マーベラスS

King Of Western-Swing!!
歌と食と酒、それに声のページ。

遥かなり道頓堀

2008-05-25 22:50:18 | 

何度となく登場する道頓堀。すっかり観光旅行のガキと中国人団体
旅行の町になっているが、元はこんなじゃなかった。
左の建物の裏には道頓堀川。右側には中座を始め、五座の櫓が
立ち並んだ。


同じアングルの昔の写真が・・・。



74年前、昭和8年の中座盆興行の際の道頓堀の賑わい。
右手に芝居小屋。左手にはズラリ芝居茶屋が軒を連ねた、
そんな大人の街だった。
(三田純一さんの「道頓堀」からお借りしました)
三田さんの実家もこの中の芝居茶屋だった。



戦後派のくいだおれも、あと残すところ二月。
話のネタに一度は食っておこうかな。



唯一、昔の風情を残そうとする、うどんの「今井」。
高校時代、女友達と何か食べようということになり、ここに
引っ張って行かれた。その子は手慣れた様子で「かちんうどんと
豆ご飯」なんぞを頼んだ。ツウやなぁ…とたじろいだ。



相変わらず行列の「大たこ」。隣り合う「味一」(今は変わった)はヒマで、両者は仲悪く、二軒並列で取材申し込むと拒否されるので、アングルにも気ぃ使ったものだ。
個人的には大たこのビロビロ踊る花かつをは苦手とする。



昨年半世紀以上の歴史に終止符を打った「道頓堀東映」。
あとは何になるのだろう。その昔は五座の一つ「朝日座」だった場所。
賢いリニューアルがなされるといいが。



昨年秋、「本家たこ梅」が甦ったのは南地好きには嬉しかった。
たこ梅の名前を知ったのは小説「夫婦善哉」である。あそこへ出てくる店を片っ端から探し回った。
長いこと、放置されたままだった頃の姿が・・・



5年間も放ったらかしだったので、あちこちボロボロだったそうな。
ここの主人とは再建を巡って、ブログでやりとりさせてもらった。
創業は弘化元年(1884)ふくよかな前女将(現主人の祖母)は病院で元気にされていると聞いた。

無愛想な店員のおばはん達には賛否両論あるが、僕は結構好きだった。無愛想の愛想というのがある気がするのだ。
9種類だか11種類だかを使うここの辛子を「味噌は入ってるやろ?」などと当て合いながら、あの錫半の酒器で飲む酒は気分がよかった。
この猪口がすり鉢状になっており、いくらも入らぬ。一杯ごとにおばはんがザラリと積み上げていく値札に、何度ドキリとさせられたことか。



豆腐と大根。おでんの定番中の定番だが、旧たこ梅は大根を出さなかった。サエズリ(鯨の舌)はあったがコロ(皮下脂肪)はなかった。
そういうことでいうと、同じレシピのだしでも具から溶け出すエキスによって、味は微妙に変わるだろうと思う。



蕗もなかった。じゃがいももなかった。だしが濁るからと言い。
中央のおでん鍋は丸から四角へと変わった。
う~ん、味は微妙に変わったような気がする。
しかし、まったく同じに作っていても、手が変わるだけで客は変わったと言いたがるもの。
明瞭会計になったのは喜ばしい。梅田の方のたこ梅とちがって、名物煮たこばかりを押し付けないのもよろしい。

あとは大人の客や昔の客が戻ってきたら尚いい。
店の空気感とは、長年かかって客がかもし出すものだから。


    本家「たこ梅」  中央区道頓堀堺筋手前

コメント (6)
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