クラシック輸入盤・新譜情報/グッディーズ

コメントはメーカー案内書より抜粋です。お問い合わせ:goodies2@pc.highway.ne.jp

12-02 No.18-1

2012年02月16日 19時57分08秒 | Weblog
<Profil>
PH 11047 ¥2180
ボリス・チャイコフスキー:
(1)ヴァイオリン協奏曲(1969)【1972年録音。ステレオ】
(2)ヴァイオリンソナタ(1959)【1962年録音。モノラル】
ヴィクトル・ピカイゼン(Vn)
キリル・コンドラシン(指)
モスクワ・フィル(1)、
ボリス・チャイコフスキー(Pf)(2)
近年再評価著しいボリス・チャイコフスキー(1925-1996)の貴重音源の出現です。
どちらも旧ソ連の名手ヴィクトル・ピカイゼンのために書かれた作品で、協奏曲
はピカイゼンの独奏、セロフ指揮オーデンセ響の比較的新しい録音があるものの、
こちらはコンドラシンとモスクワ・フィルとの共演というのが凄すぎ。かつてメ
ロディア盤LPで出ていましたが、幻の音源と申せましょう。ボリス・チャイコフ
スキーの代表作のひとつで、40分近い大曲ながら単一楽章、早くに亡くした父の
思い出を描いたといわれます。ピカイゼンの独奏も恐ろしい気迫に満ち、またコ
ンドラシンの伴奏が神業的なドラマ作りで非常に感動的。これほど凄い演奏は再
現できないと思えます。カップリングのヴァイオリンソナタでは作曲者自身が伴
奏を務めていますが、非常な名人芸ぶりで、ピカイゼンの独奏ともども絶妙な巧
さに酔わされます。

PH 10045 ¥2180
フルート、チェロとピアノ
(1)ヨハン・ヴィルヘルム・ヴィルムス(1772-1847):三重奏曲
(2)フンメル:三重奏曲Op.78
(3)チェルニー:協奏的幻想曲 Op.256
(4)ベートーヴェン:三重奏曲WoO.37
トリオ・ヴィーク【クリスティーナ・ファスベンダー(Fl)、
ユストゥス・グリム(Vc)、フロリアン・ヴィーク(Pf)】
[録音:2010年6月/ジーメンス・ヴィラ(ベルリン)]
フルート、チェロとピアノのために書かれた三重奏曲を集めた珍しいアルバム。
ベートーヴェン作品は本来フルート、ファゴットとピアノのために書かれていま
すが、ここではチェロで演奏されています。とても色彩的な響きとなり、オーケ
ストラを思わせる充実感に満ちています。トリオ・ヴィークはエマール門下のピ
アニスト、フロリアン・ヴィークとジェラール、ニコレ門下のフルーティスト、
クリスティーナ・ファスベンダーによって結成された三重奏団。バロックから現
代までをこなすドイツきっての団体です。

PH 11042 ¥2180
(1)ブラームス:ピアノ三重奏曲第3番ハ短調Op.101
(2)リスト(作曲者編):トリスティア(最終稿)-オーベルマンの谷より
(3)シェーンベルク(シュトイアーマン編):浄夜Op.4
ブーランジェ・トリオ
[録音:2011年7月/ドイツ放送カンマーザール(ケルン)]
2006年に創設されたドイツのピアノ三重奏団ブーランジェ・トリオ。美女3名から
成り、珍しいレパートリーにも果敢に取り組む得難い団体となっています。当ア
ルバムではブラームスの傑作を実に堂々と聴かせた後、リストとシェーンベルク
の意外な珍品を披露。リストの「トリスティア」は「巡礼の年第1年」の「オー
ベルマンの谷」を作曲者自身がピアノ三重奏に仕立てたもので、3種あるうちの
最終稿。原曲とかなり離れているのも興味津々です。シェーンベルクの愛弟子
シュトイアーマンによる「浄夜」も、優れた編曲ながら録音に恵まれているとは
いえないで歓迎です。





<Supraphon>
SU 4078 ¥1780
グバイドゥーリナ:
(1)弦楽四重奏曲第1番(1971)
(2)同第2番(1987)
(3)同第3番(1987)
(4)同第4番(1993)
(5)BACH主題による反映(2002)
シュターミッツSQ
【録音:2011年6、8月/チェコ放送マルティネク・スタジオ(プラハ)】
日本でもおなじみの旧ソ連出身作曲家ソフィヤ・グバイドゥーリナ。彼女の全弦
楽四重奏曲作品を集めた好企画。いずれも単一楽章形式で、それぞれに奇抜なア
イディアが盛り込まれています。第1番はバリバリのソ連時代の作ながら、奏者が
演奏中に椅子を持って舞台を移動することが指示され、さらに最後の6ページは演
奏者が即興するというキテレツな作。第2番はシベリウスSQ、第3番はアルディッ
ティSQの委嘱作ですが、後者はピチカートに偏執した異常な作風に驚かされます。
クロノスSQの委嘱による第4番は十二音技法、テープ付きの前衛作。そして第5番
にあたる「BACH主題による反映」は「フーガの技法」の主題をグバイドゥーリナ
風に処理しています。いずれも聴き応え満点。1985年結成のシュターミッツSQが
余裕の演奏を聴かせてくれます。

SU 4079 ¥1780
フェルステル:ピアノ三重奏曲全集
(1)第1番ヘ短調 Op.8(1883)
(2)第2番変ロ長調 Op.38(1894)
(3)第3番イ短調 Op.105(1922)
ヤナーチェク・トリオ
【録音:2009年10月、2010年4、11月/チェコ放送マルティネク・スタジオ(プラハ)】
ヨゼフ・ボフスラフ・フェルステル(1859-1951)はドイツで活躍したチェコの作曲
家。マーラーの支持者でしたが、作風はドヴォルザークを思わすロマンティック
なもので、チェコ風の美しいメロディにあふれています。作品数は多いものの、
あまり録音に恵まれていないので、大歓迎のアルバムと申せましょう。2001年結
成のヤナーチェク・トリオは名の通りヤナーチェクのスペシャリスト。フェルス
テルでも、さすがお国ものの巧さを見せています。




<IDIS>
IDIS 6630 2枚組 ¥3250
ヴェルディ:「ナブッコ」
エットレ・バスティアニーニ(Br ナブッコ)
ミレッラ・パルット(S アビガイッレ)
イーヴォ・ヴィンコ(Bs ザッカリア)
ルイージ・オットリーニ(T イズマエーレ)
アンナ・マリア・ロータ(S フェネーナ)
ほか
ブルーノ・バルトレッティ(指)
フィレンツェ五月音楽祭管弦楽団,合唱団
録音:1961年8月26日、フィレンツェ
日本でも根強い人気のある美声バリトン、エットレ・バスティアニーニ(1922-
1967)。バリトンとしてはまだまだこれからという44歳に病に亡くなっただけに、
残された録音はいずれも貴重です。このCDで聞けるのは、1961年8月にフィレン
ツェ市立劇場で上演された「ナブッコ」のライヴ録音。朗々と響き渡る美しいバ
リトンの声がたまりません。アビガイッレのミレッラ・パルットはイタリアを中
心に活躍したプリマドンナ。十年ほどソプラノとしての活動した後、メッゾソプ
ラノに転向してしまったので、プリマドンナとしての録音が極めて少なく、「幻
のソプラノ」の一人。今や長老指揮者のブルーノ・バルトレッティはこの時35歳、
活きの良いヴェルディを聞かせてくれます。




<EUROARTS>
20 66738(DVD-Video) 3枚組 ¥4780
字幕:独英仏日
ワーグナー:「パルジファル」
ポール・エルミング(T パルジファル)
ヴァルトラウト・マイヤー(Ms クンドリ)
ジョン・トムリンソン(Bs グルネマンツ)
ファルク・シュトルックマン(Bs-Br アンフォルタス)
ギュンター・フォン・カンネン(Bs クリングゾル)
フリッツ・ヒューブナー(Bs ティトゥレル)
カロラ・ヘーン(S 花の乙女)
ブリギッテ・アイゼンフェルト(S 花の乙女)
ボリャーナ・マッテーヴァ(S 花の乙女)
カロラ・ノセク(S 花の乙女)
ローラ・エイキン(S 花の乙女)
エルフィラ・ドレッセン(Ms 花の乙女,小姓)
ペーター・ビンズツス(T 騎士)
ゲルト・ヴォルフ(Bs 騎士)
エフラト・ベン=ヌン(S 小姓)
ペーター・メンツェル(T 小姓)
アンドレアス・シュミット(Br 小姓)
ローゼマリー・ラング(A アルトの声)
ダニエル・バレンボイム(指)シュターツカペレ・ベルリン,
ベルリン国立歌劇場合唱団
ハリー・クプファー(演出)
ハンス・シャーフェルノッホ(装置)
クリスティーヌ・シュトロンベルク(衣装)
収録:1992年、ベルリン
バレンボイムの「パルジファル」、待望の復活です!1992年にベルリン国立歌劇
場の音楽監督に就任したダニエル・バレンボイムは、手始めに極めて充実した
「パルジファル」を上演、同歌劇場の開場(1742年)250年を祝う記念の意味合いも
あるこの公演を大成功に導きました。キャストは極めて強力。タイトルロールの
ポール・エルミングは、1990年にバイロイト音楽祭でジークムントを歌って成功、
ヘルデンテノールとしての名声が一気に高まっている時期。パルジファルはエル
ミング最大の当たり役だけに、ここでも素晴らしいものです。クンドリは御存知
ヴァルトラウト・マイヤー。マイヤーがソプラノ役を手掛ける前にもっとも高い
評価を得たのがクンドリでした。30代半ばのマイヤーの美しいメッゾの声で掘り
込まれたクンドリは大きな聞き物です。ジョン・トムリンソンとギュンター・
フォン・カンネンの二人のベテランに挟まれ、当時ようやく国際的に注目され始
めたばかりのファルク・シュトルックマンが起用され、存在感を発揮しています。
また花の乙女にローラ・エイキン、小姓にアンドレアス・シュミットが参加して
います。
ハリー・クプファーの演出は、初演当時は評価も賛否分かれていたものですが、
今から見ると1990年代初頭の社会が抱える問題点を非常に注意深く洞察し、21世
紀へと向かって歩み始めた現代人に警告するものだったと気づかされます。
嬉しい日本語字幕付きです。




<INTEGRAL>
INTEG 201103 ¥2080
ベートーヴェン:
ヴァイオリン協奏曲 ニ長調Op.61(カデンツァ;第1楽章 ヨーゼフ・ヨアヒム)
ロマンス第1番 ト長調Op.40
ロマンス第2番 ヘ長調Op.50
ジル・コリアール(Vn)、トゥールーズ室内管弦楽団、
バルバロック四重奏団[ジル・レイモンド(ティンパノン)、
アラン・テリート(バンドネオン)、
パトリック・マティス(メカニック・オルガン)、
ディディエ・カペイユ(コントラバス)]
録音:2011年4月25-29日、ポンピニャン城の礼拝堂
これはおもしろい!なんと、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲のオケ・パー
トにバンドネオン、ティンパノンが加わった珍しい編成での演奏が登場!それは、
鬼才ヴァイオリニスト、ジル・コリアール率いるトゥールーズ室内管弦楽団と
ティンパノン(2本の撥で真鍮弦を叩く打弦楽器でツィンバロンに近い楽器)、バン
ドネオン、メカニック・オルガンそしてコントラバスから成るバルバロック四重
奏団との演奏によるものです。ヴァイオリンのコリアールはジャンルにとらわれ
ず、また演奏する曲の時代に合わせピリオド楽器もモダン楽器も弾きこなすマル
チなヴァイオリニストです。バルバロック四重奏団とはたびたび共演しており
ヴァヴァルディ「四季」では録音しそのユニークな編成と斬新なアンサンブルで
話題をよびました。ベートーヴェンの音楽に民俗楽器入ってくると、いっけん違
和感がありそうにも思えますが、驚くほど自然に調和しオルガンやバンドネオン
の音がバロック時代の響きを作り出し、さらにティンパノンがよいスパイスを与
えてくれます。コリアールの独奏もこれらの楽器に合わせた奏法で演奏しており
見事なまでにアンサンブルをコントロールしています。クラシック・ファンだけ
でなく、ワールドミュージック・ファンにも聴いていただきたい1枚です!





<Claves>
50 1010 ¥2180
ベートーヴェン:
ピアノ協奏曲ニ長調Op.61a(ヴァイオリン協奏曲のピアノ編曲版)
C.P.E.バッハ:協奏曲 ハ短調Wq.43 No.4
ドミトリー・バシキーロフ(ピアノ;Steinway&Sons D-274)、
ペーテル・チャバ(指揮)、ローザンヌ室内管弦楽団
録音:2010年4月30日-5月2日、ローザンヌ
1931年11月1日生まれの旧ソ連グルジア共和国、トビリシ出身の名ピアニスト、
ドミトリー・バシキーロフの新録音登場です。バシキーロフはモスクワ音楽院で
学び1955年にはロン=ティボー国際コンクール入賞後、着実にキャリア積んでい
きました。イタリア、スペインを中心に演奏活動する傍ら、長きに渡りモスクワ
音楽院で教鞭を執りました。彼の特徴でもある滑らかで透き通るような音色は今
もなお健在で、録音当時は78歳とのとこですからまさに円熟の演奏と言えましょ
う(ちなみにバシキーロフの娘エレーナはギドン・クレーメルの元妻で現在はバレ
ンボイムと結婚しており、文字通りの音楽一家です)。収録した曲はベートーヴェ
ンのヴァイオリン協奏曲をベートーヴェン自身がピアノ編曲した作品、そして
C.P.E.バッハ:協奏曲 ハ短調Wq.43 No.4です。どちらもきらめくようなタッチで
歌いあげ、バシキーロフ節炸裂で演奏しております。指揮者のペーテル・チャバ
はパガニーニ国際ヴァイオリン・コンクールにも受賞歴をもつヴァイオリニスト
でもあり、特に弦楽器のコントロールは絶妙で、バシキーロフの演奏を見事にサ
ポートしています。




<ALTUS>
ウィーン・フィル ライヴ エディション-クナッパーツブッシュ
オリジナル音源から復刻された音質は素晴らしく、肉厚な響きも克明に捉えられ
ているのでファンにはたまらない。―平成の盤鬼 平林直哉―
『音楽がクライマックスにさしかかるとクナが椅子からジワジワ立ちあがるんで
すよ。すると、それに呼応してオーケストラも全開で、その瞬間はもう会場全体
が息もできないほどの緊迫感と感動に包まれました。』
―北村源三(元N響首席トランペット奏者)、同プログラムを聴いた生き証人―

ALT 224 ¥2500
R.シュトラウス:交響詩『死と変容』作品24
シューマン:交響曲第4番作品120
ハンス・クナッパーツブッシュ(指揮)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1962年12月16日、ムジークフェラインザール(ライヴ録音)
モノラル
「このシューマンもファンにとっては忘れ得ぬものである。第1楽章の深い響きは
余人の追随を許さないし、第2楽章のしみじみとした味わいはクナとウィーン・
フィルの永遠における固い絆を思わせる。第3楽章は巨大そのもので、第4楽章の
仰ぎ見るような大きなスケールもクナ以外の何物でもない。」
平林直哉-ライナーノーツより 
また当ディスクの解説はウィーンでクナッパーツブッシュを聴いた元N響首席トラ
ンペット奏者北村源三氏のクナ体験の特別インタビュー付きです。

ALT 225/6 2枚組 ¥3150
ブルックナー:交響曲第8番ハ短調
ハンス・クナッパーツブッシュ(指揮)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1961年10月29日、ムジークフェラインザール(ライヴ録音)
モノラル
「曲のどこをとっても素晴らしい演奏だが、たとえば第3楽章における弦楽器の艶
やかな音はさすがにウィーン・フィルであり、第4楽章のコーダを聴いていると、
当日の会場では途方もない大音響が鳴り響いていたのだろうと想像出来る。こう
した底知れぬパワーもウィーン・フィルならではである。」
平林直哉-ライナーノーツより




<TAHRA>
TAH 732/3 2枚組 ¥4600
フリッチャイの芸術
(1)モーツァルト:フルートとハープのための協奏曲K.299
【ハンス・シュミッツ(Fl)、イルムガルト・ヘルミス(Hp)、
RIAS交響楽団(1952年9月17日)】
(2)チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op.35
【ユーディ・メニューイン(Vn)、
ルツェルン祝祭管弦楽団/ルツェルン芸術ハウス(1961年8月16日)】
(3)ブラームス:交響曲第1番ハ短調Op.68 
【北ドイツ放送交響楽団/ハンブルク・ムジークハレ(1958年2月2-3日)】
(4)同:ハイドンの主題による変奏曲Op.56a 
【RIAS交響楽団(1953年4月7日)】
フェレンツ・フリッチャイ(指揮)
早世の天才指揮者フリッチャイはかなりの録音が残されてはいるものの、驚きの
初出音源の出現です。当アルバム中もっとも古いモーツァルトのフルートとハー
プのための協奏曲ではきびきびした音楽作りが魅力ですが、1958年のブラームス
の「交響曲第1番」ではフルトヴェングラーを彷彿させる魂をふりしぼるような
情念と巨大な音楽作りに驚かされ、あたかもフルトヴェングラーの高音質盤が出
現したのかと錯覚してしまうほど感動的です。もともとフリッチャイはDGに同曲
を録音しておらず、またスイス・ロマンドとのカスカヴェル盤も入手困難なこと
を鑑みれば、この北ドイツ放響との音源がいかに貴重か納得できると申せましょ
う。さらに魅力なのは最晩年のチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲。メニュ
ーインの独奏も素晴らしく、熱い血のたぎる音楽となっていて興奮させられます。
また、やはり正規録音のない「ハイドンの主題による変奏曲」も覇気と大きさで
圧倒的。まさにフリッチャイの芸術を満喫できるアルバム。本当に凄いです。




<ATMA>
ACD2 2611 2枚組 ¥3380
96kHz 24bit録音
J.S.バッハ:ヨハネ受難曲 BWV245
レ・ヴォワ・バロック
福音史家:ヤン・コボウ(Ten)、イエス:ステファン・マクラウド(Bs)、
ペテロ:ジョシュア・ホプキンス(Bs)、ピラト:ナサニエル・ワトソン(Bs)
アレクサンダー・ヴァイマン(指、オルガン)アリオン古楽アンサンブル
録音:2010年11月、モントリオール神学校(ケベック、カナダ)
名門団体レ・ヴォワ・バロックとアリオン古楽アンサンブルによるヨハネ受難曲。
BCJの録音でもおなじみのヤン・コボウが福音史家を、ステファン・マクラウドが
イエス役を演じているのも興味津々。合唱も各パート3名で、非常に透明かつ締ま
った響きを聴かせてくれます。ヴァイマンのオルガンは控えめながらも芯のある
音色。1981年に設立されたケベックの古楽器演奏団体、アリオン古楽アンサンブ
ルの美しい伴奏も聴き所です。演奏時間は100分程度で、全体的にすっきりとした
演奏。ソリスト、合唱、器楽伴奏の音量バランスも良く、それぞれの魅力が引き
出された演奏といえましょう。

ACD2 2121 ¥1850
(1)プーランク:クラリネット・ソナタ 
(2)サン=サーンス:クラリネット・ソナタ 変ホ長調 op.167 
(3)ラボー:コンクール用クラリネットの独奏曲 op.10 
ドビュッシー:
(4)クラリネットのための第1狂詩曲 (5)クラリネットとピアノの小品 
(6)ヴィドール:序奏とロンド op.72 (7)ピエルネ:カンツォネッタ op.19 
(8)フランセ:主題と変奏
アンドレ・モアザン(Cl)、ルイーズ=アンドレ・バリル(Pf)
ドビュッシーやサン=サーンスを始め、19世紀後半に活躍したフランスを代表す
る音楽家と、それに続くフランスの音楽家達のクラリネット作品を収録したCD。
クラリネットは18世紀に作られ、1840年頃に改良された比較的新しい楽器。クラ
リネットの真価が未だ見出される途上であった19世紀初頭、フランスではパリ音
楽院がクラリネットの普及・改良に大きな役割を果たしていました。本CDに収録
された作曲家たちは皆、パリ音楽院と関わり深い音楽家達でもあります。ドビュ
ッシーの名作「第1狂詩曲」のオリジナル版世界初録音に注目。ドビュッシーが
パリ音楽院1910年のコンクール用に作曲した際、自身は出来に満足していたよう
ですが、被献呈者で初演者のポール・ミマールが、演奏上の問題から独奏パート
の数箇所の直しを要請し、ドビュッシーはそれに従ったとされています。今回、
ドビュッシーの自筆譜に従い、オリジナル版を復元しての録音となりましたが、
よりドビュッシーらしさに満ちていて非常に魅力的です。
アンドレ・モワザンはケベック生まれのクラリネット奏者。数々のコンクールで
受賞経歴を持ち、現在はカナダを中心にソロ活動、アンサンブル活動を積極的に
行っています。ルイーズ=アンドレもカナダを中心に活躍するピアニスト。卓越
した技術と軽快なテンポで心地よいアンサンブルを聴かせてくれます!

ACD2 2319 ¥1850
ジュリアン・ワクナー:(1)トリプティク (2)クラリネット協奏曲
(1)フィリップ・ベランジェ(オルガン)、
ジュリアン・ワクナー(指揮)、メトロポリタンオーケストラ
(2)スコット・アンドリュー(Cl)、ジュリアン・ワクナー(指揮)、
マギル室内オーケストラ
録音:(1)2005年12月 (2)2010年6月
ジュリアン・ワクナーによる自作自演録音を収録したCD。ハリウッド生まれニュ
ーヨーク育ちというワクナーは、アメリカを中心に今最も注目されている音楽家
の1人。現在はトリニティ教会合唱団、トリニティ・バロック管弦楽団で音楽監督
および芸術監督を務め、指揮者としても活躍しています。また、ピアニスト、オ
ルガニストとしても活動。古楽から現代音楽まで幅広いレパートリーを持つ実力
派としても注目されており、その活躍には今後も大いに期待できましょう。ルー
カス・フォスに作曲を師事したワクナー。自身の作風について、「ハーモニーと
メロディ、動と静、明瞭と混沌、現代の技術と明らかに過去から借用した技術、
これらの調和を追求する音の世界の中に、自分の音楽はあるのです」と語ってい
ます。若くして早くも注目を集めるワクナー独特の音楽性に迫る1枚といえましょ
う!本CDでは彼が近年作曲した2つの作品を収録。トリプティクは3楽章構成から
なるオルガンとオーケストラのための作品。トリプティクとは、元々3枚の絵が蝶
番で結ばれたカトリックの祭壇画のこと。各楽章にはロゴス(神の言葉)、アガペー
(神の愛)、アンジェラス(お告げの祈り)という名がつけられており、宗教的な主
題をもった作品といえましょう。第1楽章では荘厳なオルガンの音色とオーケスト
ラの迫力あるアンサンブルに圧倒される一方、静謐な第2楽章では神秘的なオルガ
ンのソロに心洗われます。第3楽章は数多のパーカッションと金管の神々しい響き
が印象的。リズムと活気あふれるオルガンソロとの掛け合いも美しい作品です。
2曲目のクラリネット協奏曲はルーカス・フォス生誕80周年を記念し、宇田川洋一
からの要望で作曲されたもの。クラシックとジャズを融合した作風で、最低音か
らゆったりと上がっていくクラリネットのソロと共に曲全体が盛りあがっていく
展開が爽快な作品です!

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