勝福寺 Gikoohの日替わり法話

山寺の住職、Gikoohが日々感じたことを綴っております。
(プロフィール用の落款は天野こうゆう僧正さま彫刻)

Gikoohの義の時間(珈琲編)

2021-05-31 22:32:47 | Weblog

梅雨の中休み?で28日から好天日和が続いている。天気が良いと、玉葱の収穫や草刈りなど外の作務が出来るので有難い。さて、今夜もGikoohの義の時間をお届けしようと思う。今回は(珈琲編)だ。先週、ふと来寺した義理の兄から、倉敷市真備町にあるコーヒーロースト『TERU』真備店という珈琲豆の専門ショップより、Mexicoサンアントニオ農園「Angerobico」という珈琲豆を戴いた。

Gikoohはお茶や紅茶が好きだが、珈琲も好きで豆を挽いてサーバーにドリップするのが日課になっている。今回のAngerobicoという豆はGikoohにとって初物なので、しばらく食器棚に仕舞い込んでいたサイホンを出して、淹れることにした。このサイホンは19歳頃から30年ほど前のもの。パーツは交換しているものもあるけれど、基本は当事のままだ。

 

このAngerobico…、ミルで豆を挽いている時から香ばしさが際立っている。サイホンは、下部のフラスコの水が加熱されると、蒸気圧で上部のロートへ上がる。するとロートに入れた珈琲粉と湯が混ざる。そして、アルコールランプの過熱を止めるとフラスコ内の温度低下と共に真空状態になる。するとロートへ珈琲が落ちてくるというシンプルな仕掛けだ。サイホンは少し手間が掛かるけど、味は実に真骨頂。

  

貴重な珈琲なので、器も長年飾っていた2種のcupを使うことにした。かなり以前に入手していたけれど、もったいなくて使えなかったのだ。けれどとても良い機会だったので、御本尊様とお大師様に供琲させて頂いた。その後、Gikoohも別のcupで戴いた。とてもフルーテーィで、口から鼻へ爽やかな風味がすっと抜けるような感じ。有難い。

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毎月28日は不動明王のご縁日

2021-05-28 22:45:51 | Weblog

今日はかなり多用になり、午前中の護摩供後の道場掃除がままならず、所用の合間に少しずつ掃除していたら夜10時を回った。でも、天候も爽やかで充実した良い1日を過ごせた。

毎月28日は不動明王のご縁日。幟を新調して臨んだ。画像のように、本堂内に小振りな護摩壇を据えて、火焔と煤を気にしながらも護摩供を勤修している。新型コロナの感染症対策をして、52枚の添え護摩木を1枚ずつお加持して炉に投じた。この数ヶ月、お不動様を拝んでいると、今までとは何かが違う勢いのような躍動感を感じるようになった。ご尊像の写真を撮っても、今にも動き始めそうに生き生きとしている。こうなってくると、少しでも早く専用の護摩堂を建立し、三昧の世界に入りたいという想いが一層強くなる。

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Gikoohの義の時間 後半(比叡のお猿さん編)

2021-05-27 12:17:53 | Weblog

岡山県の新型コロナに関する緊急事態宣言は、当初今月末に解除の予定だったが、思うように感染者の減少傾向に至っておらず、しばらく延長されるようだ。

5日ぶりにGikoohの義の時間をお届けしようと思う。前回の(草餅編)に続き、今回の後半は(比叡のお猿さん編)の話を。御菓子司「鶴屋益光」さんの栞を引用・参照しながら、このお菓子の由来を紹介しようと思う。内容に相違あるかも知れないが寛容に願いたい。

さて、比叡山延暦寺といえば、天台宗の伝教大師最澄様を思い浮かべるが、この比叡の御山は古都・京の都を護る山、そして国民の平和を祈る神聖な霊山として篤く信仰されている。

その伝教大師最澄様が御懐妊になる前に、御両親は「よき子が産まれますように…」と、氏神様(日吉宮)の※別当寺である奥の院(西教寺)にお籠りになり、その後最澄様が御生誕されたのだそうだ19歳の時、幼少より仰ぎ見ていた比叡の山に入山なされ、それ以来、この比叡の御山は日吉山王権現を守護神と崇められている。(別当寺とは、神社を管理するために置かれた寺のこと。神宮寺とも同義)。

最澄様が支那から帰国される時に、猿を連れて帰り、神猿(まさる)として神の御使いにされたと『二十二社本縁』に記されているそうだが、昔から比叡の御山には多数の猿が生息しているそうだ。

その後、中興の祖・慈恵大師(良源上人)は、比叡山延暦寺に入山される砌、御母堂様から「山王権現の擁護を受ける立派な坊様になるように」と教えられた。良源上人は延暦寺復興に尽力され、山王権現の慈悲を忘れぬように、権現様のお使いである猿に因んで七首の歌をお作りになられた。

その中に、あの有名な「見ざる」「聞かざる」「云わざる」があり、そこに思わざるを加えて四猿とし、後世に日光東照権現の「見ざる」「聞かざる」「云わざる」の由縁はここにあるのだとか。とにかく比叡山のお猿さんは、神聖化された特別な存在であることが学べた。

そして、この(比叡のお猿さん♫)。鶴屋益光さんが、(魔去る・正さる、勝る)と心を込めて謹製された御菓子の最中が比叡のお猿さんだ。有難い子猿を抱いた母猿を象った最中で、中は漉し餡、その中に刻み栗が入っており香ばしくも、絶品な甘さに仕立てられている。

Gikoohの義なりの時間というのは、誇張かも知れないけれど五常(仁・義・礼・智・信)の誠を表現したいと、前回の草餅は抹茶で、比叡のお猿さんは煎茶で戴こうと思った。

恐らく昔の文人達もいっぷくの煎茶を嗜むのに、茶道具に拘ってきたのだろう。この画像の煎茶道具も古いものだが、Gikoohも煎茶の時間を大切にしたいと思っているうちに、コレクションしてきたものだ。たかがいっぷくの煎茶、されどいっぷくの煎茶。一つの御菓子を戴くまでに、水の選択から茶葉の選択まで数々のストーリーがある。

今、コロナ禍で何らかの影響を受けて生活をしておられる方が大勢いる。一方で、ストレスを抱えて行き詰った気持ちで過ごされている方も大勢いる。そんな時、Gikoohは息抜きの時間が大切だと思う。それも文明的な快楽に翻弄されるのでなくて、文化的な情緒に身を委ねることが良いと思う。

それがお花だったり、お茶だったり、感性が更に深まってくるとお香だったり…。そんなゆとりを経験した上での行動は、正しい方向へ歩んでいくと思うし、ゆとりなく出た行動は道を迷ってしまうかも知れない。

Gikoohは煎茶など和の文化を推奨したい。そしてとにもかくにも、この度、二種の珍菓をお持ち頂いたお客様に御礼申し上げます。

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本日の勝福寺

2021-05-22 22:02:19 | Weblog

午前中は満中陰の法事があり、午後からは寺の総代会、そして子ども茶道教室(小学生)など多用な1日になった。寄り合う場所も、人も、環境も様々だけど、それぞれの想いが生かされて尊重することを心掛けている。

Gikoohの義の時間は今回はお休みにして、本日の茶花と鶏一家。3月27日に生まれた矮鶏の雛も順調に大きくなっていて、いつも7羽の群れで活動を共にしている。

 

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Gikoohの義の時間 前半(草餅編)

2021-05-21 21:35:59 | Weblog

毎月21日はお大師様の日。朝7時より御影供を勤修し、今、こうして無事に過ごせていることへの感謝と、社会の闇夜が明けて爽やかな朝が迎えられる日を願った。しかし、Gikoohが拝みながら感じるのは世の片隅で小さな祈りを捧げても大きな壁は乗り越えることは難しい。政府や自治体が施主となり、法力を持した志のある僧侶を選抜して的を射た新型コロナウイルス収束法会を行うことが、意義ある一手になるのではと感じる。ワクチン等、科学の力だけに期待する部分的な考えを戒めなければ、この国難には立ち向かえないのではなかろうか。

さて、先週12日(水)にご来寺されたお客様より「草餅」と「比叡のお猿さん」という上品で珍しい珍菓を頂戴した。比叡山延暦寺をはじめ、近江神宮、日吉大社等の御用達である「鶴屋益光」という老舗のお菓子屋さんで、Gikoohには初物。今回はGikoohなりの義の表現で、この草餅と比叡のお猿さんのことを2つとも紹介したいのだが、先ずは草餅の話を。

 

草餅は、2畳の茶室「正庵」でお抹茶と共に戴くことにした。お掛けは千利休ご尊像。花入れは古伊万里。お花は芍薬と黒梅。香合は小さくて殆ど見えないけれど備前獅子香合。

お菓子を入れる菓子器はGikoohの心の師、故・林鶴山氏の欅拭漆八角喰籠。樹齢が450年~500年ともいわれる欅の喰籠は、そこにあるだけで高貴な雰囲気を醸し出す。器は主役のお菓子を存分に引き立てる大切な役目がある。

  

ご来寺される方々にもいっぷく振る舞いたかったが、草餅の消費期限が短いのと時世柄、今回は寺の人間で大切に戴いた。蓬の良い香り、上質な餡、ふくよかな食感がたまらなかった。感謝。

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黙々と

2021-05-19 22:35:07 | Weblog

岡山県に新型コロナに関する緊急事態宣言が発出されて今日で3日目。県内で新たな新規感染者数が100名を超える日が10日以上も続いており、厳しい現状下にある。ただただ収束を祈る日々だ。

今日は、総社市の広報車?による不要不急を呼びかけるアナウンスを聞きながら、草取り、花の入れ替え、メダカの水替えなど、細々とした仕事を黙々こなす1日になった。

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心を込める

2021-05-18 21:40:37 | Weblog

昨日(17日)はGikoohの生家である倉敷の寺で檀家様の葬儀があり出仕。故人様はGikoohも小学時代の習い事の関係で存じ上げていて、ここ10年少々は夏の棚経で伺っていたので、親近感もあった。この度人生最期の場面にお見送り出来ることに縁を感じつつ、心を込めて懇ろに供養させて頂いた。

今日(18日)は如常の1日。

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「河骨」開花

2021-05-16 21:38:31 | Weblog

先週は半ばより、檀務と来客が続き、昨日15日は勝福寺御本尊・阿弥陀如来様の縁日だった。阿弥陀様は西方浄土、極楽世界にあって法を説く如来とされるが、Gikoohは現世のコロナ禍を報告申し上げ、疫病の収束を祈った。

岡山県において、本日16日に緊急事態宣言が発出された。期間は今月末の予定で、Gikoohも檀務と日用品等の買い出し以外は外出を控えて、感染予防に努めたいと思う。

昨日今日と法事があった。各ご家庭にとって、かけがえのない故人様の年忌法要。この日は恐らく特別な思いでお過ごしのことと思うので、Gikoohも一期一会の追善を懇ろにお勤めさせて頂いた。心のこもった祭壇の荘厳、時には法事に際して畳の表替えや、障子や襖を張り替えて臨まれるご家庭もある。いずれにしてもこのような情緒に触れると、何とも言えない清らかな気持ちになる。

さて、今日は「河骨」が開花した。Gikoohは河骨を栽培するのは初めてのことだけど、綺麗に咲いた。黄色い花と、葉のコントラストが見事。

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竹水

2021-05-12 21:37:11 | Weblog

7日ぶりの日替わりになった。山々の新緑は瑞々しく、境内の芍薬は美しく、自然界は例年のように初夏の訪れを感じさせてくれる。しかし、蔓延に歯止めが掛からない新型コロナウイルスは、岡山県においても状況が深刻化しつつある。これは為すべくして直面した結果ながら、政府や自治体には更なる最悪の事態を想定して、どうか早めの対策を打って欲しいと思う。

さて、Gikoohは今のところお蔭さまで元気にしており、多用な日々を送っている。ここ数日の檀務以外の様子をご覧頂こう。

これは、先週土曜日の子ども茶道教室から。このお花は、境内に咲く花を小1~小3の子ども達がピュアな感性で生けた花。どれも素晴らしい。こうして茶道文化の片鱗に触れることにより、情緒溢れる大人になって欲しい。

次の写真は、竹水採取の場面から。前回のブログを書いた後から「神水」について色々調べたのだけど、どうやら今の時期は竹水が採れる最盛期だということが分かった。Gikoohも寺山に入って竹水を採取してみた。新鮮な竹水はかすかに竹の香りがして甘く、次に「烏梅」を煎じてみた。水で煎じるのとは風味が異なり、何だか有難いような味がする。

 

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端午

2021-05-05 21:09:52 | Weblog

5月5日。今日は端午。子どもの日。立夏。端午については、一般的な意味は割愛するけど、『和漢三才図絵』は端午について、興味深いことが記されていた。『本草網目』に、「この日、菖蒲を切って酒に漬けて飲む。こうすれば一切の魔を除ける」とある。また、「この日、午の時に雨が降れば急いで竹を伐る。すると竹の中に必ず神水が滴っている。これを採って薬にする…。とある。

総社市は朝から夕方まで雨になったので、先人の智慧を活用する人は、竹の中に湧く神水を戴ける吉祥日だったのではなかろうか。

さて、先ほど述べたように1日雨模様になった。でも、朝拝んでいる時に雨だれの音は何とも心地良くて、閑かな気持ちになれた。Gikoohはこんな感覚が好きだ。写真で軒先の雨だれを撮りたいと思ったのだけど、難しい…。

 

今日は子どもの日だから、お抹茶と粽でいっぷく。皆、無事健康で生活出来ますように。

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