飯田 哲也
【正統性なき経産省による、正当性を欠いた手続きは許されない】
読売の記事といい、日経の記事といい、
経産省がデタラメかつやり放題。
読売の記事は読売だけが流しているので、
観測記事か意図的なリーク記事か。
いずれにしても、311後に正統性を取り戻していない経産省が、
昨年の討論型世論調査のような
国民参加で意思を定めた手続きを無視する一方、
脱原発派委員を排除した異常に偏った委員会
(総合資源エネ調総合部会)を隠れ蓑にして、
経産官僚が正当性のない手続きで
好き勝手に決めることは許されないことでしょう。
参考までに、
一昨年の10月に飯田が
経産省総合資源エネ調基本問題委員会に参加したときの、
第1回目に提出したメモを再掲します。この時に指摘した問題が、
いまや剥き出しになっているようです。
この一連の経過から、
やはり経産省からはエネルギー政策・原子力政策の権限を剥奪して、
新しい国家システムが必要であることが明らかになったのではないかと思います。
【読売8/28】原発活用、新エネルギー基本計画に明記へ
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20130828-OYT1T00010.htm?from=tw
【日経8/28】原発再稼働遅れれば料金25%上昇 経産省試算
http://s.nikkei.com/15sQQiQ________________________________________________
2011年10月3日の第1回目の総合エネ調基本問題委員会での飯田意見の再掲
枝野幸男経済産業大臣 殿 2011年10月3日
環境エネルギー政策研究所
所長 飯田哲也
総合資源エネルギー調査会基本問題委員会の開会にあたって
本日、表記の本委員会の開会にあたって、
以下の点を枝野経済産業大臣にご配慮かつ指揮いただきますよう、
お願い申し上げます。
1. 本審議会の「正統性」に対して、一定の留保をいたします
• 東電福島原発事故を招いた原発への過剰な傾斜政策、
独占的な電力市場の放置と天下りなどの癒着、
公開ヒアリングでの「やらせ問題」、再稼働への先走りなどで、
現状のエネルギー政策体制は国民からの信頼がないと理解すべき。
• 本来であれば、政治主導によって、
審議会の統廃合や所管省庁を変更して人心一新した場で、
新しいエネルギー計画を審議検討すべきところ、
未だに、誰も責任を取らず、
そうした抜本的な組織改編の動きも見られないことは、
国民感覚として理解しがたいところがある。
• にもかかわらず、
旧来のエネルギー基本計画を作成した体制
(審議会委員、事務局体制)をそのままに、
若干のメンバー追加した程度では、
本来的な「正統性」を担保できるとは、とうてい考えにくい。
• したがって、小職の参加にあたっては、
本審議会への「正統性」に関して、一定の留保があることを表明しておきたい。
具体的には、今後のエネルギー政策体制のあり方についても、
審議アジェンダに乗せることを提案する。
2. 公正・公平、かつ国民の対話を促す運営への指揮を望みます
• 本審議会は、主に次の2つの観点から、
公正・公平な運営を指揮していただきますよう、強く望みます。
• 第1に、過去の本省における審議会の経験を踏まえて、
以下のような点に留意いただきたい;
1 特定の利害関係者と事前に謀った「落としどころ」に誘導しないこと
2 特定のエネルギー経済モデルで一定方向の結論に誘導しないこと
(複数モデルの活用に加え、戦略的・シナリオ的議論をより重視すること)
3 第2に、従来のエネルギー政策を白紙で見直すという観点から、
以下のような点に留意いただきたい;
1 委員会構成の公正・中立性(委員長選任を含む)
2 事実上の決定権を持つ事務局の審議運営の公正・公平・透明性
3 いまや国民の第1の関心事が原子力・エネルギー問題といっても過言ではなく、
アリバイや見せかけ、「やらせ」ではない、
徹底的な国民との対話および国民同士の議論を促す工夫や仕掛けを指揮いただきたい
(たとえば、エネルギー・環境会議や原子力大綱策定会議などと合同で)。
3. 「大前提」の確認
今後、複数のシナリオやエネルギー戦略を議論するとしても、
大前提もしくはデフォルトが、以下の3点であることを確認させてください。
• 脱原発依存
3・11東電福島原発事故のあとで、
政治的な大前提は「脱原発依存」だと理解しております。
これは、以下の3点から見て、避けられない方向性。
— 第1に、今や8割を越える国民が(時期の違いはあれ)脱原発支持
— 第2に、巨大事故リスクとそれに対する無能性の顕在化、無保険状態
— 第3に、原発の老朽化と新増設の非現実的性からくる急減(下図)
• 再生可能エネルギーの飛躍的な普及
菅前首相がドービル・サミットで宣言された
「2020年代の早い時期に電力の20%へ」という目標を出発点に議論すること
• 電力市場の抜本的改革
電力会社による事実上の地域独占と垂直統合が、
会社間連系が十分に活用できずに安定供給に支障が生じたこと、
世界一高い水準の非効率な電気料金の背景、
「総括原価方式」などの不透明な資金の流れなどの温床になってきたことから、
聖域のない見直しの議論をすること
4.「現実」と「規範性」を踏まえた議論の指揮をお願いします
• 前エネルギー基本計画の「非現実性」
あまりにも現実を無視した「前エネルギー基本計画」の轍を踏まないこと
• エネルギー政策の規範的な目標を定めること
従来の「エネルギー安全保障・経済性・(環境的)持続可能性」に加えて、
・ 地域経済やエネルギー新産業の方向性
・ 国民に開かれた、ボトムアップでのエネルギー民主主義の方向性
以上
【正統性なき経産省による、正当性を欠いた手続きは許されない】
読売の記事といい、日経の記事といい、
経産省がデタラメかつやり放題。
読売の記事は読売だけが流しているので、
観測記事か意図的なリーク記事か。
いずれにしても、311後に正統性を取り戻していない経産省が、
昨年の討論型世論調査のような
国民参加で意思を定めた手続きを無視する一方、
脱原発派委員を排除した異常に偏った委員会
(総合資源エネ調総合部会)を隠れ蓑にして、
経産官僚が正当性のない手続きで
好き勝手に決めることは許されないことでしょう。
参考までに、
一昨年の10月に飯田が
経産省総合資源エネ調基本問題委員会に参加したときの、
第1回目に提出したメモを再掲します。この時に指摘した問題が、
いまや剥き出しになっているようです。
この一連の経過から、
やはり経産省からはエネルギー政策・原子力政策の権限を剥奪して、
新しい国家システムが必要であることが明らかになったのではないかと思います。
【読売8/28】原発活用、新エネルギー基本計画に明記へ
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20130828-OYT1T00010.htm?from=tw
【日経8/28】原発再稼働遅れれば料金25%上昇 経産省試算
http://s.nikkei.com/15sQQiQ________________________________________________
2011年10月3日の第1回目の総合エネ調基本問題委員会での飯田意見の再掲
枝野幸男経済産業大臣 殿 2011年10月3日
環境エネルギー政策研究所
所長 飯田哲也
総合資源エネルギー調査会基本問題委員会の開会にあたって
本日、表記の本委員会の開会にあたって、
以下の点を枝野経済産業大臣にご配慮かつ指揮いただきますよう、
お願い申し上げます。
1. 本審議会の「正統性」に対して、一定の留保をいたします
• 東電福島原発事故を招いた原発への過剰な傾斜政策、
独占的な電力市場の放置と天下りなどの癒着、
公開ヒアリングでの「やらせ問題」、再稼働への先走りなどで、
現状のエネルギー政策体制は国民からの信頼がないと理解すべき。
• 本来であれば、政治主導によって、
審議会の統廃合や所管省庁を変更して人心一新した場で、
新しいエネルギー計画を審議検討すべきところ、
未だに、誰も責任を取らず、
そうした抜本的な組織改編の動きも見られないことは、
国民感覚として理解しがたいところがある。
• にもかかわらず、
旧来のエネルギー基本計画を作成した体制
(審議会委員、事務局体制)をそのままに、
若干のメンバー追加した程度では、
本来的な「正統性」を担保できるとは、とうてい考えにくい。
• したがって、小職の参加にあたっては、
本審議会への「正統性」に関して、一定の留保があることを表明しておきたい。
具体的には、今後のエネルギー政策体制のあり方についても、
審議アジェンダに乗せることを提案する。
2. 公正・公平、かつ国民の対話を促す運営への指揮を望みます
• 本審議会は、主に次の2つの観点から、
公正・公平な運営を指揮していただきますよう、強く望みます。
• 第1に、過去の本省における審議会の経験を踏まえて、
以下のような点に留意いただきたい;
1 特定の利害関係者と事前に謀った「落としどころ」に誘導しないこと
2 特定のエネルギー経済モデルで一定方向の結論に誘導しないこと
(複数モデルの活用に加え、戦略的・シナリオ的議論をより重視すること)
3 第2に、従来のエネルギー政策を白紙で見直すという観点から、
以下のような点に留意いただきたい;
1 委員会構成の公正・中立性(委員長選任を含む)
2 事実上の決定権を持つ事務局の審議運営の公正・公平・透明性
3 いまや国民の第1の関心事が原子力・エネルギー問題といっても過言ではなく、
アリバイや見せかけ、「やらせ」ではない、
徹底的な国民との対話および国民同士の議論を促す工夫や仕掛けを指揮いただきたい
(たとえば、エネルギー・環境会議や原子力大綱策定会議などと合同で)。
3. 「大前提」の確認
今後、複数のシナリオやエネルギー戦略を議論するとしても、
大前提もしくはデフォルトが、以下の3点であることを確認させてください。
• 脱原発依存
3・11東電福島原発事故のあとで、
政治的な大前提は「脱原発依存」だと理解しております。
これは、以下の3点から見て、避けられない方向性。
— 第1に、今や8割を越える国民が(時期の違いはあれ)脱原発支持
— 第2に、巨大事故リスクとそれに対する無能性の顕在化、無保険状態
— 第3に、原発の老朽化と新増設の非現実的性からくる急減(下図)
• 再生可能エネルギーの飛躍的な普及
菅前首相がドービル・サミットで宣言された
「2020年代の早い時期に電力の20%へ」という目標を出発点に議論すること
• 電力市場の抜本的改革
電力会社による事実上の地域独占と垂直統合が、
会社間連系が十分に活用できずに安定供給に支障が生じたこと、
世界一高い水準の非効率な電気料金の背景、
「総括原価方式」などの不透明な資金の流れなどの温床になってきたことから、
聖域のない見直しの議論をすること
4.「現実」と「規範性」を踏まえた議論の指揮をお願いします
• 前エネルギー基本計画の「非現実性」
あまりにも現実を無視した「前エネルギー基本計画」の轍を踏まないこと
• エネルギー政策の規範的な目標を定めること
従来の「エネルギー安全保障・経済性・(環境的)持続可能性」に加えて、
・ 地域経済やエネルギー新産業の方向性
・ 国民に開かれた、ボトムアップでのエネルギー民主主義の方向性
以上