勝福寺 Gikoohの日替わり法話

山寺の住職、Gikoohが日々感じたことを綴っております。
(プロフィール用の落款は天野こうゆう僧正さま彫刻)

新見市・大佐山『夏日の極上水』を汲みに出掛ける

2021-11-26 22:03:35 | Weblog

今日は家内を連れて久々に新見市・大佐山の山麓にある『夏日の極上水』を汲みに出掛けて来た。年に1~2回程だけど、もう何年も通っている。名水のある場所というのは、山奥だったり、道中の道が細かったりと危ないこともあるので、Gikoohは1人では行動しないように心掛けている。夏日地区も、とても良い地域だけど山奥なので、行かれる時はくれぐれも気をつけて。

いつ訪ねても水汲み場や、周辺の掃除が行き届いており、気持ち良く水を汲ませて頂けるのは地元の方々のお蔭なので本当に有難い。

ところで一昨日24日、WEB勝福寺を久々に更新し、「Gikoohの見聞記」をupした。内容は寺の行事のことではないけれど、末っ子と先週20日に出掛けた総社市内の古刹・井山宝福寺様、そしてホットドック屋さんの事を書いてみた。「今という時間は絶対に戻ってこない」これはGikoohの心の師、林鶴山さんが言われていたが、その瞬間、その瞬間を大切に過ごさねばならない。

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偏刀彫の名手、故・平賀石泉

2021-11-20 22:33:13 | Weblog

今日は、日替わりブログで度々話題にあがるGikoohの心の師、木工芸家の故・林鶴山さんが親炙していた鎌倉彫と偏刀彫の名手、故・平賀石泉先生を紹介したいと思う。

(以下敬称略)

『木彫師・平賀石泉』(黒田嘉一郎著)を参照すれば、平賀石泉(1882-1959)は明治15年12月1日、倉敷市藤戸町天城に出生。話が少し余談になるが、現在、天城には県立・天城高等学校という進学校があり、前身は天城中学校(明治39年開校)になる。その起点は、慶応時代まで遡り、池田藩の第一家老・池田由成が天城周辺の発展と活性につとめたことに由来する。明治時代になると「静修館」という学問所を建てられて教育に力を注ぎ、平賀鐓次郎という士族の1人が周辺に有力な私塾を開いていた。彼は石泉の叔父にあたり、石泉は教育環境の中で幼少期を過ごした。

石泉は幼少期から聡明だったという。そして芸術的な才能には特に秀でていた。本人は長じて芸術家として一人立ちすることを望んだが、「教師の道こそ聖職だ」との平賀家の家風に反すると猛反対を受け、岡山師範学校へ進学。明治36年に21歳で卒業。入学後の石泉は、書道や美術の科目に芸術的才能が沈黙することはなく、書道においては師範学校三筆の一人と呼ばれていたほど能書家だったという。

師範学校を卒業後、明治36年(21歳)から同39年(24歳)までの3年間は味野龍王尋常高等小学校、天城高等小学校へ、同39年から昭和4年(47歳)までは粒江尋常高等小学校の校長として奉職し、23年間の教員生活を経て退職した。在職中は毎朝運動場で朝礼があり、平素は無口な石泉だったが、日課の訓話は話題に富み、常に自然体な姿勢が生徒の厚い信頼を得ていたという。

退職に際し更なる昇進を進められ、一旦は藤戸町の収入役に就任するも部下の不祥事の責任をとり二年足らずで職を辞した。その後は書画や木彫に専念する日々を送るようになる。

石泉の作品はもともと趣味から始まったもので、初期の作品は主に親戚縁者に贈られていた。やがて作品の愛好家が増えていき、周辺で頒布会が行われるようになる。天城を中心に児島や茶屋町、八浜、早島、八王子など極めて限定的だったことと、本人が望まないこともあり、石泉の名が全国的に広まることはなかった。

石泉は昭和34年4月に78歳で永眠するが、亡くなる一年前まで、書・画・彫の三道を愛し、刀を執り彫り続けたという。遺作には茶盆や香合など煎茶道具が多く、他にも茶卓、菓子器、机、錫など多岐にわたる。図柄は四君子や日常生活周辺にある虫や魚、菜果など親しみやすい作風が特徴だ。

Gikoohは林鶴山さんが慕っておられた木彫家・平賀石泉先生の人柄と作品愛好家でもあり、また不思議な縁もあり、寄進頂いた作品やGikoohが求めた作品も含めて何点かのコレクションがある。今日はその中から少しご覧頂こうと思う。お道具というものは、飾ると空間が上品になり、眺めると感性が豊かになり、使えば精神が高まるので、今の不安定な時代だからこそ、文化的な生活をお勧めしたい。

さて、煎茶道の世界では、錫の茶卓は最高峰に位置付けられているが、この茶卓は、錫という素材い菊や松ぼっくなどを彫り、漢詩が添えられている。

  

次に、これは香筒といってお線香の入れ物だ。竹の胴体には海老と漢詩が彫られている。堅くて細丸い竹に施された作風に超絶技巧を感じる。

次に、この画は海老とめだかが描かれている。海老の特徴が見事に捉えられていて、眺めていると清涼感が目に浮かぶようだ。

と、今日は文化的な話題にしてみた。

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うたたねクラシックへ行って来た(3)

2021-11-17 22:10:11 | Weblog

うたたねクラシックコンサートの続きを。

午後2時開演。パジャマ姿のふかわりょうさん登場。出で立ちがパジャマなので聴衆のGikoohまでも家にいるような感覚になリラックスモードに。穏やかな口調で、ゆっくりと丁寧にお喋りをされ、まずチェリスト・遠藤真理さんのソロで「J,S,バッハの無伴奏チェロ組曲第一番」という楽曲で幕が開けた。

この催しを前日のローカルラジオで知ったくらいのGikoohなので、どんな人がどんな演奏をされるんだろう、ふかわさんが中心となって舞台を構成されておられるだろうから演奏家もきっと素敵なんだだろうな…、と当初は思っていた。しかし、琴線に触れるというけれ、チェロの音色があまりの美しく、1曲目から鳥肌が立った。遠藤さん始め、他の演奏家の方々の経歴も後から知ったのだけれど、日本を代表する有名なスペシャリスト達だった。会場は終始ゆりかごのように穏やかなリ雰囲気のなか、クラシックの生演奏が目前に広がっているので、何とも贅沢な昼下がりになった。

4時過ぎにコンサートが終わるまで、演出の工夫も功を奏してあっという間だった。ふかわさんが岡山に来て感じた出来事を面白おかしくお喋りされるのが、Gikoohにはとてもとても好印象だった。最近の人は忙しくて、情緒が薄らいできた感が否めず、文化的なことや精神性を高めることには関心を示さない人も多くなったと感じている。例えば移動中や時間さえあればスマホやPCに没頭して、その土地が醸し出す四季の移ろいや、情緒には興味も少なく、どこにいても自分だけの世界にいる人も多いのではなかろうか。でも、パジャマ姿のふかわさんは、岡山のことを、倉敷で出会った人のことを、そして真備の地で感じたことが聴衆に伝わってきたことは印象的だった。情感深いふかわさんの透明感の先には光明が感じられ、本当に良かった。

いやはや、ピアニスト・三舩さんの弾かれる(ピアノ・STEINWAYS)は繊細で非常に聴きやすく、林さんの艶やかで張りのある豊かなソプラノに惹き込まれ、岡山が誇る岡山出身の小池さんの奏でる銀のフルートはピッカピカで、フルートってこんな綺麗な音が出るん?Gikooh個人的には低音がここまで綺麗に鳴る人って初めて見た、と様々なことを感じながら聴き入った約2時間だった。同伴した7歳の息子にも圧巻だったようで、それなりに感動していた様子だった。

最後に、うたたねクラシックの醍醐味を書きたいのだけれど、(Gikoohは感激したから)ここではあえて触れず、皆様がお住まいの都道府県でもしこのコンサートが開催されるようなことがあれば、その時は是非、会場に足を運んで頂いて生で体験頂ければと思っている。

それほどに素晴らしいコンサートだった。偶然の出会いに感謝。出演者の皆さまに感謝。一期一会を大切に。

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うたたねクラシックへ行ってきたレポート(2)

2021-11-16 22:13:05 | Weblog

クラシックコンサートの続きを。

2018年から不定期で開催されている『うたたねクラシック』(ふかわりょう・遠藤真理とゆかいな仲間たち)の原点は、『きらクラ』という2012年4月8日から2020年3月29日まで8年間に及びNHK-FM放送で放送されたクラシック音楽のラジオ番組だったそうだ。

この番組が終了する3年ほど前に、ふかわさん達と番組のスタッフがNHKの喫茶店で「是非とも、お二人でコンサートを」と持ち掛けられたのが始まりだったのだとか。

内容は、ふかわさんと遠藤さんが主軸となり、全国津々浦々で、堅苦しくなく、例えうたたねをしてもokなクラシックコンサートというユニークな企画。構成は小規模で、ゆかいに気軽に楽しくをモットーに2018年5月に福岡で第1回目が産声をあげた。

コンサートチラシの中で、ふかわさんのメッセージを見てみると、「こんなクラシック・コンサートがあったらいいな。そんな想いを公演にしてみました。気楽な気分で足を運んでみれば、柔らかな音に包まれる、贅沢な昼下がり。音に揺られる極上のひととき。コンサート中にうたたねなんてけしからん?いえいえ、いいのです。どうぞ皆さん、夢見心地になられてください。寝息だって、ハーモニーになるでしょう。素晴らしい演奏家の方々とともにお送りするうたたねクラシックは大きなゆりかご。ぜひ、うたたねしにお越しくださいね」とある。

続きはまた次回に。

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ブラボーだった「うたたねクラシック」 in 倉敷マービ―ふれあいセンター

2021-11-15 22:00:51 | Weblog

2日前の日替わりで少し触れていたコンサートについて感想などを少々。

コンサートの題名は「うたたねクラシック~ふかわりょう・遠藤真理とゆかいな仲間たち~」。演奏は遠藤真理さん(チェロ)、三舩優子さん(ピアノ)、林美智子さん(メゾ・ソプラノ)、小池郁恵さん(フルート)、そしてMCのふかわりょうさんの5人で構成。

実は恥ずかしながら本公演のことは前日のラジオ番組で知り、ふかわりょうさんがパジャマ姿でナビゲーターをされるするという興味を抱き、とても行きたくなった。会場は勝福寺から車で南へ15分、倉敷市真備町にある公共施設「マービーふれあいセンター 竹ホール(約1000席)」。そう、3年前の西日本豪雨で甚大な被害を受けたあの真備町で、会場のホールは当時3,5mまで浸水して閉館していたけれど、今年6月に復旧工事を終えて見事にニリューアルオープンした。

Gikoohは開演の30分前にホールの観客席に腰掛け、人々が様々な苦難を乗り越えて今に至っていることを思うと胸が高まった。

続きは次回に。

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穏やかな1日

2021-11-14 22:03:21 | Weblog

午前中は本堂で上げ法事があった。写真は法事後の本堂から。2枚目は客殿の床の間から。朝晩は冷え込むようになったけれど、日中は20℃前後と過ごしやすく有難い。

午後からは玉葱の苗を植える直前の土づくりをした。

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火鉢の楽しみ方

2021-11-13 22:39:37 | Weblog

午前中は子ども茶道(小学生)教室があった。3グループ全員参加で、充実したお稽古が出来た。

午後は、とあるコンサートに行って来た。プロの生演奏は久々で感激して帰ってきた。また改めて感想を書きたいと思う。

さて、饅頭のこんな蒸し方は野蛮がも知れないけれど、Gikoohが教わった火鉢の楽しみ方の一つ。岡山の銘菓「大手饅頭」も蒸かしてあげると、アツアツで更に美味しい。

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山門の修繕工事(2)更地に

2021-11-12 21:37:00 | Weblog

修繕工事中の山門周辺にて。現在は石畳と束石を残して、建物は無事に解体作業を終えている。今回は新築ではなく改築工事なので、使える部分はメンテナンスをして再利用することになっているが、実際解体してみると棟木に至るまで白蟻の浸食が及んでいることが分かった。見た目には問題なさそうだったけれど、老朽化は否めない。山門は俗世との境界で大切な意味があるから、ちゃんと直しておきたいと心新たにしている。

 

さて、今朝の本堂は今冬一番の冷え込みとなり、7℃まで気温が下がった。寒さを体感するようになったので、今日は寺務所の火鉢に炭を入れた。炭の香りが漂い、しばらくすると湯の沸く蒸気と音が心地良く、部屋もほんのりと暖かくなった。やはりスローライフがGikoohの性に合っている。お茶を戴くことは勿論、銀瓶に火箸を渡して蒸し饅頭や、網で焼き芋、夜には灰に徳利を差して熱燗等々、火鉢というのは時に心を遊ばせてくれる優れものだ。

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有名人逝く

2021-11-11 21:40:04 | Weblog

9日に99歳という天寿を全うしてお亡くなりになられた瀬戸内寂聴さん。Gikoohはお目にかかる機会はなかったのだけれども、近隣寺院さまが団参旅行で「寂庵」を訪ねられた際のお話を伺ったり、寂聴さんの生い立ちをよく知る年配の人から若い頃の寂聴さんのお話を伺ったり、GikoohはGikoohで京都のとある窯元を訪ねると、そこには寂聴さんも時折お見えになられていたらしく、奥様からエピソードを色々伺ったり、間接的に寂聴さんの人柄の豊かさに触れるたび感心させられた。きっと極楽でも皆々に慕われ、心を寄り添っていかれることだろう。

さて今日は、50回忌の角塔婆を書いた。年齢を重ねてもGikoohは字を書くことが得手ず恥ずかしいのだけど、心を静めて書いた。

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『興然編 曼荼羅集』上・下巻(同朋舎新社)

2021-11-10 21:57:03 | Weblog

8日ぶりの日替わり。11月は檀務に加えて、山門の改築工事が行われていることもあり何かと多用だけど今日は落ち着いた1日になった。

さて、最近はこんな出来事があった。Gikoohが深い尊崇の念を持って親交を頂いている僧正様の御一方から、『興然編 曼荼羅集』上・下巻(同朋舎新社)をお贈り頂いた。突然の思わぬ出来事に感激した。本当に有難かった。近年、曼荼羅をはじめ、様々な密教美術と触れる機縁を与えられているGikoohにとって、この曼荼羅集は密教図像の研究を資する貴重な資料集として今後大いに活躍すると思う。

この曼荼羅集は、経典や尊像に特化した別尊曼荼羅を中心に構成されており、内容がともかく豊富で、密教美術や曼荼羅の御仏の世界に関心を寄せる僧侶の方々、そして一般の方々にもお薦めしたい図像集だ。

平成末期から令和の時代は自然環境が著しく変化しる中で、災害が頻発するようになり、昨年と今年は新型コロナという未曽有のウィルス発生の影響もあって、不協和音の世の空気は良いとは言えないだろう。

Gikoohは世の安寧を祈り、御仏に毎日祈りを捧げるなかで、別尊曼荼羅である千手観音曼荼羅、理趣経曼荼羅の建立を発願して、現在刺繍にて謹製中だ。何故、繍仏なのかについては改めて述べたい。

千手観音曼荼羅は、慈悲の菩薩として名高い観音菩薩さま、衆生の悩みや苦しみが少しでも軽くなることを拝み、理趣経曼荼羅は小さな欲望を大きな愛情へ転換させる金剛薩埵十七尊が描かれているが、世に光明が降り注ぐように祈り、社会に奉じたいと思う。

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