マーベラスS

King Of Western-Swing!!
歌と食と酒、それに声のページ。

自由都市にて鮨

2010-10-01 23:13:57 | 

というわけで、過日、中世の自由都市、堺へ。
この街のピークは安土桃山時代だった。戦後は焼けたこともあって
すっかり建て替わり、統一感のないつまんない街になってしまった。

南海本線・堺駅から少し歩いた「寿司・まつ元」へ。
友人が講演した際に、聞きに来てたという店主が握る店。



一個なら小肌と書いたのは、山口瞳。

江戸前の粋が詰まっているのが小肌というわけ。
まぁ美味いには美味いが、新子の時期を待ちわびて、5尾も6尾も漬けて握るのは
ご遠慮申し上げたい。オレにゃそんなロリコンの趣味はない。



泉州の風物詩、水なすである。
金っ気を嫌うので、手で裂いた方が圧倒的にうまい。
造り、鱧の炙りなどを頂いて、早速寿司へ。



きすの昆布〆  本来は天種であまり握らないが、まずまずの滑り出し。

まぐろの即席醤油漬け 慌てて食べて写真撮り忘れ。 
サクで3時間漬け込む。づけという手法は東京で知ったが、
安い赤身でも漬け込むと段違いにうまくなる。
うちで食べる刺身はこうしてひと手間かける。
 



煮蛤  
煮はまや煮あさり、蒸しアワビなども普通に大阪で食べられるようになった。
嬉しくもあり、寂しくもあり。
 



サヨリ  柚子をかまして
 
こうして半身に切ってクルクル巻くのは、江戸前の古い仕事。

この後は海胆を炙りだった。





穴子は浜煮(白煮)にして塩、茎山葵。  快調快調・・・

この後、エンガワを食べ。




山口瞳に対して、一個ならまぐろと言いたい。やっぱりまぐろこそは寿司の華。
天ぷらにおける車海老と同様の立場。
この色めなくては、主役不在のコースになっちまう。




あわび肝  主人が東京のおけいずしで教わったという、スペシャルテ。

身と肝を細かく刻んで握る。隠し味にハチミツが使われる。
これが香りがよくて、蒸しアワビとも煮アワビとも違う不思議な食感。これはヒット!


平目昆布〆、宮崎牛と続く。

ときどき出すウチがあるが、肉を握ろうというセンスがいまいち解らない。
寿司のコースの中で、まず肉は食べたいと思わないんだけど。





剣先いか  床へ落っことしたのではなく、紀州の炭塩を使ってある。

玉子  旬の美食という大層な名前の卵を使う。

だし茶漬け、キュウリの漬物などでシメた。





オプションの、細巻き天ぷら 中身は海老マヨ。  
酢橘を絞っていただく。なかなかの趣向である。

これで酒を適度に飲んで、1万ちょい。江戸前の鮨で頑張りたいという主人。でも新鮮な魚で酒を飲みたいという客が多そうな土地柄。思い切って儲ける鮨に徹してもいいのかもしれない。それか、もっと素材にお金をかけて値段を上げて、アッパーな層を狙うか。

結構、ここで一品料理で酒を飲み、鮨に到達できず帰る人も少なくないとみた。
仕入れた魚が無駄になり、誠にもったいない。いかにして鮨を食ってもらうか。自分の得意なフィールドに客を連れ込むか・・・そこが研究のしどころだろう。
夫婦仲良く、盛り上げて行って下さい。

堺、意外に鮨のレベルは高い。



     江戸前寿司・旬菜料理「まつ元」   堺市堺区戎之町西2