マーベラスS

King Of Western-Swing!!
歌と食と酒、それに声のページ。

06.3.04  ホルモン・十三小便横丁

2006-03-03 16:27:31 | 
 新宿南口に長らく小便横丁があった。安い鯨カツ丼を出す大衆食堂があったり、鰻のヒレやキモを焼いて出すモツ焼き屋があったり、戦後の闇市の名残りを感じさせる迷宮であった。そちらは20年も前にとっとと姿を消したが、西のWater Streetは十三西口に生き残ってるぜい。 横丁の煙は焼肉屋から出されるそれで、中でも老舗の『請来軒』は一見、黒澤映画「天国と地獄」に出てくる店のようだが、隠し肉がいろいろあり、クラシタとかミスジなどは初めてここで食った。なるほど確かに旨い、がそれらを食うと高くついたのは言うまでもない。オシャレな焼肉屋がなんぼも増えた今、収支はいかに。 『珍寿』はコース系串かつのパイオニア「五味八珍」「知留久」の両店で修行をし、店長として教えた弟子は数知れずという東條さん夫婦でもてなす小さな店。串かつは芸術です、と言う二人は今もベレー帽をかぶる。丁寧な仕込みを頂く店。 バー『十三トリス』はともすれば酒だけを静かに傾けるストイックなバーが多い中、食い気旺盛な大阪の客も楽しめるバーだ。いか焼きで呑ませるバーは大阪広しといえどここぐらいだろう。親爺がチック症で時折豪快にブルブルやっているのもここの特徴だろう。ないと寂しい。角ハイが美味い。ション横を抜けた辺りにある『下町ホルモンまるたけ』昨日行ったこれがなかなかいがったぁ。メインはテッチャン&肺のホルモン鉄板焼きと煮込み。ドッと一味をかけて、強めの焼酎をかっくらえば気分はオラオラオラ…確かに菜っぱ服着た下町の職工になった気分だ。梅酒に力を入れている辺りも面白いし、何より店主の武ちゃんが「どうだ!美味いやろ!」という態度でお客に向かってくる。そこが小気味いい。食べもん屋はこうでなきゃ。 手前にフェイク丸出しの新店「新○ホ○モン酒場」というのを見るだろう。あのアナクロニズムはもうお腹一杯。一周まわって古くなってもうた。しかも、店員たちにそれらの昭和30年代映画や戦前歌謡に何の興味もないのがいけない。単なる壁紙の一つ、記号でしかない。第一、出してくるホルモン串に力がないのはどういう訳だ。一言で言うと無気力。「食うてくれ!いっぺん試してみてくれ!でないと、今月家賃払われへんねん」という生活かかってる気がしないのだ。底の浅い看板はすぐに化けの皮が剥がれてしまうだろう。あとはどれだけ主人が「これオモロイやろ~美味いやろ~」と本気で思えるかどうかだ。 十三ション横。阪急京都・宝塚・神戸を結ぶ静脈瘤みたいな街。時おり闇市的な香りが通り過ぎる。
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06.3.3  音楽特報 !

2006-03-03 05:37:24 | カントリー
Western Swing!
その源流をたどる時、Bob WillsとMilton Brownという二つの才能は避けては通れない。BobがKingなら、MiltonはDaddyと言われる。比較するとMilton Brownの方がぜんぜん上!という評論も多いらしい。いずれも米国テキサス州の片田舎、プア・ホワイトの農家の子倅として生まれた。それぞれの音楽的なバックボーンは別の機会に書くとするが、今から76年前の1930年に出会い意気投合、1931年にLight Crustという粉屋をスポンサーにしたLight Crust Doughboysを結成する。無理やり和訳すると『サクサク生地野郎』。写真のような車で移動しながら演奏して客寄せをして宣伝した、いづもや少年音楽隊みたいなもんだった。(昔は鰻屋が楽団を持っていた、服部良一はここにいた!)真ん中がBob、その右がMilton。

Willsがテンガロンハットを被って西部劇スタイルで売る前、Western Swingとはちょいと都会的なシャレたものだった。Willsはフィドル(バイオリン)、MiltonはボーカルでWillsより洗練されたセンスの持ち主だったといえる。ごく僅かな時期を共に演奏、やがてはMirton Brown & His Musical Brownies、Bob Wills & His Texas Playboys として分岐して行く。

Miltonは1936年に33歳で車の衝突事故で亡くなっている。ウェスタンスイング界の赤木圭一郎だな。彼が長生きしていたなら、この音楽はまた変わったものになっていただろう。おそらく。
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