勝福寺 Gikoohの日替わり法話

山寺の住職、Gikoohが日々感じたことを綴っております。
(プロフィール用の落款は天野こうゆう僧正さま彫刻)

干支の「戊戌」(ぼじゅつ)という年

2018-07-11 22:51:35 | Weblog
写真は般若心経をご進講される「秘鍵大師」。

「時に弘仁九年(818)の春、天下大疫す。ここに帝王自ら黄金を筆端に染め、紺紙を爪掌(そしょう)に握って般若心経一巻を書写し奉りたまう。予、講読の選に範って経旨の旨を綴る。未だ結願の詞(ことば)を吐かざるに蘇生の族(やから)、途にたたずむ。夜変じて日光赫赫(かくかく)たり。これ愚身の戒徳に非ず。金輪御信力の為すところなり」

これはお大師様が嵯峨天皇に般若心経の功徳をご進講された内容が書かれた「般若心経秘鍵」のほんの一文だが、この度、西日本を襲った7月豪雨とも何か関連性が感じられてならない。

今から1200年前の弘仁9年、干支は「戊戌」(ぼじゅつ)の年、京の都を中心に旱魃(日照り)が発生、全国に疫病が猛威をふるった年がある。疫病は今でいえば、チブスのような激しいものだったらしい。時の帝、嵯峨天皇は大変心配されて空海様(弘法大師・お大師様)に相談された。お大師様は帝に写経を勧められる傍ら、ご自身は鎮静のご祈祷をされた。信仰心篤い帝は、紺紙に金泥で一字書かれるごとに御仏に三礼の礼を尽くして書写されたという。

帝の写経と、お大師様の修法…、このお二人の合致の力は天を動かす功徳となり、それまで猛威を振るった疫病も治まり、人々に活気が戻り、暗澹な社会は一変して光明が輝いたと書かれている。

この写経は、それから60年ごとの「戊戌」の年に開封されて供養の法会が行われているというが、今年平成30年(2017)は、弘仁9年(818)から数えて20回目の戊戌の年に当たっている。

「戊戌」は隆盛と滅亡を示唆している。今年は浮き沈みの激しい気が流れている年だから、何事も気をつけなければならない。政教分離になった今、行政はこんな先人の智恵には耳を傾けにくいのかも知れないが、Gikoohは先人の智恵を今に生かすことはとても大事なことだと思う。例え根拠がなくとも、先人の智恵や宗教の教えを礎に、時代の先を予測し、先手を打つことで防げることは多いと思うから。

今日11日には、総理大臣が来岡。倉敷・真備町へも入られていた。自然災害の前で人間は無力だけれど、お大師様が帝に写経をお勧めになられた意味は吟味する必要がある。

いつの時代も、頂点に立つ長と言われる人が、真摯に写経をされることがポイントの1つとなる。勿論、国民1人1人の写経も多ければ有益ではあるけれど、まず、その時代の市長、知事、総理大臣、そして…、

頂点の立場にある人が心を込めて書いた写経と、神仏の御心と宗教者の合致によって、その願いは必ず天に通じるとGikoohは信じている。文明と文化の共有は必要不可欠なのだ。

Gikoohはほぼ毎日、真備へ足を運んでいるが、日を追うごとに被害の凄まじさがそこここに滲み出ている。西日本の各地で発生した災害現場も同じだと思う。どうか、1日も早い復旧と復興が進められていきますように…。現地で作業をされる方々は、くれぐれもお体に気を付けてください。
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この度の大雨

2018-07-07 22:02:53 | Weblog
皆さまご周知のように、この度の大雨は西日本を中心に広範囲で甚大な被害をもたらし、ここ勝福寺のある総社市でも避難指示が発令されるなど、今なお、緊張した空気が流れている。しかし、隣の倉敷市真備町は信じ難い大変なことが起こっており、勝福寺のすぐ下を通る県道80号線は真備への重要なパイプラインの1つとして、消防や救急車が何度も何度も行き来している状況だ。

勝福寺にも各地から多くの励ましや心配の声を掛けて頂き、本当に有難く思う。今朝、他地区もそうだが、勝福寺でも裏山が少し崩れたものの、近所の方々がブルーシートで予防対策をして下さったお蔭で今は落ち着いている。久代地区も大きな被害は恐らく出ていないと思うが、お寺やGikoohファミリーも無事だ。

こんな時Gikoohは何も出来ないけれど、臨時避難所となった義兄のいる真備町の寺へ手伝いに出掛けたり、地元の学区内の小学校へ行ったり、1日中バタバタしたけれど、今は落ち着いている。でも、何か事が起こればすぐに動ける心の準備は出来ている。そして朝晩、仏様の気を自身の心に呼び込んで、とにかく祈っている。
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スズメバチの巣を駆除

2018-07-04 21:30:33 | Weblog
先週は檀務続きでバタバタしていたけれど、今週は落ち着いており、常々気になっている寺務や雑用が捗っている。週末からはまた多用になるので、今はちゃんと静養しておこう。

今日は、シルバー人材センターさんに依頼して、スズメバチの巣を2か所駆除して頂いた。(昨年は1箇所)。Gikoohは万が一に備えて少し離れたところから様子を見ているのだけれど、慣れた手つきはさすがだと思う。しかし、勝福寺は山寺。環境豊かな分、スズメバチの他にもマムシなど色々な生物がいる。来客が多いので、夏場は特にお互いに気をつけねば。
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岡山後楽園「観蓮節」

2018-07-01 22:23:02 | Weblog
「池深ければ蓮大なり 感応こもごも臻(いた)る」  『大日経開題』弘法大師

池が深ければ蓮華が大きく成長するように、今の環境によって相互に関係した結果が現われるという意味だ。私達が日頃接する人々や社会との交わり云々は、人生への影響も少なくないので、戒慎しなければならない。

さて、7月に入った。写真は、今朝の岡山後楽園。今の時期は蓮の開花時期で、同園では、恒例の「観蓮節」に伴い、本日のみ早朝午前4時に開園、来園者に蓮が開花する瞬間などを楽しませてくれる有難い行事があった。Gikoohも同園は何度も訪ねているものの、観蓮節を愛でたのは初めてで、感慨深いものがあった。

この行事に参加しようと、今日は2時過ぎに起床。水行や修法など、朝の日課を終えて3時半過ぎに寺を出発して4時半後楽園到着。既に大勢が集っており、それぞれに蓮の美しさを愛でられていた。早朝の後楽園というのは誠に清々しくて、更に「大賀蓮の開花」という絶景。一期一会の至福のひと時となった。その後、6時半には寺に帰山。午前中の法事に備えた。

後楽園で頭を過ったのが、冒頭のお大師さまの御教え。今日はもう1つ、お大師さまの御教えを紹介したい。

「蓮(はちす)を観じて自浄を知り 菓(このみ)を見て心徳を覚る」『般若心経秘鍵』

蓮の花が泥中から生じても泥に染まらない姿を見て、自身の心も本来は非常に優れた仏さまと同等の資質が具わっていることに気づく、という意味だ。

これからしばらくの間は「蓮」が楽しめる季節だから、是非、蓮をご覧になられて、心徳を覚られたい。
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