勝福寺 Gikoohの日替わり法話

山寺の住職、Gikoohが日々感じたことを綴っております。
(プロフィール用の落款は天野こうゆう僧正さま彫刻)

平成から令和へ

2019-04-30 23:29:12 | Weblog
平成31年4月30日(火)。いよいよ平成から令和の時代へ移り変わろうとしている。

勝福寺の本山である御室・仁和寺に平成の今上天皇皇后両陛下が御来寺の砌、大勢の一般参賀に加わって拝謁の勝縁を頂いたことがある。その時の空気の気品高さはあまりに神々しく、思わず平伏したいような気分になった。

今日は平成時代最後の日。上皇様・上皇后様となられても、どうかどうかいつまでお元気でお過ごしになられますように…。

さて、去る4月27日・28日にわたり開幕した第10回寳燈展は、お蔭を持って無事閉幕した。ご来寺頂いた皆様方、そして並々ならぬご協力を頂いた皆様方に衷心より御礼申し上げたい。

今回は昨年2月に他界された岡山県の重文で木工芸家・林鶴山さんの追想展は、氏の制作した作品50点を展示させて頂いた。盛器、提盤、喰籠、香盆、香合、懐石盆から茶杓や棗など茶道具、南画(墨絵)など多岐に及び、木工芸に関心ある方々にお楽しみ観覧頂いた。

林さんの作品の多くは樹齢500年前後の銘木という欅で作られている。他には桑、松、栗、梨に至るまで様々だが、どれも高品意な材木だ。それらは木目が格別美しく、或いは氏が生涯をかけて追及してきた「影の線」という美の上品さが表現されている。

自然界にこそ美の極致があると感じた林さんは、蓮の葉の水滴を作品のヒントにしたり、四季の風や花、香りなど常に周辺の変化を観察しておられた。とても教養と見識が広く、なおかつ情緒深い文人でもあった。

気品に満ちた人というものは、内面から清らかさが溢れている。林さんの作品もまさにそれで、お盆一つ見ても、何とも言えな上品さがある。

日本は豊かな「四季の国」「木の国」などと呼ばれる。昔は銘木も数多くあった。今は、環境の変化や需要と供給の関係が一致しないせいか、銘木と呼ばれる材木は激減したという。

その豊かな銘木を洗練した技術によって木工作品として生かすのは我が国の財産とも言えよう。現在は生活様式が相当異なるので、以前のように伝統工芸に拘る数寄者と呼ばれる人も高齢化するなど時代は変わった。

勝福寺寳燈展は、今後いかなる展開になるか分からないけれど、不定期ながらも日本の伝統文化を伝えていければとと思う。美しいものに接すると心が落ち着くので、その感覚に触れて頂けばと思う。

また、寳燈展に併設したお茶席では、有志のお手伝いを頂き、子供茶道の小・中学生による支えもあって好評だった。

記念講演は、倉敷市立美術館から前野嘉之学芸員さんをお招きして、「林鶴山の世界」というテーマで約40分の貴重なお話を頂いた。

その後、寳燈展最後を飾る「呼松太鼓」は。Gikoohの故郷から7名の打ち手の方々にご来寺頂き、素晴らしい演奏をご披露頂いた。これはまた機会があればyoutubeにあげたいと思う。

まだ色々と話題はあるものの、明日は少々早いのでこの辺で。
コメント
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