勝福寺 Gikoohの日替わり法話

山寺の住職、Gikoohが日々感じたことを綴っております。
(プロフィール用の落款は天野こうゆう僧正さま彫刻)

白木の密壇

2009-10-27 21:59:48 | Weblog
写真は、密教修法の際に用いる「密壇」。先月末から他寺院へ、お貸ししていたGikoohの密壇が先週末に帰ってきた。そこのお寺の副住職が華燭の式典(仏前結婚式)を挙げるに際し、「密壇」をと借用依頼があった。良く知る信用出来る方だったので、快くお受けした。

この密壇は、Gikoohの教員時代(平成9年の4月から、11年の3月まで)に住まいをして和歌山県橋本市の借家で毎日使っていたものだ。借家住まいとはいえ、真言行者である以上は密教修法の感覚を忘れてはならないと恩師の指導を受けた。その言葉に感銘を受けたGikoohは、高野山の建具店を紹介して頂き、檜で密壇を制作した。月給では仏具店の漆塗なんてとても買えなかったから、建具職人でもある社長に白木で密壇を作って頂いたのだ。密壇が納品された日の嬉しい気持ちは今でも鮮明に覚えている。Gikoohの修法の原点というか、基礎部分を育ててくれた大切な道具だ。

あれから10年、今では本堂の大檀で修法しているから現役からは退いているものの、今なお大切に使っている。

質素だけど、細部まで丁寧に作り込まれたこの密壇は縁あって、かつての御室仁和寺の門跡猊下に諸伝授で使って頂いたり、この度の華燭の式典という人生において極めて重要な節目で使って頂いたりと、有難いことになっている。

この密壇を作って頂いた建具店の社長に、今年2月、新たに檜で護摩壇を作って頂いている。こちらも質素ながら、丁寧に作り込まれた技法に参拝者からの評価は高い。

密教修法や加持祈祷、護摩とGikoohの僧侶としての根幹部分を支える上において、建具店社長に対する恩は大きい。いつかは勝福寺に護摩堂を建立させたいと願っているけれど、それまで、この白木の護摩壇を使い込みたいと思っている。
コメント (3)
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