マーベラスS

King Of Western-Swing!!
歌と食と酒、それに声のページ。

06.6.11  柳につばめは貴方に私・・・

2006-06-11 04:15:13 | 音楽
こんな映像的な歌ないね。ずい分前ですが、東京大阪間の機内のラジオ録音で聴いてあたしゃ打たれました。こんな出だしの文句書けません。戦後復興の槌音響く銀座を歩きながら、サトウハチロー先生は戦前と同じ、柳の樹を見つめ、ぬけるような青空に舞うツバメを見たのでありましょうか。
曲は生涯5000曲も作曲した古関裕而先生。軍歌から東京五輪ファンファーレから歌謡曲、童謡なんでもござれの日本のアーヴィングバーリン。
私がそらで歌える数少ない歌曲のひとつ『夢淡き東京』です。


     柳青める日 つばめが銀座に飛ぶ日
     誰を待つ心 可愛い硝子窓
     霞むは春の青空か あの屋根は
     輝く聖路加か 遥かに朝の虹も出た
     誰を待つ心 淡き夢の町 東京

銀座名物、柳並木ってのがあったそうで、ボクがちょろちょろしてた頃にゃほとんど気にも留めなかった。聖路加たぁ、聖路加病院のことで洒落た西洋建築だったんだ。聖ルカってミッション系だぁ。
誰はだれって読んぢゃあいけない。藤山一郎風に律儀に「たれ」と行きたい。

     橋にもたれつつ 二人は何を語る
     川の流れにも 嘆きを聴きたまへ
     懐かし岸に聴こえくる あの音は
     昔の三味の音か 遠くに踊る影ひとつ
     川の流れさえ 淡き夢の町 東京

敗戦2年もたってないのだから、抑留されて帰ってこない父親のことか、配給だけぢゃひもじくて、闇屋の情報交換か、いんや、それでも恋を語るのか。藤山おとうさんは三味をしゃみと読まず、「さみ」と歌う。

     君は浅草か あの娘は神田の育ち
     風に通わすか 願うは同じ夢
     ほのかに胸に浮かぶのは あの姿
     夕陽に染めた顔 茜の空を見つめてた
     風に通わすか 淡き夢の町 東京

これもパリッシュのイラストレーションなんかを思い浮かべてしまう。
ここからは、さらにハチロー公の腕の見せ所。ダテに浅草を無頼の徒として路地から路地へと呑み歩いているわけではなかった。
しかし敗戦の記憶も生々しい時代。下町は壊滅。死者10万人だぜ。大半が非戦闘員とくる。忘れていいわきゃねぇわな。

     悩み忘れんと 貧しき人は歌い
     狭い路地裏に 夜風はすすり泣く
     小雨が道にそぼ降れば あの灯り
     うるみて悩ましく 哀れはいつか雨に溶け
     狭い路地裏も 淡き夢の町 東京

小沢昭一丈はこの上二行に泣いたと仰る。何にも無くなってしまった東京に
淡い夢を描いた時代。そんな片鱗がすべて消えてしまい、まったくちがう街になってしまって淡い夢も見られねぇことに、アタシャ涙だ。



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2 コメント

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銀座の唄 (コンチ)
2006-06-24 16:28:56
サトウハチローでは無いのですが映画『銀座二十四帖』の冒頭シーンで森繁が唄ったのが「銀座の雀」。結構良い唄で好きです。
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ビギン・ザ・銀座 (マベサク)
2006-06-25 23:14:00
ああ、銀座の雀とはこの映画のために作られた歌だったのですか。

♪~おいらは銀座の雀なのさ~



亡くなった、はせさん治さんが打ち上げの席で歌ってくれたのを思い出します。



ここの枠と表題のオレンジ色が地下鉄銀座線の色だね~。オレが乗ってる頃の銀座線は時々車内が暗転したりしたんだけど。もうないのかな?
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