30日(金)に行われた総合県交渉の速報NO.3-29日(木)午後の部後半。ここは障害者支援課の各担当から回答。
県は、嵐山郷からの地域移行の直近データについて、家庭へ1名、病院へ1名、死亡5名という回答で、一人暮らしはゼロ。それもあってか、要望にある「くらし見学会」について、「重度の障害をもって地域で暮らしている方々を訪問し、参考にさせていただきます。よろしくお願いします。」と回答した。これは歓迎だ。
同課が所掌する二つの県単事業のうち、全身性障害者介護人派遣事業については、一昨年「法定事業の補完ではない」というこちらの指摘を受け認識を改めたといい、さまざまな機会を通じ市町村に周知していくと回答。しかし実施市町村が6ケ所に減ってしまった。また対象の拡大は財政状況により困難という。
もうひとつの県単事業生活ホームについては、国のGHの単価の変化に応じる補助額となっており、その結果今回減額したがご理解をという。また当面は制度を継続するが、将来にわたって安定した運営を行うにはGHに移行することが望ましいと回答。こちらは法定事業の補完的なとらえかた。
成年後見制度が財産を守ろうとするあまり、被後見人の地域生活や人権を侵害するものになっている現状を改めてほしいという要望には、「障害者の意思決定支援に配慮しつつ利用促進」という回答。
重度訪問介護受給者で区分6に限り入院時介助が認められたが、まだ理解が進んでない状況に対して、事例把握や周知を求めた要望については、事例はこれから把握してゆく、理解が進んでいない状況は申し訳ない、周知を進めて行くという回答。
市・ケースワーカーがなんでも計画相談におしつけセルフプランを削減しようとしている現状に対し、セルフプランを活かせる体制整備を、また計画相談の報酬アップについて国に申し入れることという要望に対しては、県としてセルフプランサポート研修を計画していること、報酬は国に要望してゆくとの回答。
福祉からの一般就労については、たしかに7割は就労移行からだが、A型やB型からも各1割超いるとの回答。
就労系サービスの利用については、臨時や非常勤の形態をもって利用を禁止した問題であり、あくまで個別的な検討が必要との回答。
さいたま市が重度訪問介護を在宅就労時にも利用できるよう国に要望し、それまで市としての制度を作ったが、県でもあらゆる就労時に重度訪問介護利用ができるよう国に要望し、当面県単事業でという要望については、国の動向を注視していきたいと回答。
障害者支援課に対して、3団体からプレゼン。トップは障害者の職場参加をすすめる会で、日吉孝子さん作成の文章を辻彩子さんが読み上げる。世一緒スタッフの水島さん、癸生川さん、手話タイム講師の橋本さんが並んで。いろんな人が就労準備性ピラミッドに応じて分けられ、別々の場に振り分けられていく現状に抗して、就労・職場参加を進めながら共に生きようという内容。世一緒の活動紹介も行った。
次にNPOかがし座より「巽優子さんはどんな人」。月刊わらじ編集長、地活パタパタ通所者、知的障害者介護人派遣事業を利用し地域のあちこちに出て行く人、「おかく」という分身を操る術者。
最後は見沼福祉農園をフィールドとする地活・農(あぐり)。メンバーそれぞれが自己紹介パネルを抱えて登場。ブログを見たら短い報告があった。以下ー 「あぐりのメンバーの「今」について プレゼンしました。朝から 話すことを練習して緊張しまくっていた Sさん。全く興味もないという顔をしていた RさんとAさん。
他団体のパワーポイント駆使したプレゼンの中でひけを取らず、 アナログ感満載のプレゼン。 らしくて、よかったと思います。(^^♪」時代を拓く農業生産者群像。
質疑応答に入り、センター21の小田さんが、自ら社会参加の拠点として活動し続けている就労B型協働舎レタスの役割や長年暮らしてきた生活ホームの大切さについて、熱く語り続けた。
増田洋介さんは、回答が成年後見利用促進を前提として意志決定支援が語られているが、要望は必要でもないのに使わされることのないように求めていると指摘。
私からは介護や支援の人間関係に閉ざされてゆく「くらし」を社会に向かって開き続けて行くために「はたらく」があることを話す。
鴻巣のNPOあんの半田さんは、重度訪問介護による入院時介護が国で認められたのは、埼玉県の働きによるところが少なくないと評価した。それを踏まえて今回の要望をしたのだと。
県からは、まず生活ホームについて再回答。「数回この場に出席し、皆様の熱い思い、存続の希望は前からうかがっている。補助金減額は兵糧攻めだと訴えられたが、支援課という立場でどうやったら厳しい財政状況の中で制度が存続できるかを考えている。なくなったらいいとか全く思っていない。」
成年後見について県からは「これまではたしかに利用できてない人に普及をという話だけでやってきた。付けられちゃうという話が相談の中で出てきたのであれば、その中で必要ないのではと言うこともできる。親御さんがどこかで聞いてきて、付けようという話もあるかもしれない。この制度は本人の意思決定をサポートする制度だという普及啓発をきちっとやっていかなくてはいけない。」と述べられた。
県は就労に際しての重度訪問の利用についても、「皆様方の声を直接訪問させていただき、いろんなお話をうかがわせていただいて施策に反映させていきたい。」と述べた。一歩前進。
再び質疑応答に。センター21代表の有山さんは、地域の計画相談の事業所がやめたいという声が多くなっていると語る。
介護保険は高齢者でやがて亡くなってゆくが障害者はいなくならないから計画相談は増えて行くばかりで、それが制度の欠陥であることを理解してほしいと述べる。
生活ホームオエヴィスの会沢完さんは、「いまべしみの職員から月~金の食費をもらってるんですよ」と語り始める。それを受けてかがし座事務局長の吉田さんが、完さんが成年後見は使わず、全身性障害者介護人派遣事業等で知り合った仲間がいるから後見はいらない、巽優子さんと同じで人々の多様な関りの中で暮らしを立てていると説明する。
地域生活支援センターで相談業務に関わる内藤さんは、「全身性や生活ホームという人と人のつながりで成り立つ介助・住まいの制度はすばらしいが、年々利用が減っており、専門家を頼りにする雰囲気が濃くなっている。完さんが周りの人と一緒に金のやりくりをしているが、もしGHに入ることになれば、成年後見付けてくださいと言われてしまうだろう。」と語る。
熊谷の自立生活センター遊TOピア理事長・飯田さんは、「全身性を復活させるよう熊谷市に働きかけてほしい」、「介護保険と総合支援法では自立の概念が違う。前者は身辺自立、後者は社会的・精神的自立だということを踏まえ、65歳を超えても後者を優先してほしい」と述べる。
川口のねこのての八木井さんは、ヘルパーを入れて一人暮らししているが、この4月に市から全身性を法定事業と同じように細かく報告させるとの通知が来て、それは困ると話し合い、元通りになったと述べる。全身性は人と人の関係を基盤とした制度なので、自治体に趣旨が行き渡るようにお願いしたいと。
センター21の生活ホームみどり荘世話人の嘉仁さんは、生活ホームの補助金減額は、市の担当も知らなかった、存続を一緒に考えてゆく上で、一緒に暮らしている現状を見てもらい情報共有を密にしてゆきたいと県に呼びかける。住人の白崎さんは、どうかなくさないでくださいと訴えた。
これらを踏まえて支援課からのまとめ。「担当ごとの縦割りに分かれていて、全体が見える人がいないのが問題だと感じた。GH入るなら成年後見付けてねというのも縦割りの一種。自分のところだけやればいいというのが問題。当事者の全体を観れる人がいればいいが、どうやったらいいか難しい。そういうところから手を付けて行かないといけない。あと、皆さんの方からそういうアイディアをいただければと思う。『自立』についての話は、社会生活自立もきちんとできるようにと市町村に話していきたい。」
また全身性については、「私自身あらためてこの事業が重要だと思った。現状では6市が実施しているだけなので、ほかでも実施してほしいと伝えて行く。」
生活ホームについては、「減額について市町村が全く知らなかったというのは…私のほうでは伝えてきたつもり。あらためて本日生活ホームの必要性を皆様からお聞きしたので、ご要望があったことを踏まえて取り組んでいきたい。」