン・ダンス)
ローラ・ボベスコ(Vn)、セルジュ・ブマン(P)
6歳からリサイタル活動を始め、12歳でパリ音楽院を首席で卒業し、1930年代か
ら2003年に惜しくも亡くなるまで長期間にわたり世界的に活躍してきた女流ヴァ
イオリニスト、ボベスコによるヴァイオリン名曲集です。古典派やラテン系の
レパートリーを得意としていた彼女にぴったりの選曲ということもあり、確か
なテクニックと明るいトーン、慎ましくも優美な表現が最大の魅力です。10曲
目の「ガト」珍しい作品と言えますが、オリジナルのピアノ曲をボベスコのた
めに作曲家自らヴァイオリンピースに仕立てた心躍る民謡風の佳曲です。
DOM 292970(SACD-Hybrid) \2080
トッホ:ピアノ協奏曲第2番op.38、ピアノ五重奏曲
ディアーネ・アンダーセン(P)、
ハンス・ロトマン(指)
ハレフィルハーモニック国立オーケストラ、ダネル四重奏団
ここに収められているのはモダンで明確なメロディラインを持つ素晴らしいピ
アノコンチェルトと、新古典派的な作風のピアノ五重奏曲です。作風としては
プロコフィエフやプーランクなどと同じ文脈にありますが、2曲とも20世紀が生
んだこのジャンルの曲のなかでも特筆したくなる素晴らしい完成度です。エル
ンスト・トッホ(1987-1964)はオーストリアに生まれましたが、ユダヤ系で
あったためにナチス・ドイツの迫害を避けパリを経てアメリカに渡り、クラシ
ック作曲家としてはもちろん、映画音楽や教育でも活躍しました。晩年、グラ
ミー賞を受賞した際に自分自身について「20世紀のもっとも世界から忘れられ
た作曲家」と語ったということですが、忘れ去るにはあまりにも惜しい、とい
うよりもっと積極的にとり上げられるべき素晴らしいメロディ・メーカーです。
このCDでは作曲者への共感に満ちた演奏と、最新の録音も魅力です。
DOM 381004/05 2枚組 \4160
ドビュッシー/ブルウェイズ編:
前奏曲集第1集、第2集(管弦楽のための編曲版)
ダニエレ・カレッガーリ(指)、王立フランドル・フィルハーモニック
「亜麻色の髪の乙女」などでおなじみのピアノ連作小品集をオーケストラで演
奏した興味津々のCDです。1959年生まれのベルギーの作曲家ルク・ブルウェイ
ズは編曲に当たり「ドビュッシーの音符に手をつけず、オリジナルスコアに忠
実」であることを心がけたということですが、たとえば「沈める寺」の静寂に
こめられた豊かな表現がオーケストラの力で解き明かされているように、結果
としてピアノが無音で表現していた響きを管弦楽で巧みに現実の音として具体
化することに成功しています。「ドビュッシーが自ら編曲したらきっと別の結
果になっていただろう」と編曲者は語っていますが、もしもラヴェルが編曲し
たなら、きっとこんな感じになったのではないでしょうか。
DOM 291071 \2080
オ・ベアータ・マーテル-祝福された聖処女マリアを讃える歌
デ・ベック:オ・ベアータ・マーテル
トーマス:ピエ・イエズ
ビゼー:アヴェ・マリア
グノー:マリアの名
ショーソン:何と汝は麗わし
マスネ:天使の糧
ブノワ:アヴェ・マリア
シューマン:アヴェ・マリア
E.アンドリュー:愛の天使
モルテルマンス:ヴィルーク
ドニゼッティ:アヴェ・マリア
レーガー:マリアの子守唄
フランク:アヴェ・マリア
バッハ/グノー:アヴェ・マリア
J-P.フォーレ:慈愛
ローランド・ファン・デア・パール(Sop)、
フランス・デュボワ指揮ヴラームス(VLAAMS)ラジオ合唱団、
ナガタ・クニコ(Vn)、ヤン・ファン・モル(Org)、他
ソプラノ独唱によるフランスとベルギーの歴代作曲家たちによるマリア賛歌集。
独唱を務めているファン・デア・パールはベルギーのソプラノで、夜の女王や
ヴィオレッタなどオペラのオーソドックスなレパートリーで活躍しているほか、
歌曲や現代作品も積極的に取り上げています。抒情的ななかにも芯の強さを感
じさせるその声は名ソプラノ、マリア・カラスを彷彿とさせるもので、敬虔な
宗教曲を歌っているときにも奥に秘められた熱い情熱が仄かに伺えます。表現
力に富んだ素晴らしい声と、美しい楽曲の魅力という二つの面から楽しめるア
ルバムです。
<CALLIOPE>
CAL 9350 \1850
モーツァルト:
協奏交響曲K.364
二重奏曲第1番ト長調K.423
二重奏曲第2番変ロ長調K.424
レフ・クリシュコフ(Vn)、ヴラディミール・ストピシェフ(Va)
エマニュエル・ルドゥック=バローメ(指)バルティック室内管弦楽団
協奏交響曲は、バルティック室内管弦楽団のアカデミックな響きが印象的です。
二重奏曲は、クリシュコフとストピシェフの息もぴったりと合っていて、包み
込むようなあたたかい音色で心がときほぐされるような演奏です。
CAL 9333 \1850
ヤナーチェク:弦楽四重奏曲第1番、弦楽四重奏曲第2番
シュールホフ:弦楽四重奏曲第1番
ターリヒ弦楽四重奏団
ヤナーチェクの弦楽四重奏曲集。第1番の白熱した演奏に心うたれます。シュー
ルホフの弦楽四重奏曲も、冒頭からかっこよさ満点、シュールホフ独特の現代
味と民族的な味が融けあった世界を満喫できます。
CAL 9344 \1850
どんちゃん騒ぎ-The feast of fools
アンサンブル・ヴォーカル・エ・インストゥルメンタル
エマニュエル・ボナルド(指)
タンバリンのリズムにのって、フィドルがなんとも華やかなメロディーをかな
でる、賑々しい中世のお祭の音楽集です。
CAL 9345 \1850
アヴェ・マリア-心洗われる合唱作品集
カリオペ女声合唱団、レジーヌ・テオドレスコ(指)
カリオペ女声合唱団の魅力がたっぷりとつまった合唱作品集CDです。
<Ondine>
ODE 1066 2枚組 \4160
アウリス・サッリネン(1935-):
オペラ 〈英国王はフランスへ行く〉 作品53 (1983) (全曲)
トンミ・ハカラ(バリトン、皇太子) ユルキ・コルホネン(バス、首相)
リーカ・ランタネン(ソプラノ、楽しいカロライン)
リッリ・パーシキヴィ(メッツォソプラノ、ふさふさ髪のカロライン)
マリ・パロ(ソプラノ、泥棒するアン)
ラウラ・ニュカネン(アルト、服を脱ぐアン)
ユルキ・アンティラ(テノール、案内人)
ヘルマン・ヴァッレーン(バリトン、弓の射手)
キルシ・トゥム(ソプラノ、女王)
サンテリ・キンヌネン(台詞、フロワサール)
フィンランド・フィルハーモニック合唱団
オッコ・カム(指),タピオラ室内合唱団,
ヘルシンキ・フィルハーモニック管弦楽団
録音:2005年4月 フィンランディアホール (ヘルシンキ)
新たな氷河期がやってくる。英国王への即位が決まった皇太子は、首相の進言
を入れ、4人の后候補を伴い、軍隊を率いて、氷結したイギリス海峡をフランス
に渡る。クレシーの戦い、カレーの包囲。皇太子は600年前、エドワード黒太子
がフランス軍を破った百年戦争の世界に...。アウリス・サッリネン(1935-) の
3作目のオペラ〈英国王はフランスへ行く〉は、パーヴォ・ハーヴィッコの同
名の放送劇に基づき、作者自身が台本を執筆。《来るべき氷河期のミュージッ
クシアターのための年代記》の副題がつけられました。フィンランドのサヴォ
ンリンナ・オペラフェスティヴァル、コヴェントガーデン王立オペラ、BBCの
共同委嘱。オッコ・カム (1946-) が初演の指揮を執りました。時空を超える
ファンタジー、劇的な展開、多彩な管弦楽、美しい旋律。コミックオペラへの
オマージュ。サッリネンのカンタータ〈生と死の歌〉やTV映画「カレヴァラ」
の音楽による〈鉄の時代〉組曲 (ともに ODE844) を想わせるページ。20世紀
フィンランドを代表するオペラのひとつに挙げられています。2005年春の公演
に合わせて行われた録音。制作が進んでいる映画のサウンドトラックにも使わ
れます。全3幕。フィンランド語・英語対訳台本つき。この音楽はカンタータと
しても楽しむことができそうです。
ODE 1071 \2080
イーロ・ランタラ (1970-):
ピアノ協奏曲 G#majAs (ヤーコ・クーシスト、オーケストレーション)
アストラーレ(ピアノソロのための)
タンゴネイター(ヴァイオリンとピアノのための)
ファイナル・ファンタジー(ピアノと管弦楽のための)
(ヤーコ・クーシスト、オーケストレーション)
イーロ・ランタ(P) ヤーコ・クーシスト(Vn、指)
タピオラ・シンフォニエッタ
録音:2005年5月 タピオラホール (エスポー)
フィンランドで国際的にもっとも名前を知られたジャズグループ、トリオ・ト
ユケアットのピアニスト、イーロ・ランタラ (1970-)。そのランタラが書いた
ピアノ協奏曲はチューニングから始まります。ピアノの即興演奏も織り込んだ
第1楽章。ゆったりと美しい第2楽章。2つのテーマによるロンド風の第3楽章。
モーツァルト時代の協奏曲に則った構成をとっています。ランタラのアイデア
を基にオーケストレーションを行ったのはラハティ交響楽団のコンサートマス
ター、ヤーコ・クーシスト (1974-)。指揮者、作曲家としての活動も目立つよ
うになりました。ヤーコはイーロ・ランタラの義理の弟。トリオ・トユケアッ
トのコンサートにもたびたび参加しています。イーロとヤーコの話では、この
協奏曲はすでにフィンランドで10回ほど演奏され、聴衆から暖かく迎えられた
とのこと。フィンランドの人たちのオープンで自由な精神をうかがい知ること
ができます。〈アストラーレ〉と〈タンゴネイター〉は、自らのアンサンブル、
タンゴ・キングズのために書かれた曲。トリオ・トユケアットのための〈ファ
イナル・ファンタジー〉もヤーコが編曲しています。この楽しさ! これこそ、
“joie de vivre (生きる歓び)” です。